とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

人研ぎテラゾー

 人研ぎテラゾーって知っていますか。正確には「人造石研ぎ出しテラゾー」と言うのかな。ネットで調べると、「人研ぎ」と「テラゾー」は違うようで、種石の大きさで区別されるらしい。また、現場で研ぎ出し作業を行う場合と工場生産のテラゾーブロックを設置する場合に分けられ、前者は「現場テラゾー」と呼ばれる。そう言えばそうですね。

 「現場テラゾー」と言えば、昔、小学校の手洗い場などは現場テラゾーで作られていたっけ。あと、公園の遊具の動物などの形をした遊具も「現場テラゾー」で作られていた。確かに。懐かしい。30数年前に担当した高校の現場では、人研ぎテラゾーの手洗いがあったように記憶するけど、施工状況はあまり記憶にない。もっとしっかり見ておくんだった。トイレでタイル業者の方が夫婦でタイルを張っているのを毎日ぼんやり見ていた記憶がある。入社1年目のこと。あの当時は、杭打ちもコンクリート打ちも配筋工事も型枠工事も何もかも勉強だった。

 それはさておき、わが社のトイレの小便器の前の棚板がテラゾーブロックでできている。ずらりと並ぶ小便器のどこを使うかは、随分昔に考察したことがあるが、空いていればだいたい同じ便器の前に立つ。それでいつも同じテラゾーの模様を眺めながら用を足すのだが、意外にその時によって見えてくる模様が違う。ある時は女性の顔に見えれば、またある時はスケベな親父。怪獣が見える時もあれば、可愛いリスが顔を見せるときもある。たぶんその時の心理状態が反映するんじゃないかと思うのだけれど。

 それで今日は・・・模様よりも、「そうだ、これは人研ぎテラゾーだ」ということに気が付いて、全体を眺めていた。人研ぎの手洗いはもちろん、棚板のテラゾーブロックや床のテラゾー仕上げも今はすっかり見かけなくなった。テラゾー自体が人工大理石のことだけど、日本も裕福になって本家の大理石を使用する施設もあるだろうが、一般的には硬質プラスチック系のパネル等が使われているんじゃないかな。でもそうした素材の表面には人研ぎテラゾーのような模様はない。高速道路のSAのトイレの仕切り板にも昔はテラゾーのパネルが使われて、模様をなぞって卑猥な落書きが書かれていたが、今はたいていステンレスで落書きもなくなった。これはきっといいことなんだけど、でもなんだかつまらない。それで私は今日も、小便をしながら棚板の模様を眺め、妄想にふけっている。