とんま天狗は雲の上

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W杯南米予選最終戦 エクアドル対アルゼンチン

 W杯予選が最終局面を迎えている。ヨーロッパではイングランドやスペイン、ドイツなどがW杯出場を決める一方、オランダはW杯出場がならなかった。そして南米予選はブラジルが早々にW杯出場を決めたが、残りはほぼ横一線。中でも、崖っぷちに立たされているのがアルゼンチン。自動出場の4位と2位ウルグアイとの勝ち点差は3。そしてアルゼンチンは最終戦を残してプレーオフ圏外の6位に沈んでいる。ただし4位との勝ち点差はわずか1。最終戦エクアドルに勝てば、最低プレーオフ圏内の5位以上が確定する。

 しかし、エクアドルのホーム、標高2700mを超えるキトではこの16年間、一度も勝っていないと言う。しかも今回のW杯予選初戦にはアルゼンチン・ホームでエクアドルに敗戦。前節、第17戦ではペルー相手にシュートを打てども打てどもゴールが遠かった姿からは、悲観的な見方も少なくなかった。アルゼンチンはいったいどんなサッカーをしているのか。途中から監督に就任したサンパイオ監督がどんな采配を見せるのか。DAZNで観戦することにした。

 アルゼンチンの先発はマスチェラーノを中央にメルカードとオタメンディで組む3バック。右WBサルビア、左WBアクーニャ。ビリアをアンカーに、左IHディマリア、右IHエンソ・ペレス。FWはメッシとベネデットで組む。対するエクアドルは4-1-4-1の布陣。アンカーにイントリアゴ。ワントップにはオルドニェスが入る。

 開始30数秒、CBアイマールからのフィードをCFオルドニェスがDFと競って、こぼれ球を左SHロマリオ・イバーラが拾うと、オルドニェスとのワンツーで抜け出してシュート。なんとエクアドルが先制点を挙げた。衝撃のスタート。7分にも左SHロマリオ・イバーラのパスから右SHレナト・イバーラがシュート。DFがブロックしたボールはGKロメロがキャッチする。アルゼンチンも10分、左SHディマリアがミドルシュート。さらにFWメッシのパスを受けたディマリアがシュート。序盤、堅い表情を見せていたディマリアが必死にシュートを放っていく。

 すると12分、FWメッシから左に展開。左SHディマリアのクロスにメッシが左アウトサイドで合わせる技ありのシュート。アルゼンチンが同点に追い付いた。これでようやくアルゼンチンに落ち着きが戻った。16分にはFWメッシが仕掛けてシュート。19分、メッシのFKは壁に当たる。そして20分、FWベネデットから左に流したパスを左SHディマリアが縦に入れる。CBアイマールがカットしたが、それをFWメッシが奪い取ってそのまま前に運んでシュート。アルゼンチンがメッシの活躍で勝ち越し点を挙げた。

 こうなるとアルゼンチンに余裕ができる。積極的なプレスでエクアドルを押し込んでいく。32分、左SHディマリアの落としからFWメッシがスルーパス。ディマリアが走り込んでシュートを放つが、GKバンゲーラがセーブ。続く左WBアクーニャのCKに右CBメルカードがヘディングシュート。GKバンゲーラがキャッチした。エクアドルは41分、FWエネル・バレンシアを投入する。布陣は4-4-2。中盤でイントリアゴとオレフエラを並べ、エネル・バレンシアが自由に動き回る。前半はこのまま、アルゼンチンのリードで折り返した。

 後半に入ると、エクアドルが攻勢をかける。だがアルゼンチンもしっかりと守りを固めた。厳しいプレスで互角の展開が続く中、お互いなかなかシュートを打たせてもらえない。この膠着した状況を撃ち破ったのもメッシ。17分、アルゼンチンのクリアボールをFWメッシが中盤で収めると、ドリブルからDFの足が伸びたところでループシュート。これがゴールに吸い込まれた。ハットトリック。アルゼンチン3点目でエクアドルを突き放す。

 エクアドルは19分、FWオルドニェスに代えてエストラーダ。31分にはCHイントリアゴに代えてウチュアリを投入する。アルゼンチンも31分、FWベネデットに代えてイカルディを投入。34分、エクアドルは左SBラミレスのクロスにFWエストラーダがヘディングシュート。アルゼンチンは39分、左SHディマリアに代えてパレデス。さらに45分には右WBサルビオに代えて長身CBファシオを投入。守りを固める。

 アディショナルタイム46分、右SHレナト・イバーラがミドルシュート。さらに右SBベラスコのクロスにFWエストラーダがヘディングシュートを放つが、枠は捉えられない。逆に48分、FWメッシから右に展開し、右SHエンソ・ペレスのスルーパスに走り込んだFWイカルディがシュート。GKバンゲーラがナイスセーブ。最後はアルゼンチンが時間を使ってそのままタイムアップ。3-1。アルゼンチンが勝利し、崖っぷちからW杯出場を決めた。

 結局、南米予選は勝てば出場が決まったパラグアイが最下位ベネズエラに負けて7位。3位だったチリがブラジルに負けて一気に6位まで落ちて、W杯出場を逃す一方、ペルーは後半31分の同点ゴールで5位に滑り込み、ニュージーランドとのプレーオフに進むこととなった。その差はわずか得失点差2。最終戦で順位がガラガラと変わった。それにしてもアルゼンチンに負けたエクアドルでさえ、日本よりははるかに強そう。とにかく厳しい南米予選。W杯出場を決めたどのチームも十分W杯本選でグループリーグを勝ち抜く力を有する。そしてアルゼンチンもまた勝ち抜けてよかった。メッシが一人で決めたW杯出場だが、W杯本選に向けてはサンパイオ監督がどんなチームに仕上げていくのか、それもまた楽しみだ。