とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

国って何?

 柔道のベイカー茉秋が勝利し、家族に向かって高々と指を指し伸ばした時、昭和6年生まれの父は、「混血だからあんなことをする」となじった。85歳の老人の言動ゆえ許してください。そう言えば、今大会、日本選手の中にはいわゆるハーフの選手が多い。陸上のケンブリッジ飛鳥、サッカーの鈴木武蔵、バスケットボール女子の渡嘉敷はクォーターだし、7人制ラグビーのレメキは帰化選手だ。

 そうした中、バドミントン・ダブルスの中継の際に、アナウンサーが「日本の得点です」とか「日本がタイムアウトを取りました」という表現に違和感を覚えた。「日本ペア」と言ってもらえば違和感はないのだが、単に「日本」と言われると、別に自分がプレーしているわけじゃないのにと感じてしまう。これがバレーボールや卓球団体などであれば、「日本が1点をリードしました」とか「日本が2勝1敗です」と言われても当たり前だが、ダブルスやシングルは国ではなく選手として出場しているという思いがあるのでそう感じるのだろう。先日のバドミントンで奥原と山口が準々決勝で対戦したゲームは、個人で出場しているということをはっきりと示していた。

 一方で、柔道やレスリングは1国1選手と決められているようで、それならたとえ個人種目でも「日本、金メダル」と叫んでもいいのかもしれない。でも個人種目ではたとえ金メダルを取っても「金藤、金メダル」と個人名を叫んでいたように思う。たぶんダブルスで、「高橋・松友」と二人の姓をつなげて話すのが難しく、一言「日本」で済ませてしまったんだろう。理解はするが、やはり「高橋・松友ペア」と言ってほしかった。

 一方、団体競技や卓球などの国別対抗では、日本チームとしか呼びようがない。サッカーのW杯やEUROも国別対抗だが、クラブ選手権やUEFAチャンピオンズ杯の方がチームとしてのレベルは高いと言われる。団体競技も国別対抗ではなく、クラブ対抗にしてしまうという方法もありそうだが、各国の代表で成り立っているIOCがそこまでの決断をする日は限りなく遠そうだ。前に「いっそ、国旗を掲げる表彰式など止めてしまえば」と書いたが、たぶんそんなこともないだろう。

 欧米の各国では明らかに移民と思われる選手が多く出場しているし、卓球ではどの国も中国からの帰化選手が中心となっている。日本もいっそ、国とは何か、というところから考え直したほうがいいのかもしれない。

 

PS.

 バドミントンの高橋・松友ペアが見事、金メダルを取った。第3セットも終盤までリードされながらの見事な逆転勝利。すごい! 決まると同時に泣きじゃくった高橋に対して、笑顔を爆発させた松友。この違いがペアとしてのプレーにも貢献しているのだろう。それにしてもおめでとう。