とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

キリンチャレンジ杯 日本対ハイチ

 最初、この組合せを見たときは、「ハイチなんて弱小国とやって意味あるの?」と思ったけど、FIFAランキングは第48位。過去4年ほどは70位前後を彷徨っていたが、今年になって急上昇。北中米予選は惜しくも4次予選で敗退したものの、伸び盛りのチームだ。そのハイチに対して日本は杉本のワントップ、遠藤をアンカーに倉田と小林の中盤、さらにCBも久しぶりに吉田をベンチに置いて、槇野と昌子で組むなど、これまで先発機会のなかった選手を多く起用した。

 開始2分、右SH浅野が中へ切れ込むドリブルからミドルシュートを放つ。序盤、先発起用された選手たちが積極的だ。そして7分、左IH倉田の縦パスをCF杉本が左に展開。左SB長友が駆け上がって、クロスに倉田がヘディングシュート。幸先よく日本が先制点を挙げた。さらに12分には、右SH浅野がボールを奪って仕掛けると、こぼれ球をCF杉本がミドルシュート。14分、右IH小林のスルーパスに左SB長友が走り込む。DFに倒されたように見えたが、主審はPKを取らず。そして17分、CF杉本の落としから右SB酒井高徳が縦に入れると、左SH乾が落としたボールを右SH浅野がつなぎ、杉本が左に流す。スペースに走り込んだ左IH倉田がシュート。GKプラシデが一旦は体に当てるが、はね返りを杉本がシュート。日本が追加点を挙げた。実にきれいな連携。

 しかしそこから日本はあまり前に行けなくなる。早い時間帯での2点リードに気の緩みがあったかもしれない。そして28分、ハイチのCFナゾンが中盤でドリブルを開始すると、CH遠藤をかわし右に展開。右SHゲリエのクロスにCHラフランスがシュート。ハイチが1点を返した。25分くらいの時間帯にハイチは左右のSHを入れ替えている。CH遠藤がナゾンに振り切られた後、右IH小林の戻りも遅く、ラフランスにゴール前でフリーにしてしまった。

 さらに29分、右SHゲリエのミドルシュートはDFに当たってコースが変わり、GK東口がかろうじてセーブ。日本も31分、右SB酒井高徳スローインをCF杉本が落とし、右SH浅野のスルーパスに酒井が走り込んで、切り返しからミドルシュート。ポスト左に外した。ハイチは33分、CFナゾンがDFを背負って、反転からミドルシュート。これはGK東口がキャッチしたが、前半終盤はハイチのペースでゲームは進む。日本は38分、左SH乾がミドルシュート。39分、CF杉本もミドルシュートを放つが、いずれも枠を捉えられない。前半は2-1。日本のリードで折り返した。

 ちなみにハイチは前半終了間際、ジャンハグティステを投入。アンカーに据えて、MFのエリボーとラフランスを上がり目のIHにする4-1-4-1の布陣に変更した。一方、日本は後半頭から右SH浅野に代えて原口、左SB長友に代えて車屋を投入。だが、車屋はどこか不安そうな表情。原口もほとんどボールに触ることなく、時間が過ぎていく。3分、右SHゲリエのFKはGK東口がキャッチ。しかし8分、中盤右深い位置のFKに対して日本はロングボールへの備えを進めている隙をついてハイチが縦パス。走り込んだ右SBアルキュスがクロスを入れると、CFナゾンがシュート。ハイチが同点に追い付いた。日本の集中力が欠けていた。

 11分、右IH小林に代えて井手口を投入。さらに14分には左IH倉田に代えて香川。だがハイチのペースが止まらない。13分、右IHエリボーのシュートのこぼれから左IHラフランスがミドルシュート。18分、右SHゲリエがミドルシュートを放つ。日本は19分、CF杉本に代えて大迫を投入する。すると大迫はこまめに中盤まで下りてきては縦のパス交換。ようやく日本も少しずつペースをつかみだす。26分、右IH井手口のミドルシュートのこぼれをCH遠藤がミドルシュート。29分、左SH乾のループパスに左IH香川が走り込むが、DFがクリアする。

 そして33分、PA外左でCFナゾンがボールを持つと、CB昌子の寄せが甘い。強烈なミドルシュートを叩き込まれ、ついにハイチが日本を逆転した。3-2。日本は35分、左SH乾に代えて右SH武藤を投入。原口を左SHに回す。CFナゾンは35分にもCB昌子をかわしてシュートを放つ。GK東口がナイスセーブ。続くCKはCBアンブローズがヘディングシュート。枠を外した。

 日本も原口が左に回ってようやく積極的な仕掛けが見られるようになってくる。37分、左SH原口がドリブルからミドルシュートを放つと、39分、左SH原口の落としから右IH井手口がミドルシュート。その後も積極的に仕掛けるが、ハイチの守備も堅い。このまま敗戦かと思われたアディショナルタイム47分、左SH原口から絶妙なパスが左SB車屋に出る。それまで思い切ったプレーが見られなかった車屋だが、さすがにここは駆け上がってクロスを入れると、ファーへ抜けたパスを右SB酒井高徳がシュート。左IH香川が倒れながらコースを変えてゴールに蹴り込んだ。同点。そしてタイムアップ。日本がかろうじて同点に追い付いて、面目を保ったゲームだった。

 勝敗についてとやかく言っても仕方ない。日本の課題として、左SB長友のバックアップがいないこと、長谷部と山口のバックアップとして遠藤では不十分なこと、またCBも昌子はまだ吉田のレベルには達していないことなどが明らかになった。また香川がハリルホジッチのサッカーにうまくマッチしていない。清武の復帰を期待したいが、どうだろうか。来月にはブラジル戦、そしてベルギー戦がある。大迫らレギュラー陣がどこまでやれるかに興味が移る。小林や浅野、杉本らにはさらなるレベルアップを期待したい。小林裕紀は少なくとも香川よりはチームになじんでゲームを作っていた。まだまだ全体的にレベルアップが必要なことが明らかになった。