とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

アメリカ大統領選とTPP

 アメリカ大統領選から1週間が過ぎようとしている。トランプが勝利して、その当日は株価が大きく下がり、円も上がった。そして多くの評論家や知識人が「まさかトランプが勝つとは思わなかった」と異口同音に選挙結果に対して驚きのコメントをしていた。アメリカでは依然、反トランプデモが続いているが、勝利宣言の翌日にはトランプが積極的な経済政策を口にしたことで株価も反騰。円も逆に大きく円安に振れることになった。

 それにしても、どうして多くの評論家等がクリントン勝利を確信していたのかがわからない。事前の世論調査ではクリントンが2%余りリードしていたが、FBIが訴追をしないという報道で少しリードが開いたものの所詮2%程度。だから最終的な結果はどう転ぶかわからない、と考えるのが普通じゃないか。私としては4~5割はトランプが勝利する可能性があると思っていたし、結果を聞いてそれほど驚かなかった。逆にみんなが驚いていることに驚いた。

 そもそも所詮は外国の話。日本としてはあらゆる可能性に対して準備をし、対応を考えておくというのが外交施策としてあるべき態度であって、「びっくりした」では、「日本の外交や評論家は大丈夫か?」と返す他ない。結果を受けて、「トランプでもけっこう大丈夫かも」なんて評論が出ているが、何だかなあという感じ。それなら選挙前からそう言えよ。もちろん日本政府はそこまでの動揺は表さずに、「トランプであってもこれまでと同様の信頼関係を築いていきたい」といった趣旨の発表があり、さっそく17日は安倍総理が渡米して会談を行うようだが、マスコミや評論家の狼狽振りはないんじゃないか。あれでは全く信頼ができない。

 TPPについても、大統領選挙前に衆議院強行採決して批判が出ているが、そもそもTPPを日本にとって「得か損か」で論ずることがよくわからない。条約というのは別に強制ではないのだから、条例参加国にとってお互い「得である」はずだ。もちろん、国にとってそれぞれ、得な部分に濃淡はあるかもしれないが、反対する国があるということは「得ではない」国があるということで、それじゃそもそも条約締結になるわけがない。

 もちろんそれぞれの国内で、得をする産業、損をする産業があることは理解するが、国対国で「勝った・負けた」を論ずること自体がおかしい。「日本も得、アメリカも得。それでどうしてアメリカは反対するんですか」と論評すべきではないのか。TPPについては日本の立場に立ってばかりの評論が多いが、本来はもっと多国間の相互利益を報じる必要があるのではないか。

 パリ協定については世界的な環境保全という意味でよく理解ができ、その上で、なぜ日本はなかなか批准しなかったのかが論じられるべきだし、そういう報道になっていると思うが、TPPについては最初の大義の部分がよくわからない。「自由貿易の推進」というが、それが各国にとってどういうメリットがあるのかをきちんと説明すべきだ。

 ということで、最近の政治や国際関係にはよくわからないことが多い。マスコミにはもっとわかりやすく納得のできる説明をお願いしたい。