とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

女子W杯 グループC 日本対エクアドル

 エクアドルはここまで2ゲームで16失点。前日の男子W杯2次予選シンガポール戦を観た後だけになおさら大量得点を期待した。が調子がよかったのは前半15分位まで。その後はまるで前日の男子のゲームを観ているよう。いやそれ以上に可能性を感じない、低調なゲームに終始した。
 それでも序盤は調子がよかった。2分、左SH宮間がショートCKから上げたクロスにCB北原がヘディングシュート。そして5分、左SH北原のクロスにFW菅澤が飛び込み、触って後ろに流れたボールにFW大儀見がDFと一緒に走り込んだ。大きく蹴り上げたボールはゴールネットの上部に下から突き刺さり日本が幸先よく先制ゴールを挙げた。これで大量得点が始まると誰もが思ったはずだ。
 15分、FKを宮間が横に流して、右SH大野がミドルシュート。変化のあるFKでここまでは日本の攻撃にも余裕があった。16分、FW大儀見がポストプレーで右に流し、右SB有吉がドリブルで上がってクロスに左SH宮間がヘディングシュート。しかしバーにはね返される。このあたりから前日の男子の逸機の連続を再び見ているような気がし始める。21分、宮間のCKからFW大儀見がヘディングシュート。しかし枠を捉えられない。うーん、やはりゴールが遠い。
 右SB有吉は積極的に上がって調子のよさを感じるが、右SH大野にイマイチ精彩がない。ミスが目立つ。大儀見と菅澤の2トップは大儀見が下がって中盤で裁き、菅澤がトップに張るが、二人の連係プレーは全く見られない。CB北原は縦へのフィードを何度も繰り返すが、そこから効果的に攻撃がつながっていくことは少ない。30分、宮間のFKにCH澤がニアに飛び込むが、ヘディングはゴールを捉えられない。
 エクアドルにゴール前を固められ、サイドから再三クロスを放り込むが、中でシュートチャンスをつかむことができない。38分、左SH宮間のクロスをFW菅澤が落とし、さらにFW大儀見が落としてCH澤がミドルシュート。どんどんとゴール前から遠ざけられ、シュートは決まらない。39分、CH田中明日菜ミドルシュートもGKベルスが楽々キャッチ。攻めあぐねた前半だった。
 後半頭にCB北原に代えて上尾野辺を投入。最初は左SHに入ったが、10分過ぎには鮫島とポジションチェンジして左SBに下がった。その後、鮫島とのコンビはあまり見られない。上尾野辺にはもっと積極的にプレーしてほしいのだが、キープ力はあるが、エクアドルのプレスに横や後ろにパスを回すシーンが目立つ。
 14分、CH宮間のクロスにCB田中がヘディングシュート。しかしGKベルスがキャッチ。守りを固めて功を奏するエクアドルは次第にプレーが積極的になり、前からプレスをかけてくるようになる。日本は変わらず攻めあぐね。22分、27分とCH宮間がミドルシュートを放つが、FWやSHの攻撃陣がボールに触るシーンも少ない。中盤で横にボールを回すだけ。30分には右SH大野に代えて永里を投入するが、その後も永里から仕掛けて相手を崩すようなシーンは見られなかった。
 34分、左SH鮫島のクロスにFW菅澤が反転からバイシクル気味のミドルシュート。わずかにGKベルスが触ってバーを叩く。しかしこのプレーで足を攣ったか、35分には菅澤に代えて岩渕を投入した。岩渕は積極的に動いて仕掛けた。が、やや位置が遠い。もっとゴールに近いところで仕掛けてもらえばいいのに。36分、左SB鮫島のクロスのクリアを右SB有吉がミドルシュート。しかしサイドネット。40分、FW岩渕からの縦パスを大儀見が落とし、岩渕がシュート。しかし飛び出したGKベルスが体に当てる。ナイスセーブ。いい仕掛けだったが、ゴールが遠い。結局このまま1-0。前半の早いうちに1ゴールしておいてよかった。3連勝でグループ1位通過を守った。
 このゲームでは川村・北原のCB、田中明日菜・上尾野辺など初起用された選手たちと常連メンバーとの連携ができていなかった。それぞれは新鮮な気持ちでミスないように、少しでも自分を表現しようといった感じの遠慮がちなプレーが目立ったが、それでは守りを固めたエクアドルを崩すことができなかった。しかしそれ以上に深刻なのが攻撃陣。安藤が負傷欠場後、大儀見と菅澤の2トップを起用し、このゲームでは大儀見が引き気味にプレーしてはっきりとした役割分担を試したが、それがゴール前の脅威になっていない。やはり安藤の代わりは大儀見ではないだろう。
 もうそろそろ二人の連携に見切りをつけ、大野のFW起用を考えたらどうか。このゲームでは宮間をトップ下で起用するかと思ったが、結局佐々木監督は最後まで動かなかった。宮間はOHで起用して、CHに宇津木や坂口を起用した方が攻撃力は高い。澤をこの後もずっと先発フル出場させることは無理だろう。坂口と宇津木のダブルボランチに大野か宮間のトップ下という布陣がもっとも攻守にバランスが取れ、得点能力も高いと思うのだが。川澄の出来はそれほど深刻なのだろうか。
 決勝トーナメント1回戦で当たることになったオランダもけっして簡単な相手ではない。全力で当たり、勢いをつけて準々決勝ブラジル戦に臨むことが必要だ。そろそろフルメンバーによる必死な戦いが求められる。