やったー！ おめでとう。W杯出場決定！ サウジアラビアがUAEに負けて、一気に楽勝モード、そして却って危ない、といった様々な憶測が乱れ飛ぶ中、日本代表はそんな雑音に惑わされることなく、しっかりと自分たちの戦い方を貫いて、見事、W杯出場を決めた。しかもゴールが浅野と井手口。ロシア大会だけでなく、その後にもつながるような若い世代の活躍で勝利したことは本当にうれしい。今回の日本代表は違うぞというところを見せてくれた。
先発はDF陣と長谷部、山口までは予想どおりだったが、左IH井手口の先発。そして浅野と乾の両SHはさすがに予想できなかった。こうした重要なゲームでこうした思い切った選手起用のできるところが、いかにもハリルヒジッチ。これまでの代表監督とは一味違う。オーストラリアは予想どおりの3バック。前線はクルーズをワントップにロギッチとトロイージがトップ下に並ぶ3-4-1の布陣。
開始2分、左IH井手口のCKに右SB酒井宏樹がヘディングシュート。セットプレーのキッカーを井手口が務めるとは思わなかった。右SB酒井もゲームを通してよく戦っていた。日本は序盤、高いプレスから攻め込んでいったが、次第にオーストラリアも落ち着いて、逆にオーストラリアがパスをつないで、日本が守る展開になってくる。それでも日本は集中して守り、カウンターでゴールを狙う。14分、左SH乾が右サイドから中に切れ込んでのミドルシュート。わずかにポストの左。16分にはSCKから左IH井手口のクロスに、右SH浅野がファーサイドに走り込み、ヘディングシュートを放つ。
この時間帯、オーストラリアはパス回しだけでなく、球際の強さを発揮。日本はCH長谷部のところにプレッシャーをかけられてボールロストをしたり、右SH浅野と右SB酒井の間で意思の疎通がなかったりと連携ミスが続く。オーストラリアも23分、右WBレッキーのパスがつながらず、CF大迫が奪ってミドルシュート。しかしGKライアンがセーブした。32分には右FWトロイージのクロスにCFクルーズが走り込むが、間一髪、GK川島がセーブする。
ここから少しずつゲームが動き出す。35分、CF大迫の縦パスから左SH乾が中へドリブル。落としを右SB酒井宏樹がミドルシュート。続くゴールキックを左SB長友がカットして、左SH乾につなぎ、CF大迫のスルーパスに左SB長友が走り込んでクロス。右SH浅野がヘディングシュートを放つが、ポストの右。オーストラリアも38分、CHルオンゴのキープから、落としのパスを右WBレッキーがミドルシュート。CB吉田が身体に当てたボールはポストに弾かれた。
そして41分、左サイドからSB長友が中に切れ込んでクロスを入れると、絶妙のタイミングで右SH浅野が走り込んでフリー。ダイレクトで合わせて日本が先制ゴールを決めた。43分にはCB吉田のフィードのクリアをCF大迫が拾って、クロスに右SH浅野がシュート。さらに44分、右SB酒井宏樹のクロスにCF大迫がシュート。前半は日本の1点リードで折り返した。
後半4分、ゴール前のルーズボールにCB吉田とGK川島の連携が悪く、あわやのシーンがあったが、後半は日本がペースをつかんでいく。10分、右IH山口の縦パスに走り込んだ右SH浅野のクロスに左SH乾がシュート。続く井手口のCKに右SB酒井がヘディングシュート。12分、CF大迫がポストプレーで粘って、落としを左SH乾が拾って走り込みシュート。DFがブロック。オーストラリアは16分、トロイージに代えてCFユーリッチを投入。クルーズは右FWに下がる。18分、井手口のFKのクリアを左SB長友がロングシュート。GKライアンがキャッチする。
オーストラリアは20分、左FWロギッチがミドルシュート。25分には左FWロギッチの縦パスに右WBレッキーが走り込み、クロスにFWクルーズがシュート。右SB酒井がブロックする。その直後、オーストラリアはFWロギッチに代えてケーヒルを投入。26分、右FWクルーズのクロスにCFユーリッチが走り込む。しかし右SB酒井が絞ってシュートを打たせない。右SB酒井はよく走って、攻守に活躍した。
日本は30分、左SH乾に代えて原口を投入。すると32分、CF大迫のポストプレーから左SH原口がドリブルで走って、クロスに左IH井手口がミドルシュートを放つ。さらに37分、左IH井手口のフィードに右SH浅野が走り込み、ドリブルはDFに止められるが、こぼれ球をCF大迫がミドルシュート。しかし枠を外した。そして37分、CHルオンゴに左IH井手口と左SH原口でプレスをかけて奪うと、井手口が中へドリブルをしてミドルシュート。これがゴールに吸い込まれて、日本はダメ押しの追加点を挙げた。
その後は42分CF岡崎、44分右SH久保を投入。前線に運動量を保つと、うまく時間を使ってオーストラリアに攻撃を許さない。そしてタイムアップ。日本は慎重かつ大胆なゲーム運びで2-0。オーストラリア相手にW杯予選で初勝利。W杯出場を決める勝利を挙げた。
何と言っても、22歳浅野、21歳井手口の活躍がうれしい。そして大迫もよくポストプレーでがんばった。また右SH酒井のがんばり、CB吉田と昌子も最後までよく戦った。みんなで挙げた勝利、そしてみんなで掴み取ったW杯出場権。よかった。とりあえず今はおめでとう。「僕たちは誰もまだロシアへ行けるかどうかは保証されていない」。試合後に長谷部が話していた。来年のロシアに向けて、次の戦いが始まった。
