とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

女子W杯 決勝 日本対アメリカ

 前日のTVで異様になでしこを持ち上げる報道が繰り返され、嫌な予感がした。宮間が言っていたスタートラインには優勝しなければつけなかったのだろうか。宮間の発言がどれだけ素晴らしくても、安藤の復帰がどれほど嬉しくても、沢とワンバックの友情がどれほど美しくても、だから勝利が約束されるわけではない。決勝前日にそんな報道を繰り返している時点でスタートラインははるかに遠いと思わざるを得なかった。準優勝だからこそ立てるスタートラインもあるのではないか。宮間にはそう言ってやりたい。
 立ち上がり受け身に回ってしまうのはアルガルベ杯からの日本の課題ではなかったか。この決勝戦でまたその癖が出てしまった。だがそれ以上にロイドの動きが素晴らしかった。3分、ラピノのCKにPAから離れた位置にいたロイドが斜めに猛然とPA内に走り込んでシュートを叩き込んだ。アメリカ先制。マークをしていたCB岩清水もロイドが遠く離れていたため、走り込んでくるロイドへのチェックが遅くなった。しかしまさかあの位置のロイドに身体を寄せてマークするわけにはいかない。ラピノの低く速いクロスも球筋を見極めるのが難しく、ロイドへのマークが遅れた要因だ。
 その後の5分、ヒースが倒されて得たFKをホリデーが蹴ると、これも低いクロスをDFがいったんはブロック。しかしこぼれたボールに走り込んだロイドが押し込む。アメリカ追加点。またもCB岩清水がついていけなかった。
 その後はアメリカがブロックを作って守備を固める。攻めあぐねる日本。すると今度は14分。右SHヒースのクロスをCB岩清水がヘディングクリア。しかしほぼ真上に飛んだボールにCHホリデーが走り込んでシュート。なんと3点目。そして16分、ハーフライン付近でボールを奪うと、ロイドがそのままロングシュート。前に出ていたGK海堀が必死で戻るが、かろうじて触ったボールは無情にポストに当たってゴール内に転がった。あっという間の4失点。日本はCFモーガンに引っ張られ、中盤が空いた。そこをアメリカに突かれた。18分にも左SBクリンゲンバーグのクロスにOHロイドがヘディングシュート。まだロイドを掴み切れない。
 20分を過ぎて日本は宇津木を左SB、鮫島を左SHに上げて、宮間をCHに下げる。中央からゲームを作る。しかし24分、中盤に下がったOHロイドから前線にフィード。CFモーガンがCB岩清水を切り返しでかわしてシュート。GK海堀がセーブする。岩清水が混乱している。
 日本も27分、右SH川澄のクロスを受けたFW大儀見がトラップから反転してDFをかわし、GKをよく見たループシュート。ますは1点を返す。30分にはCB岩清水のナイスカットからパスをつないでFW大儀見が左に展開。左SH鮫島のクロスがDFに当たってファーに流れたところを右SH川澄が折り返すと、FW大儀見の落としにCH宮間がミドルシュート。しかしGKソロがキャッチする。
 その後日本は33分、CB岩清水に代えて澤を投入。坂口をCBに下げる。ベンチで号泣する岩清水。すごくショックだろう。39分には川澄に代えてFW菅澤を投入。大野を右SHに回す。早い時間帯から前線に高さを作り反撃を期す日本。42分、左SHラピノのクロスからOHロイドのヘディングシュートはCB坂口が身体に当ててブロックした。前半終了。思いもよらなかった4-1で折り返す。
 後半多少は日本も落ち着いたか、無難な立ち上がり。それでも5分、CHブライアンがミドルシュート。GK海堀がナイスセーブ。積極的にシュートを放つアメリカ。しかし7分、日本の遠目からのFKを宮間が蹴ると、ニアに澤が走り込み、競り合ったCBジョンストンの頭に当たったボールはそのままゴールへ。オウンゴールで日本が2点目を挙げる。
 さあ反撃、と思った直後の9分。ホリデーのCKをGK海堀がパンチング。ファーに流れたボールをCHブライアンが折り返すと、右SHヒースがシュート。すぐにアメリカが1点を返す。最悪のパターン。日本も14分、左SH鮫島が積極的なミドルシュート。さらに15分、右SH大野に代えて岩渕を投入する。17分にはCCB宇津木がミドルシュート。しかし18分、アメリカもCFモーガンミドルシュート。積極的な姿勢を忘れていない。
 23分にはCH宮間のクロスを右SH岩渕が落とし、FW大儀見がミドルシュート。しかしGKソロがナイスセーブを見せる。日本は有吉を上げて、3-4-3にして反撃する。29分、宮間のCKのクリアをCB坂口がミドルシュート。31分、CH宮間のクロスにFW菅澤がヘディングシュート。しかしGKソロがクリア。35分、宮間のFKにニアに澤が飛び込むが、GKソロがパンチング・クリア。その後も必死に攻めるが、アメリカは34分、ワンバックを投入。さらに41分にはCBランポンを投入して最後は5バックにして守り切る。タイムアップ。結局その後はゴールならず。5-2でアメリカが勝利した。
 よくやったと言いたい。モーガンが素晴らしかった。アメリカは日本を十分に研究しつくしていた。立ち上がりの失点がなかったら、3点目のヘディングミスがなかったら、きっと違う展開になっていたと思うが、それを考えても仕方がない。次にアメリカと対戦するのはいつだろうか。リオ五輪か? それまでにまた積み上げて、今度こそこちらが研究し尽くして、アメリカに一矢報いたい。また目標ができた。宮間的に言うならスタートラインがまた先に見えている。がんばろう。サッカーのゴールはどれだけ挙げても終わりということはないのだから。