とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

五輪アジア最終予選準決勝 日本対イラク

 日本U23代表がリオ五輪出場を決めた。ここまで来ると手倉森監督の手腕を褒めないわけにはいかない。このゲームでも岩波に代えて奈良を先発起用したところや、選手交代のタイミングなど最後まで手倉森監督らしい采配を発揮して見事リオ五輪出場を引き寄せた。大会前は年代別大会のアジア予選で敗退してきた過去の実績から不安視する声もあったが、見事はね返して目的を達成した。次は決勝での勝利を期待したい。

 最重要なゲームということで序盤は両チームとも慎重な立ち上がり。お互い攻撃は繰り出すが、守備もしっかり固めている。それでも日本の方がパスが回り、やや優勢の感じ。何より日本の選手たちに落ち着きと充実感があふれている。集中している感じがする。

 しかし初シュートはイラク。14分、CHカディム、左SHアムジェド・フセインとヘディングで中盤から前へつなぎ、最後はCFカッラールのヘディングによる落としからOHシルターがシュート。枠を外す。24分にはハーフライン付近深い位置からの左SBラフルーフのFKが直接ゴールに向かう。GK櫛引がキャッチ。そして26分、中盤でCH遠藤がパスカットすると、左SH中島の縦パスにFW鈴木がDFをうまくかわして走り込み、クロスにFW久保がシュート。一瞬オフサイドかなと思ったがギリギリのタイミング。ゴールが認められ、日本が先制点を挙げた。

 しかしすぐにイラクが反撃を開始する。28分、CFカッラールの落としからCHシャバニがミドルシュート。日本も29分、左SH中島の縦パスから右SH南野がスルーパス。FW鈴木が抜け出しシュートを放つが、わずかに右に外した。イラクは32分、CKから左SHアムジェド・フセインミドルシュート。34分にはFKからCFカッラールがヘディングシュート。GK櫛引がキャッチする。

 日本の守備が落ち着いている。このまま楽勝で勝利できるかなと思ったが、やはりそんなに甘くはなかった。39分、左SB山中の縦パスからFW久保のスルーパスにFW鈴木が抜け出すが、今度はわずかにオフサイド。こうしたチャンスを逃していると、前半終了間際、イラクがCKのチャンスを掴む。43分、左SHアムジェド・フセインの蹴ったCKをFW鈴木武蔵がニアでヘディング。しかしクリアミスしたボールがゴールに向かって飛ぶ。GK櫛引がパンチングでクリア。CBナジがヘディングシュート。これもGK櫛引がファインセーブではね返すが、もう一度ナジがヘディングしたボールには今度は反応できなかった。一瞬のミスからの悔しい失点。1-1の同点で前半を折り返すことになった。

 後半に入るとイラクが攻勢を取ってくる。5分、右SHヒスニー・ファイサルのドリブルから右に流し、CHカディムがミドルシュート。GK櫛引がナイスセーブ。押される日本。12分、ようやくFW久保がミドルシュートを放つ。これをきっかけに日本も落ち着きを取り戻し、また攻められるようになってきた。18分、CH遠藤が中盤でボールを奪うと縦パスをFW久保が落とし、FW鈴木とDFが競ったこぼれ球を右SH南野がドリブルで運ぶ。シュートチャンスはあったと思うが、寄せるDFに打ち切れず、最後はCH遠藤に渡るが、イラクの守備の集中も速い。結局チャンスは活かせなかった。しかし守備の集中では日本も負けていない。20分にはCHカディムの縦パスにOHシルターがサイドを抉るが、クロスはDFがブロックする。

 22分、イラクはOHシルターに代えてボンヤーンを投入。日本もケガ上がりのFW鈴木が左足の痙攣を訴え、オナイウに交代する。さらに33分、手倉森監督が決断。FW久保に代えて浅野を投入。イラクは36分、右SHアムジェド・フセインのクロスにCHシャバニがシュート。しかし枠を外す。さらにイラクは左SHファラジ、アディショナルタイム2分には右SHアジールと攻撃的選手を投入してくる。アディショナルタイムは3分、このまま延長戦が濃厚と思われた3分台。GK櫛引からのフィードをFW浅野が落とすと、右SH南野がドリブルで右サイドをえぐる。クロスはGKラヒームがパンチングでクリアするが、それを拾ったCH原川がミドルシュート。これが決まり、最後の最後で日本が勝ち越しゴールを決めた。そして豊川を投入したところでタイムアップ。日本が劇的な決勝ゴールで勝利。決勝進出と五輪出場を決めた。

 振り返れば、初戦の北朝鮮戦ではまだまだ不安定だった。そのチームをGK牲川を除き全員に出場機会を作ってみんなの気持ちをまとめ、その後も入れ替わりで先発出場させることで総力戦の雰囲気を作った。そして勝負師らしい采配で準々決勝、準決勝と決勝トーナメントを戦う。改めて手倉森監督の手腕が大きいと思わざるを得ない。次の決勝は宿敵・韓国。気を緩めることなく総力戦でゲームに望み、無敗の6連勝で優勝して本番のリオ五輪に向けて勢いをつけよう。