とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

五輪アジア最終予選準々決勝 日本対イラン

 いよいよ絶対負けられない真剣勝負がやってきた。負ければそれで敗退。オリンピックに出られない。そんな痺れるゲームはそうはない。この重要なゲームに向けて手倉森監督は調子のよいメンバーを中心に先発を組んできた。鈴木武蔵がいないのはケガの影響としても、大島も南野もいない。左SBには亀川を起用する。浅野は温存してオナイウを先発させた。

 開始2分、イランのCFモタハリがCB植田を抜き、CB岩波をかわしてミドルシュートを放つ。GK櫛引がナイスセーブで弾き返したが、立ち上がりからイランの攻勢を受ける。続くCKにはIHアリカリミがヘディングシュート。日本も6分、CH原川のCKからCB岩波がヘディングをするがGKアフバリに弾かれ、こぼれ球をFW久保がシュートをするが、これもGKアフバリに弾かれる。

 日本が全体的にはパスを回し主導権を握るが、イランはロングボールとカウンターで攻め込んでくる。11分にはIHアリカリミから左に流し、左SBヘイダリエのクロスにIHサゲビがシュート。しかし空振り。CB植田がクリアする。その後は一進一退。日本も26分、GK櫛引からのフィードをFWオナイウとDFが競って前に落とすと、FW久保が受けてそのまま前進、シュートを放つが、わずかにゴール左に外す。FW久保はゲーム序盤こそ積極的にボールに触ってゲームを作るが、次第にマークが厳しくなり、ほとんど前で受けられなくなる。

 33分、CH原川のFKにCB植田がヘディングシュート。しかし枠を捉えられない。逆に37分、CH原川のクリアをIHサゲビにカットされ、ゴール前に入れられたループパスにCB植田がうまく合わせられない。空振りしたところをCFモタハリがシュート。わずかに左に外れていった。よかった。終了間際にはCFモタハリの突破をCB岩波が倒して与えたFKをIHアリカリミが蹴るが、GK櫛引がナイスセーブ。前半はスコアレスで折り返した。

 後半に入ってもじりじりした展開が続く。8分、右SHトラビのドリブル突破からこぼれ球をCFモタハリがミドルシュート。12分には右SBアブドラザデのクロスからCFモタハリがヘディングシュート。バーを叩く。14分にもCFモタハリがミドルシュート。イランが前からプレスをかけて、日本が押し込まれる。球際厳しいイランの守備に日本はボールを持ってもすぐに奪われる。パスがつながらない。ミスが多く、なかなか攻撃が形にならない。クリアしたセカンドボールはことごとくイランが拾ってまた守備に追われる。ようやく27分、左SH中島のミドルシュートで得たCKにCH遠藤がヘディングシュートを放つが、枠を捉えられない。

 もっと早く選手交代をしたらと思ったが、延長戦を考えてか、手倉森監督がなかなか動かない。ようやく交代を告げたのは後半37分。久保に代えて浅野を送り込んだ。40分、FW浅野から右に展開、右SH矢島が左SH中島にクロスを入れるが、その前でDFにクリアされた。43分には矢島に代えて右SH豊川を投入する。結局0-0。ゲームは延長戦に入った。

 ゲームの主導権はイランが握り、なかなか攻撃でチャンスがつかめない日本。だが、イランも次第に疲れてくる。後半42分には左SHミラド・モハマディが足を攣ってモフセン・カリミに交代する。選手交代をぎりぎりまで伸ばした手倉森監督。残った選手もスタミナはあり、まだまだ動けそうだ。手倉森監督の勝負魂。そこだけが頼りと思った。そして延長前半4分、左SH中島のスルーパスに左SB亀川が駆け上がる。クロスにFWオナイウが走り込むがうまく合わない。そして5分、今度は右サイドから。右SB室屋が上がって切り返しから左足でクロスを入れると、右SH豊川が飛び込む。ヘディングシュート。これがネットに突き刺さり、ついに日本が先制点を挙げた。フレッシュな豊川がゴール前まで走り込んだ。

 しかしその後、イランも必死に反撃する。7分、左SHモフセン・カリミのドリブル突破からクロスにCFマタハリがシュート。8分には右SBアブドラザデに代えてパフラバンを投入し、3-4-3に布陣変更。前掛かりになって攻めてくる。14分、IHサゲビのスルーパスにCFモタハリが走り込むが、GK櫛引が飛び出しボールを抑える。アディショナルタイム2分、IHサゲビのシュートのこぼれに走り込んだSHモフセン・カリミがシュート。これもGK櫛引がファインセーブを見せる。

 押される日本。こんな状況で2点目が取れれば楽になる、と思った延長後半3分。左サイドでボールを持った左SH中島が切り返しからミドルシュート。これが見事のゴールを捉える。待望の追加点。さらに5分、今度は左サイドをドリブル突破して左SH中島が2点目と同じようなミドルシュートを放つ。今度はニアサイドに突き刺して決定的な3点目を挙げた。

 こうなるとゴールが欲しいのがFW浅野とオナイウ。6分、FWオナイウから左に流し、左SH中島のクロスにFW浅野がヘディングシュート。しかし枠を捉えられない。7分、左SH中島のクロスにFW浅野が走り込んでシュートを放つもGKアフバリがセーブ。イランも11分、右SHトラビから左に流して左SHモフセン・カリミがシュート。またもバーに救われる。アディショナルタイムにもFW浅野がミドルシュートを放つが枠を外した。そしてタイムアップ。痺れるゲームは終わってみれば3-0。延長に入っての3ゴールで日本が勝利して準決勝進出を決めた。

 一時は準々決勝敗退も仕方ないと思った。この世代はそういう運の元にあるのだと。イランの方が勝利への意欲が強いのではないかと。しかしそんな状況下でも手倉森監督はじっくりと勝負策を練っていた。待ちに待たせての選手交代。そして途中投入選手の決勝ゴール。さらにイランが3バックになって守備が薄くなったところを突いての左SH中島の2ゴール。勝負強さが際立った。バーに何度も救われたが、やはりこのチームは守備が堅いのも生命線だ。そして次は準決勝へ。たとえ負けても3位決定戦があるが、当然勝利して五輪出場を決めての決勝進出、そして無敗での優勝をめざす。次はまた大きく先発メンバーを変えてくるだろう。準々決勝にトラウマを抱える南野を温存して、次は先発か。オナイウは最後までよく動いて前線からの守備に、攻撃の起点にと貢献した。そして今度こそFW浅野にゴールが欲しい。準決勝の相手はイラクと決まった。グループリーグでは韓国と引き分けてやはり無敗でここまで上がってきている。強い。しかし日本代表にはこれまで同様、粘り強いゲームをして勝ち上がってほしい。今度こそ南野の活躍に期待したい。