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とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

笑える日本語辞典

 「笑える国語辞典」というサイトがある。そこから特に「笑える」項目などを選りすぐって掲載したものである。冒頭に、

○私たちが日常使っている言葉は、辞書に載っている意味ではとらえきれない複雑なニュアンスを含んでいます。特に日本語は、相手のホンエやその場の空気を読まなければ正しい理解が得られないユニークな言葉であふれています。/そんな日本語の意味・語源・用途を探り、日本人の心理や日本文化の特徴に迫ろうとするのが本書です。冗談まじりで解説してはいますが・・・「根はマジ」なのです。(P3)

 と書かれているが、これだけのものを作り上げる(ホームページにはさらにこの10倍近く)のは相当な知識と根気がいる。まさに「根はマジ」なのだ。

 この種の本で当然思いつくのは、A.ビアスの『悪魔の辞典』だが、以下のとおり、しっかりと「パクリ」の項目でそのことにも触れられている。

○「なんだよ、この辞典。A.ビアスの『悪魔の辞典』のパクリじゃないか!」などと用いる。(P163)

 「KAGAMI & Co.」という執筆者名だが、どういうメンバーで作っているのだろうか。何となく出版編集者や国語教師といった感じがするが、男性目線で会社員の悲哀をベースにした解説が多い。女性目線や家庭生活・地域コミュニティといった視点から、女性などさまざまな属性の人が参加して作成するとさらに面白く、内容も膨らみそうだ。続編の発行を期待したい。

 

笑える日本語辞典 辞書ではわからないニッポン

笑える日本語辞典 辞書ではわからないニッポン

 

 

○両者が親しくなり、さらにミウチの関係になると、ヨソヨソしさはナレナレしさに変わり、上位の者はナレナレしく下位の者をかわいがったりいじめたりし、下位の者は謙遜の姿勢を保ちつつもナレナレしく上位の者に甘える態度を身につけるようになる。伝統的な日本の社会では、上位の者に上手に甘えることが、出世の近道であった。(P16)

○畳は、昔からサイズがほぼ規格化されていたので、「4畳半」と言うだけで、日本人なら部屋の広さが想像でき、・・・4畳半といえば「むさい男のひとり暮らしの部屋」、6畳なら「4人家族のつつましいダイニング、またはリッチな子ども部屋」・・・14畳なら「住宅会社やマンション業者が偉そうに掲げるリビングの広さ」などと、そのライフスタイルまでイメージできるという優れた特徴がある。つまり畳は、「床材」としてより「物差し(スケール)」として今後も残る可能性のある素材である。(P25)

○口説く:弁舌さわやかに相手を言いくるめるのではなく、筋の通らない話を何度も繰り返して、うんざりした相手が諦めて納得するというような、あまりスマートではない説得の仕方を言ったものである。特に、男性であるあなたがお目当ての女性を意のままにしようと言い寄ることを「口説く」と言うが、彼女があなたとつきあわなければならない正当な理由など何もないのだから、くどくどと「口説く」ことになるのは当然のなりゆきと言えるであろう。(P66)

○例えば「こんなに嬉しいことはない」と「そんなに嬉しいことはない」は「こんな」と「そんな」の違いでしかないが、・・・前者は自分の身に起こった嬉しいことを指し示して「いままでの経験でこれ以上嬉しいことはなかった」と言っているのに対して、後者は、相手が自分のことを「ものすごく嬉しいだろう」と考えていることを指し示して、「そんなには(あなたが考えているようには)嬉しくない」と言っている・・・。近いように見えるが、「そんな」と「こんな」には「あなた」と「私」の現実的な関係くらいの大きな隔たりがあるのだ。(P142)