とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

1974年W杯西ドイツ大会決勝 西ドイツ対オランダ

 クライフとベッケンバウアーが対戦した伝説の決勝戦である。これまでオランダが先制するまでの冒頭の2分間や、ドイツの得点シーンは観たことがあったが、90分を通して観戦したことはなかった。西ドイツがリードした後半、どんな攻防が見られたのか。興味は尽きない。西ドイツはベンケンバウアーをリベロに置き、シュバルツェンベックと右CBフォクツ、左CBブライトナーの3バック。オベラートとボンホフが中盤で、ゲルト・ミュラーをワントップに、右からグラボウスキ、ウリ・ヘーネス、ヘルツェンバインが並ぶ。もちろんGKはゼップ・マイヤーだ。対するオランダは4-3-3。GKヨングブルートの前にハーンとレイスベルヘンのCB。右SBシュルビア、左SBクロル。ヤンセンがアンカーで控え、ニースケンスとファンハネヘムがIH。レンセンブリンクとレップが両WGでクライフはピッチのどこでも自由に顔を出す。

 まずは冒頭の超有名なシーン。キックオフからオランダがボールをつなぎ、一度、左サイドで奪われそうになるが、後ろに戻すと、センターサークル付近でボールを受けたのはクライフ。なぜか最後尾にいる。そこからドリブルを開始すると、スルスルとPA内まで侵入。右SBフォクツが必死についていくところへ横からOHウリ・ヘーネスがスライディング。クライフを倒してしまう。キックオフから53秒間のプレー。PKを決めたのは右IHニースケンス。序盤、オランダは西ドイツのチェックをあざ笑うかのようにパスを回す。

 必死に食らいつく西ドイツDF。4分には早くも右SBフォクツがイエローカードをもらう。9分には左SBブライトナーが切り返しからミドルシュート。けっして西ドイツも守ってばかりではない。この時代、中盤でボールを持つと、DFだろうが関係なくドリブルで持ち上がっていく。14分、オランダのCBハーンがドリブルからワンツーでさらに前へ。PA手前でDFに止められた。西ドイツも26分、左SHヘルツェンバインがドリブルで持ち上がると、CHヤンセンが倒してしまう。PK。これを左SBブライトナーが決めて、西ドイツが同点に追い付いた。

 この後も鋭いパスを打ち込んで攻めようとするオランダに対して、西ドイツがカウンター的に攻撃を繰り出していく。29分にはクライフのマークについていたはずの右SBフォクツがドリブルで持ち上がり、右SHグラボウスキとのワンツーからシュート。GKヨングブルートのファインセーブに防がれる。34分にはOHウリ・ヘーネス。さらに36分には右SHグラボウスキが長駆ドリブル。倒されて得たFKをLBベッケンバウアーがアウトサイドでループ気味のシュート。GKヨングブルートがファインセーブで弾き出す。直後の37分にはCFクライフもLBベッケンバウアーのチェックを受けながらドリブル。左に流して左WGレンセンブリンクがシュートを放つが、GKゼップ・マイヤーがファインセーブ。ちなみにオランダの選手名は画像が悪くて、判別できない。間違っているかもしれない。

 お互い拮抗したゲームが続いて前半終了間際の43分、中盤深い位置で右SHブラボウスキがボールを持つと、後方左サイドから長い距離をCHボンホフが走り込んで、ドリブルからクロス。CFミュラーのトラップは後ろに流れたが、これが功を奏した。そこから反転して、DFに股下を抜くシュート。西ドイツが前半終了間際、勝ち越しゴールを挙げた。前半は2-1、西ドイツが逆転して折り返した。

 オランダは後半頭に左WGレンセンブリンクに代えてファンデケルクホフを投入。だが後半に入ると西ドイツの守備の意識が格段に高まった。6分、左IHファンハネヘムのスルーパスに走り込んだCFクライフはGKゼップ・マイヤーがしっかりセーブ。8分、オランダのCKが続くが、決定的なシュートは打たせてもらえない。10分、CFクライフのFKに左IHファンハネヘムのヘディングもLBベッケンバウアーが競り合って、GKマイヤーがセーブした。逆に14分、右SHグラボウスキのスルーパスにCFミュラーが飛び出し、シュートを決めたがオフサイド。VARならゴールになっていた?

 後半中盤以降、クライフもほとんど最前線に入り、オランダが攻撃。長いパスを放り込むと、クリアボールからドイツがカウンター。24分にはCBレイスベルヘンに代わってデヨングを投入。ポジションもかなり前でプレーしているように見えたが、当時のオランダの布陣はわからない。28分には左WGファンデケルクホフのクロスに右サイドから強烈なボレーシュート。右WGレップか右SHニースケンスか? だが、GKゼップ・マイヤーがビッグセーブ。身体に当てる。

 その後もオランダが猛攻。29分、デヨングのミドルシュートはGKマイヤーが正面でキャッチ。30分、CFクライフの落としから左WGファンデケルクホフのミドルシュートは枠を外す。31分、CBハーン。32分、右WGレップ。34分にもレップがミドルシュートを放つが、ゴールに入らない。41分、右IHニースケンスミドルシュートはポストの左。西ドイツの身体を張った守備。ベッケンバウアーも読みのよいダイビングヘッドでのクリアを見せていた。そしてほとんどロスタイムを取らずにタイムアップ。西ドイツがオランダを下して、自国での優勝を飾った。

 改めて観てみると、西ドイツのがんばりが目立つゲームだった。オランダの先制点は衝撃だったが、その後は西ドイツの守備の前に決定的なチャンスをつかめない。またチャンスを再三セーブしたGKゼップ・マイヤーのすごさも際立つ。そして一瞬のチャンスを逃さないゲルト・ミュラーの決定力。西ドイツのすごさ、バランスの良さが際立ったゲームだった。となると見たいのはオランダのトータルフットボール。ブラジルを2-0で下した2次リーグのゲームを観てみたい。でも難しいだろうな。次は78年大会の決勝、アルゼンチン対オランダのゲームを楽しみにしよう。