とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

国際強化試合 ブラジル対日本

 前半の戦いぶりは何だったのか。後半は前からのプレスで互角以上にゲームを進められたのに、前半からあのペースでは持たなかったのだろうか。前半の内容に疑問が残るゲームだった。日本の先発は大迫を中央にワントップに原口と久保が左右に開き、井手口が前目でプレスをかける。中盤は長谷部と山口だが、井手口も含めて3人で連動して守る。CBには吉田とともに槙野が先発した。一方のブラジルはジェズスのワントップにネイマールとウィリアンが左右に開く。カゼミーロをアンカーにフェルナンジーニョとジュリアーノの3ボランチ。左SBマルセロ、右SBダニーロ。CBはジェメルソンとチアゴ・シルバ。GKはアリソン。DFラインは最強と伝えられたメンバーではないが、しっかりと守れ、走ることのできるメンバーが揃っている。

 序盤はOH井手口が積極的にプレスに走り、日本がよく戦っていた。しかし3分、左SBマルセロのフィードに左SHネイマールが走り込むと、中へのドリブルから右に流して右IHジュリアーノがミドルシュート。ブラジルの速い攻撃に日本の守備陣が翻弄される。するとゲームは一転ブラジル・ペース。そして10分、ブラジルのCKはDFが蹴り出して、そのままゲームが進むかと思ったら、主審が急にピッチサイドに走る。ビデオ・アシスタント・レフェリーの画面を確認。CKの際にPA内でフェルナンジーニョをCB吉田が引き倒したとされ、PKを宣告された。それほどひどいプレーとも思わなかったが、審判団にもブラジルに対するリスペクトがあったのではないか。判官贔屓はフランスでは通じず、PKをネイマールに確実に決められて、ブラジルが先制点を挙げた。

 日本も12分、CF大迫のポストプレーからCH山口がつないで、左SH原口の仕掛けからこぼれたところをCF大迫がミドルシュート。しかしDFにブロックされた。しかし直後にはCHカゼミーロがミドルシュート。GK川島がナイスセーブで弾き返したが、まだブラジルの圧力が強い。すると17分、カウンターでブラジルが走り、右SBダニーロのクロスを左SHネイマールが落とすと、CFジェズスに対してCH山口が身体をぶつけて倒してしまう。またもPK。しかし今度はネイマールの蹴ったシュートをGK川島が止めた。ファインセーブ。ところが、続くCKをDFがクリアしたところを左SBマルセロが豪快なミドルシュート。ネットに突き刺し、ブラジルが早々と追加点を挙げる。

 ブラジルの速いカウンターに腰が引けたか、日本のDFラインが低くなり、前からのプレスもハーフラインまではブラジルに自由にボールを持たせるようになる。こういう作戦だったのか。30分、左SH原口の仕掛けで得たFKをCB吉田が狙うと、ボールはゴールのコーナーを叩く。惜しいシュート。これが決まっていればその後の展開も変わっただろうか。しかし36分、またもブラジルのカウンター。一旦は日本の守備陣がはね返したが、それを拾ったCHカゼミーロが右に展開。右サイドにいたSBマルセロのポストから右SBダニーロが上がって、絶妙のクロスをCFジェズスが押し込む。ブラジル、3点目。その後はブラジルもペースを落としたが、日本もプレスに行けない。そのまま3-0で前半を折り返した。

 後半に入り、日本は右SH久保に代えて浅野を投入する。3分、右SH浅野が積極的なミドルシュート。GKカッシオにセーブされたが、浅野の前に仕掛ける姿勢から日本に積極的なプレスが戻ってきた。ブラジルの陣地でパスをつないで、何度かチャンスを掴む。そして18分、OH井手口のCKにCB槙野がヘディングシュート。日本が一矢を報いた。ブラジルは19分、CFジェズスに代えてジエゴ・ソウザ、左SBマルセロに代えてアレックス・サンドロを投入する。23分、左SHネイマールの仕掛けを右SB酒井宏樹が倒し、ファール。ネイマールのFKは枠を外した。しかし右SB酒井宏樹ネイマールに対してよく戦っていた。

 26分、日本はCH長谷部と左SH原口に代えて、OH森岡と左SH乾を投入。井手口をCHに下げる。ブラジルもネイマールとウィリアンに代えて左SHドウグラス・コスタと右SHタイソンを投入した。その後も日本が前からプレスをかけ、パスをつないで攻め込み、ブラジルがカウンターを狙う展開が続く。だがなかなか最後まで崩しきれない日本。35分、ブラジルは右IHジュリアーノに代えてレナト・アウグスト。日本もCF大迫に代えて杉本を投入する。さらに41分にはCH井手口に代えて遠藤。

 43分、左SH乾のCKからCF杉本がヘディングシュート。ネットを揺らしたが、惜しくもオフサイドアディショナルタイム49分にはCB吉田のフィードを右SB酒井宏樹が落とし、OH森岡のスルーパスに右SB酒井が抜け出してクロスを入れるが、右SH浅野のシュートはミス。うまく足に合わない。そしてタイムアップ。3-1。日本の完敗で終わった。

 それにしても後半のプレスが前半のうちからできなかったのか。そう思うと悔いが残る。あれは作戦だったのか、それともブラジルのカウンターを警戒して、あれ以上高いラインを作ることができなかったのか。後半の浅野の仕掛けに対して、前半の久保は後ろに戻すシーンも多かった。原口ももっと仕掛けてよかった。一方でブラジルのカウンターは確かに怖い。奪われると一瞬、DFの守備隊形が整わないうちにゴール前に多くの人数が殺到する。前半から日本が後半のようなプレスで戦っていたらいったい何点取られていたことか。そう考えると仕方がない気もするが、やってみてもよかった。不完全燃焼。色々と考えたくなるが、次はベルギー戦。反省点を生かしつつ、もう一度トライをしてみよう。

 アザールルカク、デブライネ、デンベレと攻撃陣にはブラジル以上に技巧派が揃っている。一方で守備陣はブラジルよりは劣るような気がする。日本の攻撃陣には精一杯、走り回って、力を発揮してもらいたい。ルカクには吉田と槙野、アザールには酒井宏樹。そして、人材が揃う日本の中盤はけっして負けない戦いができるはずだ。次のゲームを期待したい。