とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

フットボール批評 issue06

 今号の特集は「決定力不足の正体」。先日のW杯アジア予選シンガポール戦でのスコアレスドローに対して、日本代表の決定力不足を問う声が大きいが、それを客観的に分析する。そもそも「決定力とは何か」を問う清水英斗の記事が興味深い。続く北條聡の「解題:日本はなぜ引いた相手を崩せないのか?」はそれに対して具体的な方策を提案する。また、アギーレ前監督に日本代表のこと、そして解約への経緯を聞くインタビュー「アギーレ独白」も興味深い。
 好評のシリーズ「守備のセオリーに反するサムライたち」では、「日本に欠けているのは決定力ではなく『正しい守備の文化』である」と具体的なプレーを提示して指摘する。日本人はすぐにスライディングしたがり、ポジションごとの守備が理解されておらず、ポジショニングの基準がボールではなく相手選手になっていると具体的に問題を指摘する。
 後半はFIFA汚職問題に対する特集だ。オシムジーコへのインタビューもあるが、全体的にはブラッターに対して好意的。もちろん汚職自体は問題だが、政治問題的な側面があることにも目を向けるべきだろう。そして新国立競技場問題、川崎フロンターレの武田会長の功績を追うミカミカンタの記事、そして「部活ジャパン」を評価しようとする小田嶋隆のコラムなど、今号も興味深い記事が満載だ。なかなか面白かった。

フットボール批評issue06

フットボール批評issue06

●3-3という拮抗した場面での不用意に過ぎる守備で浦和は逆転を許しています。・・・そして、さらに重大な問題は、これが今年5月の「ベストゴール」に選出されていることです。・・・もし、浦和DFとDFによる連続スライディングが過ちであると、専門家が認識さえしていないのだとすれば、極めて深刻な問題であると言わざるをえません。(P041)
●もちろん、不正や汚職は論外だが、ブラッターの実績は罪ばかりではなく功というものもある。彼は強い連盟を作って国連よりも加盟国の多い組織に仕上げた。それは評価すべきことだと思う。彼はサッカーを世界中に届けた。つまり全世界の国々がサッカーに興味を持つようにさせた。/サッカーというものはときに戦争あるいは民族同士の衝突が起きる一つのきっかけになるが、しかしそれと同時にそういう決裂を乗り越えるチャンスをも作れるのだ。(P052)
●たくさんの人に楽しんでもらうためには勝つだけじゃなくてプロモーションをしっかりしたり、チケッティングがちゃんとされていたり、クレーム処理にちゃんと対応したり、スタジアム周りでは飲食が楽しめたり面白いことをやっていたり、一日楽しんでもらわなきゃ。人が集まらなきゃはじまらないんだから。・・・みんなが楽しんでくれる環境を作らなきゃいけない。それが『おらが街のクラブ』としての存在意義。それが地域活性化にもつながっていく。(P089)