とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

EURO2016決勝 フランス対ポルトガル

 フランスが圧倒的に有利だと思っていたのに。クリスティアーノ・ロナウドが負傷退場した時にはこれでフランスで決まりと思ったのに。サッカーはわからないものだ。結果的にクリスティアーノ・ロナウドの負傷退場がポルトガルの優勝を引き寄せたと言える。アディショナルタイム、テクニカルエリアまで出てきて叱咤激励するロナウドの姿には感動さえ覚えた。おめでとう、クリスティアーノ・ロナウド

 開始4分、ポルトガルは右SBセドリックのフィードからFWナニがシュート。フランスも6分、CFジルーとDFが競ったこぼれ球を右SHシソコがミドルシュート。さらに7分にはCHマテュイディのスルーパスにOHグリーズマンが走り込んでシュートを放つ。フランスはマテュイディとポグバのボランチ。シソコを右SHに起用し、CBにはコシエルニと若いウムティティが組む。対するポルトガルはウィリアム・カルバージョをアンカーに置く4-1-3-2。これまでと同様、ロナウドとナニが2トップを組み、アドリエンをトップ下にジョアン・マリオとレナト・サンチェスが左右に開く。CBにはペペが復帰した。

 10分、CBペペとCFジルーが競り合ったボールを左SHペイェが拾い、クロスにOHグリーズマンがヘディングシュート。GKルイ・パトリシオがナイスセーブ。続くペイェのCKにCFジルーがヘディングシュート。しかしこれもGKルイ・パトリシオがナイスセーブで弾き出す。フランスのプレスが早い。ポルトガルもボールを奪ってはパスを回すが、こちらはミスが目立つ。序盤はフランス・ペースで進んでいく。

 そして17分、FWクリスティアーノ・ロナウドに対して左SHペリェがきつくチェック。ペリェの膝が太ももに入ったか、ロナウドがひどく痛がり、痛み止めのスプレーの後、自らピッチの外に出ていった。22分、右SHシソコが単騎でドリブル突破からシュートを放つ。GKパトリシオがナイスセーブ。ポルトガルも23分、左SBゲレイロのクロスにFWロナウドとDFが競って、こぼれ球をOHアドリエンがミドルシュートを放つ。しかしその後、再びロナウドがピッチに横たわってしまった。結局25分、右SHクァレスマに交代する。これで断然フランス有利になると誰もが思った。

 ロナウドが退場したポルトガルはナニのワントップ。右SHにクァレスマを置いて、レナト・サンチェスを中央に寄せる4-1-4-1の布陣に変更する。34分、左SHペイェの横パスから右SHシソコが強烈なミドルシュートを放つ。しかしGKルイ・パトリシオがファインセーブ。次第にポルトガルの守備の集中力が上がっていったようにみえた。39分には左SHマリオのCKにCBフォンテがヘディングシュート。しかし枠を捉えられない。前半の終盤は集中力を高めたポルトガルがペースを握る形で折り返しの笛を聞いた。

 フランスは右SHシソコが積極的にドリブルを仕掛けていく。9分にはCHポグバがミドルシュート。しかしポグバは中盤の底で比較的おとなしい。左SHペイェも開幕戦ほどの切れは感じない。するとフランスは13分、左SHペイェに代えてコマンを投入する。その直後、CBウムティティの縦パスを受けた左SHコマンがスルーパス。OHグリーズマンが抜け出しシュートを放つが、GKパトリシオがセーブした。

 21分には左SHコマンのクロスにOHグリーズマンがヘディングシュート。バーを叩く。22分にも左SHコマンがミドルシュート。コマンが積極的に攻めていく。ポルトガルは22分、左IHアドリエンに代えてモウチーニョを投入する。30分、左SHコマンのスルーパスにCFジルーが抜け出してシュート。GKパトリシオがナイスセーブで弾き出す。

 フランスは33分、CFジルーに代えてジニャクを投入する。ポルトガルも34分、早くも3枚目の交代、レナト・サンチェスに代えてCFエデルを投入する。布陣はナニを右SHに張らせて、クァレスマを左SHに回す4-1-4-1。すると本来のポジションに移ったナニが躍動する。35分、右サイドを仕掛けた右SHナニからクロスがゴールを襲う。GKロリスが弾き出すと、左SHクァレスマがオーバーヘッド気味のボレーシュート。これはGKロリスがキャッチした。36分にも右SHナニがミドルシュート。フランスも39分、右SHシソコが強烈なミドルシュートを放つ。GKルイ・パトリシオがナイスセーブ。アディショナルタイムには左SBエブラのクロスにCFジニャックがDFを背負って向きを変えシュートを放つがポストに嫌われる。結局90分終えてスコアレス。勝負は延長戦に入っていく。

 延長の前に右足を包帯で巻いたクリスティアーノ・ロナウドが現れ、選手に檄を飛ばす。前半5分、クァレスマのFKにCBペペがヘディングシュートを放つが、オフサイドの判定。両者譲らぬ展開ながら、どこかしらポルトガルの方が元気がいい。14分にはクァレスマのCKにCFエデルがヘディングシュート。GKロリスがナイスセーブで弾き出す。

 延長後半には左SBゲレイロのFKがバーに当たる。そして4分、MFモウチーニョの縦パスを受けたCFエデルがCBコシエルニと競り合いつつ前を向いて強烈なミドルシュート。これがついにネットに突き刺さり、ポルトガルが先制ゴールを挙げた。フランスも5分、シソコに代えてマルシアルを投入し、必死に攻める。しかしポルトガルクリスティアーノ・ロナウドがテクニカルエリアまで入って、必死に味方を鼓舞する。最初のうちは審判もベンチに戻るよう指示をしていたが、すぐに前に出てきては声を上げる。ついにはサントス監督よりも前に出て直接選手に指示をする始末。その気持ちに応えるように一丸となって守るポルトガルアディショナルタイムに左SHコマンのクロスをCHポグバが落としてマルシアルがシュートをする場面があったが、フランスのチャンスはこれくらい。結局最後まで守りきったポルトガルが1-0。悲願のEURO初優勝を遂げた。

 2004年、自国開催のポルトガル大会で決勝に進出しながらギリシャに敗れて準優勝。その後は決勝まで辿りつけなかったが、ようやく掴んだ決勝戦が開催国フランスとの対戦。しかも前半でのクリスティアーノ・ロナウドの負傷退場。しかし、だからこそ選手が燃え立った。だからこそ集中した。そして延長戦には2004年の悔しさを知るロナウドがベンチに戻ってきて、テクニカルエリアに出てきて選手に檄を飛ばす。どうして燃えずにいられようか。どうして勝たずにおれようか。こうして手にした優勝カップには出場した選手だけでなく、ポルトガル国民の心がこもっている。ロナウドの熱い心がこもっている。

 フランスの快勝に始まったEURO2016だったが終わってみればクリスティアーノ・ロナウドの大会だった。その勝利への執念には誰もが感動した。みんなの心をクリスティアーノ・ロナウドが熱く燃え上がらせた大会だった。