とんま天狗は雲の上

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高校サッカー選手権決勝 流通経済大柏対前橋育英

 去年に続いて決勝まで進出した前橋育英。昨年の決勝戦青森山田に0-5で敗戦。青森山田のGK廣末の見事さばかりが記憶に残っているが、前橋育英もよく戦うチームだった。その悔しさを胸に今年こそ、山田監督を胴上げするという強い気持ちを持って決勝まで進出してきた。前橋育英が優勝すれば初優勝。相手の柳津経済大柏は10年ぶりの優勝、夏のインターハイに続いての2冠を狙う。前橋育英のエースFW飯島にCH三本木をマンマークで付けて、4-1-3-2の変則的な布陣。前半は三本木の執拗なマークと強固な守りが目に付いた。

 5分、前橋育英はCH塩澤の縦パスを右SH田部井悠がフリックして、FW飯島がシュート。しかしCB瀬戸山がブロック。流経大柏も11分、GK薄井のフィードにOH菊地が抜け出し、ゴール前にクロス。右IH宮本雄太が走り込むが、わずかに届かない。22分、CH三本木のミドルシュートが初シュートだ。

 前橋育英も27分、CH田部井涼のCKを左SH五十嵐がフリック。FW飯島がミドルシュートを放つが、バーにはね返される。惜しい。流経大柏は37分、左SB近藤のロングスローをFW安城がフリック。FW熊澤が反転からシュートを放つが、DFがブロックする。お互い守備がすばらしい。流経大柏は今大会無失点。前橋育英も準決勝の1失点だけ。シュートはわずか8本しか打たれていない。そしてアディショナルタイム46分、CH塩澤からボールを奪ったFW熊澤の突破をCB角田が止めると、それがそのままFW飯島に渡り、シュート。しかし今度はポストにはね返される。決定機がゴールにならない前橋育英。前半はスコアレスで折り返した。

 後半1分、右SH田部井悠がミドルシュート。ゴールへの強い意欲を見せる。だが後半になってもCH三本木が執拗にFW飯島をマークして抑える流経大柏。5分にはFW熊澤に代えて加藤を投入。次第に攻撃への圧力を強めていく。11分には左IH宮本泰晟に代えてFW石川を投入。菊地を左IHに下げて、3トップにする。すると15分、左SB近藤のクロスに右IH宮本優太がヘディングシュート。しかしGK湯沢がナイスセーブ。

 それでも勢いは前橋育英。17分、右SH田部井悠のCKをGK薄井が飛び出して、ナイスパンチング。19分には左SH五十嵐がCH田部井涼とのワンツーからミドルシュートを放つ。惜しい。バーを叩く。なかなか決めきれない前橋育英は20分、左SH五十嵐に代えて長身FW宮崎を投入する。飯島が左SHだと思うが、長身のFW榎本とFW宮崎もよく動いて、ポジションチェンジをする。流経大柏も20分、FW安城に代えて池田を投入する。

 21分、左サイドからのクロスにFW宮崎がヘディングシュート。GK薄井がセーブ。流経大柏も23分、FW石川がシュート。GK湯沢がファインセーブではね返す。28分、CH田部井涼のミドルシュートも枠を捉えられない。34分、CH塩澤のミドルシュートはDFに当たってあわやゴールへ。だがGK薄井が落ち着いてキャッチする。35分、CH田部井涼のCKにCB松田がヘディングシュート。しかしDFがはね返す。CH塩澤のシュートもDFがライン上ではね返す。さらにCB角田のシュートもDFがブロック。流経大柏のゴールが堅い。36分、左SB渡邊のクロスにFW榎本がヘディングシュート。枠を捉えられない。37分、CH塩澤が右SH田部井悠とのワンツーからミドルシュート。しかしこれもGK薄井がファインセーブ。どうしてもゴールが入らない。ついに時間はアディショナルタイムに突入した。

 このまま延長戦に入ってしまうのか。前橋育英の優勝はけっして叶うことのない夢なのか。お互いの攻撃を堅い守備陣がはね返した後のアディショナルタイム47分、左SB渡邊のロングスローのクリアをCH田部井涼が拾い、縦に送ると、FW榎本がフリック。左SH飯島が切り返してミドルシュート。だがこれもCH三本木が身体を張る。そのはね返りをFW榎本がシュートを放つと、CH三本木、そしてGK薄井の下を抜き、ついにゴールネットに突き刺さった。ゴール。1-0。延長戦突入寸前、前橋育英の思いが通じた。そしてタイムアップ。1-0。前橋育英が悲願の優勝を飾った。

 後半40分を過ぎてからの攻防にはヒヤヒヤドキドキ。前橋育英が攻め込まれるたびに、またも優勝はかなわないのかと思ったが、角田、松田の鉄壁のCBが悉くはね返して、ゴールを守り、ついに勝利、優勝を掴み取った。おめでとう、前橋育英。そして山田監督。女子サッカーの決勝も好ゲームだったが、男子の決勝はそれを上回る感動的な好ゲームになった。特に守備の充実がすばらしい。角田、松田の二人にはそのまま順調に成長して、日本のゴールを守る存在となってほしい。