とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

「Thi's a pen」と「ソメチメス」

 きっこのブログで、「11+22=44?」というエントリーがあった。小学生の頃、22+22=44や33+33=66は理解できたのに、66+66=132に納得がいかなくて、それ以来、算数嫌いになってしまったという話だ。このエントリーを読み進めていくと、最近、66+66=132は両端の1と2を足すと真ん中の数字3に等しくなることに気付いた、という話になっていく。666+666=1332だし、7777+7777=15554だ(今、しっかりと計算せずに書いたけど、合っているよな?)。つまり、7+7=14で、その1と4を両端において、間に1と4を足した5を並べれば、計算はしなくても答えはわかるということ。こんな話はこれまで読んだ数学の本にも書かれていたかもしれないが、こうして自分で気付くとしっかりと頭に残る。

 きっこはこれで算数嫌いになったと言うが、私の場合は、「This is a pen → Thi's a pen ?」。中学1年生で初めて英語を習ったときに、今、流行っているPPAPではないけれど、最初に「That is a pen」という文章を習う。次はPPAPのように、penに代わる名詞として、Appleやpineappleも習うが、それがひと段落すると次に習うのは、That's a penやIt's a penだ。この時に、That'sはThat isの短縮形、It'sはIt isの短縮形と習う。これでわからなくなってしまった。じゃ、This isの短縮形は何て言うんだ? きっとThi'sと言うんだろうと思ったが、いつまで経っても先生は教えてくれない。どうしてだ? 今になれば、「This」の最後のsと「is」の「s」が重なって「This’s」というわけにはいかないということはわかるが、当時は先生がわざと教えてくれないのでは、なんてことまで思っていた。

 その次に混乱したのが、出来の悪い友達が、「sometimesを『ソメチメス』と言って覚えればいい」と言ったことだ。これはすぐにその記憶法の誤りに気付いたが、時は既に遅し。それまでは英語の発音のまま順調に流れていた頭の中が、sometimesが出るたびに、「ソメチメス」と一旦停止してしまう。そしてThis isが出るたびに、どうしてThi'sと言わないんだと、疑問が頭を駆け巡る。それらも妄想を吹き払っているうちに、英文はとっくの昔に数文字は先に進んでしまい、その間、何を言っていたか、どこを読んでいたかわからなくなる。

 そんなこんなで中一の初めに挫折した英語は、以来、最苦手科目となり、英検3級の試験は落ち、大学入試では(何とか他教科でカバーしたが)200点満点の唯一の2桁科目となり、大学入学後も他の生徒の倍も外国語の授業を受けることとなり(1回目は不合格で2回ずつ受講した)、就職試験も英語問題があった会社の合格内示は得られず、そしてとにかく外国人と付き合うことのないドメスティックな会社に就職した。まあ、建築学自体がドメスティックな学問・技術だと思っているが。

 人はこんな小さなことで苦手科目をつくり、それが一生つきまとってしまうんだ、それは自分だけではないんだ、ということを「きっこのブログ」の記事で知った。でも、きっこは44歳にして、66+66=132の秘密に気付いたけれど、私はいまだにThi's is a penから逃れられずにいる。きっと一生、Thi's is a penと付き合っていくんだろう。その呪縛から逃れたとき、新たな人生が開けるかもしれない。それまでは海外旅行なんて絶対しないぞ!

PS.

 一度だけ、大学の先生を通訳に、イギリスへ旅行に行ったことがあります。最近は妻に、退職後の海外旅行を要求されています。英語を話さなくてもいいんだったら、海外旅行へ行ってもいいかもしれない。だから、もう海外旅行なんてしないなんて、言わないよ、絶対~。