とんま天狗は雲の上

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記録的短時間大雨情報っていったい?

 今年は頻繁に「記録的短時間大雨情報」って言葉を聞く。長すぎて何を意味しているかよくわからない。ただ、大変だ!と叫んでいるように聞こえる。でも本当のところどういう意味だ? また同時に、「50年に一度の大雨」という言葉も聞く。両者は同じ意味なんだろうか? どちらがより大変なんだろうか? 気象庁のサイトで調べてみた。

 まずわかったのは、「記録的短時間大雨情報」と「50年に一度の大雨」は別の意味だということ。「記録的短時間大雨情報」とは「数年に一度程度しか発生しないような短時間の大雨」が発生したり、しそうな時に発表され、「数年に一度程度」というのは、「1時間雨量歴代1位または2位の記録を参考に」地域ごとに基準を定めている。例えば愛知県では1時間100㎜以上の雨が降る場合に発表される。この値は地域によって異なっている。平成24年から始められた。

 一方、「50年に一度の大雨」は平成25年から始められた「特別警報」のための指標として、「48時間又は3時間降水量等が50年に一度の値になった地域が一定の広がりの範囲で出現」と定められており、これを引用して、「50年に一度の大雨」という表現が使われていると思われる。では「50年に一度の値」はどうやって決められているかというと、全国を5㎞メッシュに切って確率計算したもので、過去50年の最大値というわけではない。

 つまり両者は、全く別の情報であり、警報である。

 以上の説明を読むと、「記録的短時間大雨情報」よりも「50年に一度の大雨」の方が危険度は高いような気がするが、1時間100㎜の雨といったら相当なものなので、実際のところはどうなんだろう?

 ただ、「記録的短時間大雨情報」にしろ、「50年に一度の大雨」にしろ、限られた特定の地域での情報なり警報であって、日本全体で50年に一度ではない。日本には47の都道府県があるが、例えば都道府県規模の広さで「50年に一度の大雨」があったとしても、日本全体でみれば、年に1回は日本のどこかで「50年に一度の大雨」がある計算になる。特別警報は市町村単位で発令されるので、年に数回、「50年に一度の大雨」があっても当たり前ということだ。

 でもそれを知らないと、本来であれば50年に一度の大雨が、最近は年に数回も降っているように聞こえ、日本はすごい異常気象の時代になったような感じがする。もちろんその地域の人にとっては50年に一度の災害の危険があることは間違いないから、警戒する必要があるし、必要な情報だということもわかるが、どこかでもう少し丁寧な説明が必要ではないか。

 少なくとも、「記録的短時間大雨情報」と「50年に一度の大雨」は混同しないよう、整理・統一したほうがいいのではないか。警報が出ても避難しなかった人がいたので、特別警報という仕組みができたと認識しているが、またそのうち「特別警報」が発令されても避難しない人が増えるような気がする。オオカミ少年と村人みたいだ。オオカミ少年が悪いのか、村人が悪いのか。「悪い村人は死にました」でいいのではないか。