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とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

みんなが聞きたい 安倍総理への質問

 2015年7月29日から9月17日までの「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」における山本太郎による質問と安倍首相及び政府側の答弁を収録。これに木村元彦小林節による取材記事と解説が付き、さらに12月10日の内閣委員会、12月11日の東日本大震災復興及び原子力問題特別委員会での質問と答弁を収録する。

 木村元彦小林節の文章以外は国会記録にすぎないが、それが非常に迫力がある。内容が詰まっている。これまでもTV中継でそのやりとりの一部を見てはいたが、その内容の豊かさには驚かされる。

 しかし結局、安保法案は与党の強行採決の末に委員会を通過し、国会で成立してしまった。弔問パフォーマンの写真も掲載されているが、全編を通して、山本太郎の真剣さと真面目さと緻密さと、そして役者らしい表現力と時間内に完結する構成力を感じる。

 山本太郎の主張がすべて正しいとは思わない。しかしその真剣な質問に対して、はぐらかし、逃げる安倍首相の姿には怒りを感じる。本書にも収録されているが、答弁に当たり、「・・・わけであります。」というのは口癖だとは思うが、上から目線を感じるし、国民を守ろうという気概は感じられない。自分を守りたい、守ってほしいという気持ちはよく伝わるが・・・。

 いずれにせよ、今後も山本太郎には注目していきたい。日本の政治が本来の役割を取り戻すのはいつのことだろう。

 

みんなが聞きたい 安倍総理への質問

みんなが聞きたい 安倍総理への質問

 

 

○最悪の事態に備えていない。どちらかというと、見たくないものは見ない、耳は塞ぐ、でもやりたいことだけやっていく。それがたとえ国民のリスクにつながったとしてもやる。原発を見りゃわかる。安全保障問題は誰のため。よく分からない。/本当に国民の生命、財産を守るためだったら、このミサイルが飛んできたらどうするかということに対して、核施設が直撃されたらどうするかということに対して、対策はもう既にできているはず。(P43)

○昨年7月1日、憲法違反の閣議決定から今回の憲法違反の安保法制、戦争法制までだけを見たとしても、何だこれ、アメリカのリクエストどおりじゃないかって。おまけに、原発再稼働、TPP、特定秘密保護法、武器輸出三原則の廃止、・・・アメリカ、アメリカ軍の要請、ニーズには、憲法を踏みにじってでも、国民の生活を破壊してでも真摯に全力で取り組むって、これどういうことなんですか。これ、独立国家と呼べますか。(P88)

○たとえば彼が8月25日の質疑で言った、イラクで米軍が行った民間人への虐殺とアメリカに追随する日本の関係、それはつまりは軍産複合体を儲けさせるためで、まさにこの安保法案の本質だというメッセージでもあったんですが、そんな尖りきったタブーを論証、推論とりまぜて7分で言いきって突っ込むさまは、私の想像をはるかに超えていました。・・・普通の議員ではとうてい質問できないテーマのものを、山本は理詰めで固めた上に、細かな時間調整までして、最終的には一種の「ドラマ」として市民に届けようとしたということである。(P264)

○あなたは生まれてきただけで価値があるんですよ、と思わせてくれるような社会を作りたい・・・そのためには、私という存在が認められなければいけないし、あなたという存在を認めたいんだ、と。・・・僕は国会を密かに「学校」って呼んでいます。・・・たくさん学校で学ばせてもらって、自分自身がバージョンアップしていかないと。だから誰かのため、と言うんじゃなくて、自分自身のためなんです。それに、今より成長しなきゃ、みなさんの役に立てませんから。(P289)

○今、絶好調に見える安倍政権は、実は、本来の政治の使命に逆行する最悪の政治である。/それが許されてしまうのは、長期政権の下で世襲貴族化した与党の「族議員」たちと、それと癒着した官僚たちと業界団体が、国民全体の利益よりも自分たちの「部分利益」を優先する政治が常態化してしまっているからである。・・・かつて与党を経験したことのある野党議員の中には既に族議員化してしまっている者も多く、彼らは既得権益に切り込むことができない。・・・その点で、山本太郎には、しがらみのない立場があり、素直な観察力があり、他者をこちらに向かせる力があり、見事な表現力があり、そして、何よりも理不尽を見逃さず怒るチカラ「正義感」がある。(P299)