とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

女子W杯 準決勝 ドイツ対アメリカ

 日本と決勝で対戦するのはどちらか。もちろんこのゲームを観戦したのは日本戦の前だが、そういう気持ちでゲームを観た。ワンバックをベンチに置いてロイドをトップ下に起用したアメリカ。対するドイツもマロジャンをベンチスタート。
 立ち上がり、両チーム中盤での激しいプレスの応酬で始まる。3分、ドイツがCHゲースリンクのCKにCHロイポルツがヘディングシュート。アメリカも7分、左SHラピノのCKにCBジョンストンがシュート。GKアンゲラーがファインセーブを見せる。8分、ドイツは左SHポップがクロス性のシュート。アメリカのGKソロも負けじとファインセーブ。9分、左SHラピノのシュートはGKアンゲラーが正面でキャッチした。序盤からお互い息の抜けない激しい攻防が続く。
 14分、この日右SHで先発したヒースのスルーパスにCFモーガンがDFの裏を取って抜け出しGKと一対一。しかしシュートはGKアンゲラーが弾き返した。スーパーセーブだ。ドイツはGKアンゲラーがこの日も当たっている。だが逆にDF陣が脆さを見せる。特にCBクラーンは強いが速さと柔軟性に欠ける。このあたりからアメリカが次第に優勢となっていく。20分過ぎに左SHポップとCHブライアンがヘディングで頭が衝突、血を流してしばし中断。だがゲーム再開後もアメリカが攻勢をかけていく。
 37分、ラピノのCKに誰かがヘディングで飛び込むが、GKアンゲラーが直前でパンチング。クリアされたボールをさらにつないで最後は右SHヒースがシュート。しかしDFがブロックする。ドイツはなかなかゴール前まで入っていけない。40分、左SBケメがミドルシュート。41分にはOHミッタークがミドルシュートを放つが、枠を捉えられない。逆に43分、CBサウアブルンのフィードにCFモーガンが走り込み、浮き球でCBクラーンを抜いてシュートを放つが、飛び出したGKアンゲラーの勢いに押されたか、枠を外した。前半はアメリカが攻め込んだが、ドイツもGKアンゲラーのファインセーブ連発で守り切ってスコアレスで終える。
 後半に入っても両チーム選手交代はなし。マロジャンがケガという情報も。だとすると展開を変えられないドイツは厳しいかも。2分、ラピノのCKにOHロイドがヘディングシュート。ドンピシャだったが、枠を外す。ドイツは8分、右SHラウデアのクロスにOHミッタークがヘディングシュート。力なくGKソロがキャッチ。それでもこの時間帯、ドイツがやや優勢で攻め込んでいく。
 そして14分、CHロイポルツのアバウトなフィードに左SHポップがPA内に走り込んでいくと、先を行かれたCBジョンストンの手が思わずポップの肩にかかる。倒れてPK。これをシャシッチが蹴るが、緊張の表情。案の定、コースを狙ったPKはポストの左に外してしまった。最大のチャンスを逃したドイツ。18分にはCHロイポルツから右に展開。右SHラウデアのクロスにミッタークがシュート。いい攻撃だったが、シュートが枠を捉えられない。21分にはアメリカのCFモーガンが絶妙のフェイントでCBクラーンをかわしてシュート。しかしこれも決まらない。
 そして24分、CFモーガンが中盤からスピードに乗ってドリブルを開始。PAに迫ると、ドイツの中盤が付いていけず、CBクラーンが迎え撃つ形で身体をぶつける。ぶつかった位置はライン上のようにも思うが、モーガンに勢いがあってPA内に入って倒れると、主審はPKの判定。これをロイドが落ち着いて決めてアメリカが先制した。表情に自信と落ち着きが表れていた。
 30分、アメリカは右SHヒースに代えてオハラを投入。32分、CHゲースリンクがロングシュート。33分、ドイツもついにOHミッタークに代えてマロジャンを投入。アメリカは35分、ラピノに代えてFWワンバック。ロイドを左SHに下げる。36分、右SBマイアーがロングシュート。ドイツはなかなかゴール前に入っていけない。マロジャンがボールに触るシーンもほとんど訪れない。
 すると39分、アメリカが速攻の形から左サイドでワンバックがボールをキープ。戻したパスに左SBクリンゲンバーグが上がると、縦パスに左SHロイドが走り込み、クロスに右SHオハラが飛び込んでシュート。決定的な追加点を挙げる。その後、必死に攻めるドイツ。だがアメリカの守備は最後まで綻びを見せない。そしてタイムアップ。アメリカが2-0で世界ランキング1位のドイツを一蹴。決勝戦に先に名乗りを上げた。
 ワンバックをベンチに置いてもアメリカは攻守にバランスが取れている。攻撃は左SHラピノ、OHロイド、FWモーガンで十分相手を崩し切るスピードと技術が備わっているし、後半ワンバックが追加されればさらに高さと強さが加わり、攻撃が多彩になる。守ってはクリンゲンバーグとクリーガーの若いSBが躍動。CBジョンストンの若々しいプレーも躍動感がある。強いというよりも中盤からのプレスでピンチの芽を着実に摘み取る守りをしている。日本と似ているかもしれない。
 これはかなりの強敵だ。ドイツの方がやりやすかったかもしれない。でも勝てない相手ではない。いやむしろイングランドよりはやりやすいのではないか。ドイツはマロジャンが本調子でなく、攻撃にアクセントをつける選手がいなかった。しかし日本には宮間がいる。大儀見、大野のFW陣も変化に富んでいるし、CBの攻撃参加もドイツの比ではない。前回大会の再現。面白い決勝戦になりそうだ。