とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

キリン杯決勝 日本対ボスニア・ヘルツェゴビナ

 久しぶりに代表戦でいいサッカーを見せてもらった。日本代表もがんばったが、それ以上にボスニア・ヘルツェゴビナのレベルの高さと勝利への意識の高さがいいゲームとなった要因だ。ボスニア・ヘルツェゴビナ代表に感謝したい。そして同時に日本代表の課題も浮き彫りになった。最後の場面でシュートを逡巡した浅野はもちろん、各選手にそれぞれ課題が突きつけられた。その点でもいいゲームだった。これを糧にさらにレベルアップにつなげたい。

 序盤は攻め込んだ日本だが、ボスニア・ヘルツェゴビナも開始早々から攻撃力の高さを発揮する。2分、CHメジャニャニンのFKに198cmCFジュリッチがヘディングシュート。GK西川がナイスセーブを見せる。日本も3分、OH清武からのパスに走り込んだ左SB長友のクロスに右SH浅野がヘディングシュートを見せるが、シュートはサイドネットに外れる。

 ボスニア・ヘルツェゴビナは中盤からのプレスがいい。10分、左SB長友からCHブランチッチがボールを奪うと、CFジュリッチが右に展開。右SHハイロビッチが中に切れ込んでミドルシュートを放つ。これもGK西川がナイスセーブ。日本は12分、CH長谷部の縦パスにCF岡崎がDFと一対一。こぼれたボールを拾った左SH宇佐美がミドルシュートを放つ。GKシェヒッチがナイスセーブ。ボスニア・ヘルツェゴビナのGKのレベルも高い。

 15分、CB森重のフィードのこぼれをCF岡崎が落とし、左SH宇佐美が戻したパスをCH長谷部が縦に。OH清武がシュートを放つが、GKシェヒッチがファインセーブ。最後はバーに弾かれる。ボスニア・ヘルツェゴビナも18分、ハイロビッチのCKにCHブランチッチがヘディングシュート。こちらはGK西川がナイスセーブ。日本は岡崎や長友が守備でも沸かせる。お互い攻め合って、手に汗握る展開が続く。

 25分、左SH宇佐美のクロスに右SH浅野がヘディング。競り合ってこぼれたボールをCH柏木がボレーシュート。しかし枠を外す。26分、清武のCKにCB森重がヘディングシュート。しかしこれはGKシェヒッチがキャッチした。そして28分、左SH宇佐美がドリブルで仕掛けると、左サイドをSB長友が駆け上がって空いたスペースに宇佐美が侵入。クロスにOH清武がシュート。これがネットに揺すり、ついに日本が先制点を挙げた。

 しかしその直後の29分。前線に放り込まれたボールをCFジュリッチが落とし、CHメジャニャニンがスルーパス。OHホジッチが走り込んでシュート。いったんはGK西川が弾き返すが、詰めてきたCFジュリッチが押し込んだ。すぐにボスニア・ヘルツェゴビナが同点に追いついた。日本は先制して気の緩みがなかったか。最初のジュリッチへのフィードと落としを楽々とプレーさせてしまったのが失点の原因だ。

 その後も互角の展開が続く。ボスニア・ヘルツェゴビナの球際の強さ、当たりの強さが際立つ。長谷部や酒井高徳など、日本も負けずに渡り合おうとするが、柏木などにはやはり当たり負けの印象が強い。このゲームではほとんど消えている場面が多かった。41分、左SB長友のクロスに右SH浅野が飛び込むが、GKシェヒッチがパンチング。こぼれ球をCH柏木がつないでCH長谷部がミドルシュートを放つが、DFがブロック。さらにOH清武がつないで最後は右SH浅野がシュートを放つが、DFにブロックされた。ゴール前が堅い。前半は1-1で折り返した。

 後半頭からCH柏木に代えて遠藤航を投入する。これで日本も中盤でようやく戦えるようになったが、ボスニア・ヘルツェゴビナはやはり強い。3分、OH清武のスルーパスに右SH浅野が走り込むが、クロスはDFがクリア。続くCKから長谷部がミドルシュートを放つが、大きく枠を外した。後半に入り、日本は右SH浅野に積極的に裏を狙わせ攻め込むが、ボスニア・ヘルツェゴビナの守備が堅い。なかなかゴール前まで入っていけない。

 そして21分、ボスニア・ヘルツェゴビナは左SHドゥリェビッチに代えて右SHステバノニッチを投入する。ハイロビッチを左SHへ。すると直後のFK。ピッチに勢いよく走り込んだステバノビッチに向けてCHメジャニャニンから縦パスが放たれる。あわてて付いていったCB森重を切り返してかわすと縦にスルーパス。CFジュリッチが走り込み、CB吉田のスライディングの股下を抜いてシュートを放つ。これが決まり、ボスニア・ヘルツェゴビナが勝ち越し点を挙げた。代わって入ったステバノビッチがどこにポジションを取るかと観察をしていて、FKを蹴ったメジャニャニンへのケアがおろそかになった印象。2013年のコンフェデレーション杯でイタリア相手に壮絶なゲームの末、3-4で敗れたゲームのCKでの失点を思い出した。

 その後は25分左SB槇野、29分には左SH小林祐希を投入して日本が必死に攻め続ける。33分、CF岡崎の落としから左SH小林祐希ミドルシュートは枠の左。42分には左SH小林祐希のスルーパスに右SH浅野が走り込んでシュートを放つが、DFにブロックされた。さらに34分にはCF金崎、43分にはCH長谷部に代えて小林悠を投入する。アディショナルタイム3分、CH遠藤のスルーパスに走り込んだ浅野がクロス。DFのはね返りをOH清武がミドルシュートを放つが、バーの上を越えた。浅野にはシュートを打ってほしかった。そしてアディショナルタイム4分、CH遠藤の粘りから縦パスをFW小林悠がヘディングで左サイドに送ると、左SB槇野のクロスに小林悠がDFを背負って反転からシュート。しかし空振り。結局このままタイムアップ。1-2。悔しいゲームを落とした。

 内容的にはけっして悪くなかった。しかし一瞬、いや二瞬の隙を突かれての2失点。悔しい失点を重ねた。そして得点チャンスもあった。特に最後の浅野のチャンスはシュートを打ってほしかった。それらも含めて、特に選手には悔しいゲームだったはず。これを糧にさらに精進を重ねてほしい。いいゲームだった。そして今後につながる、つなげなければいけないゲームだった。