とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

退職記念旅行は、東北でよかった(その6)

 「退職記念旅行は、東北でよかった(その5)」から続く。

 朝起きて窓を開けると、真正面の鳥居の上に岩木山がそびえていた。すばらしい山容。朝食後9時に宿を出て弘前公園へ向かう。(今調べると、「世界一の桜並木」まですぐのところまで来ていた。宿のポスターでは見たのだが。女将さんに場所を聞けばよかった。と今更ながら悔やむ)。市役所前を通って、市立観光館へクルマを止め、追手門から弘前公園に入っていく。9時過ぎというのに、既にすごい人出だ。弘前市内の宿が取れなかったわけだ。お濠の水面に桜の花びらが面をなして広がっている。噂に違わぬすばらしい景観だ。思わずカメラを向けて何枚も何枚も写真を撮ってしまう。追手門を抜け、赤い杉の大橋を渡り、南内門を抜けると二の丸。いよいよ人が多くなる。中国人も多い。下乗橋から本丸に上っていくところで入園料が必要になる。引き返す。目的は天守閣ではなく、桜。

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 同じ道を戻り、西の丸から西の郭へ向かう。さらに一旦お城を出て工業高校裏を西に行くと、桜のトンネル。西濠に沿って桜並木が続いている。濠に架かった橋の上から眺めると、広々とした水面の両側を桜並木が縁取り、気持ちのいい空間が広がっている。風も気持ちよく、しばし堪能。それからまた来た道を帰る。途中の池にオシドリがいた。それもつがいで。こんなに近くで見られるのは初めてかも。しかも久しぶり。オシドリのズームを何枚もカメラに収めた。その向こうにはカルガモの親子も。そして水芭蕉が咲いている。弘前公園はなんて気持ちのいいところか。

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 桜越しに岩木山を眺めながら二の丸を出ると、右手に瀟洒な建物が。ん? チラシを見ると、「前川國男作品」と説明書きがある。弘前市立博物館はレンガ貼りのモダンな建物だが、その南にある弘前市民会館がすごい。北側に大きなボリュームのホール棟。南側は会議棟か。そして二つのマッスを細い通路券エントランスがつないでいる。そして会議棟の手前に煙突か、エントランスと直角に高い塔がそびえている。この構成力、造形力。市民会館前では結婚式のカップルが桜を背景に記念写真を撮っていた。

 追手門まで戻り、青森銀行記念館まで歩こうとしたが、ちょっと遠い。それで途中で南に折れて、旧東奥義塾外人教師館へ向かう。深緑の縁色がシックな洋館。見学後はしばし喫茶室「Salon de café Ange」で休憩。リンゴのデザートセットがおいしかった。この洋館の南側にミニチュア建造物群がある。もう失われたもの、まだ現存するもの、いろいろだが、結局、青森銀行記念館はこのミニチュアを見るだけで終わった。

 その隣にあるのが、旧弘前市立図書館。こじんまりした建物だが、両側に塔屋がそびえるのが威厳を感じさせる。さらにその西隣には現在の市立弘前図書館があり、道を隔てて弘前市役所が延びる。打ち放しの梁柱型にレンガ貼りの壁が収まり、屋根面がギザギザと刻まれたレンガ壁の階段室が立ち上がる。その右側には岩木山前川國男はやはりいい。市立観光館に戻って、土産物を買ってクルマに乗る。青森銀行記念館を観たかったが、渋滞していたので諦め、次は奥入瀬渓谷へ。途中、給油をしてナビに従ってクルマを走らせる。

 ナビは国道102号から394号、そして酸ヶ湯温泉から国道103号を指し示す。次第に深くなる雪。八甲田山も間近い。西には岩木山が遠く見える。まるで冬の世界。対向車もなく気持ちよくゆるやかなスカイラインを走る。そして次第に道が下ると、くねくねとした道を通って、「渓流の駅おいらせ」に着く。もうだいぶ時間も遅い。せんべい汁ランチとリンゴカレーを食べる。

 そしていよいよ奥入瀬渓谷へクルマを進める。のっけからおおっ!とクルマを路肩に止めて写真を撮る。駐車場があるかと心配していたが、GW前のこの時期はまだクルマも少なく、路肩に止めても追い越すクルマは少ない。紫明渓。三乱の流れ。石ヶ戸には休憩所もあって駐車場になっている。阿修羅の流れ。先を行く観光バスが見所で止まっていく。その後を付いて、千筋の滝。雲井の滝。岩菅の滝。白糸の滝。不老の滝。九段の滝。落葉の季節には遠くの滝も姿を現す。そして銚子大滝に車を停めて歩いていく。最後に寒沢の流れを見て十和田湖に至る。よかった。予定以上に時間をかけてしまった。

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 それで十和田湖の乙女の像も展望台も通り過ぎて(展望台は少し後悔)、先を急ぐ。途中、「道の駅 こさか七滝」でトイレ休憩。さらに行くと、「鉱山のまち 小坂」を通り過ぎる。鉱山のまち? あっ! 小坂と言えば、芝居小屋「康楽館」があるじゃないか。それで信号を右に折れると、すぐに幟が何本もかかった日本最古の木造芝居小屋が見えてきた。こんな田舎町なのに、今も現役で歌舞伎を上演している。そしてその先には「小坂鉱山事務所」が建っている。いずれもきれいに整備されている。時間がないので、写真をパチリ。そして先を急いだ。

 東北自動車道を小坂ICで乗り、盛岡ICまで。降りて西へ向かうと、30分余りで田沢湖畔。今夜の宿は「湖畔浪漫の宿 かたくりの花」。東京育ちの新人の仲居さんはややぎこちなかったけど、料理はきりたんぽ鍋もあって豪華だった。一人18200円はやや高いけど、施設は新しいから仕方がないか。貸切展望風呂が寒くて困ったけど。

 「退職記念旅行は、東北でよかった(その7)」に続く。