とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

W杯グループB ポルトガル対スペイン

 大会2日目にしてこの好カード。2010年大会優勝のスペイン対2016年ヨーロッパ選手権優勝のポルトガル。優勝候補の一角として呼び声も高かったスペインだが、何と前任のロペテギ監督がW杯終了後のレアル・マドリード監督就任が公表されたことを理由に、ゲームの3日前に解任。急遽、イエロ監督が指揮を執ることになった。一方のポルトガルは何といってもクリスティアーノ・ロナウド。悲願のW杯優勝を目指す。先発はポルトガルロナウドとゴンサロ・ゲデスの2トップに、右SHベルナルド・シウバ、左SHブルーノ・フェルナンデス。左右のSBは右セドリック、左ゲレイロと比較的若い選手を起用した。GKはルイ・パトリシオ、CBはフォンテとペペ。最終ラインはベテランで締める。対するスペインは4-3-3。GKデヘアの前に、セルヒオ・ラモスとピケ。左SBはジョルジ・アラバ、右SBにはナチョが先発した。中盤はブスケツをアンカーに左IHイニエスタ、右IHコケ。そしてディエゴ・コスタをワントップに右FWダビド・シルバ、左FWイスコという布陣だ。

 序盤、ポルトガルが勢いをもって攻めていく。そして4分、FWクリスティアーノ・ロナウドがドリブルでPA内まで運ぶと、右SBナチョが足をかける。PK。これをロナウドが確実に決めて、ポルトガルが幸先よく先制点を挙げた。しかしその後はスペインが落ち着いてパスを回して攻めていく。10分には左サイドからのクロスをCFディエゴ・コスタが落として、右FWダビド・シルバがシュート。21分、左IHイニエスタのドリブルから落としを右FWダビド・シルバがシュート。これはDFがブロックする。

 守る時間が多かったポルトガルだが、22分、カウンターを繰り出す。CHモウリーニョがドリブルで運び、左に流して、FWロナウドの落としからFWゲデスが走り込む。が、DFがブロック。この時間、少し押し込まれたスペインだったが、ロングフィード1本で同点に追い付いた。24分、ブスケツのフィードに走り込んだCFディエゴ・コスタがCBペペに競り勝ち、CBフォンテをかわして、滑り込んだ右SBセドリックの股を抜いてシュート。スペインが同点ゴールを挙げる。

 すると再びスペイン・ペース。26分には左IHイニエスタの縦パスのこぼれを左FWイスコがミドルシュート。バーを叩く。さらに35分、左FWイスコからのパスをCFディエゴ・コスタ、左IHイニエスタディエゴ・コスタとつないで、縦パスに左SBジョルジ・アルバが走り込み、クロスにイニエスタがゴールへ流し込むようなシュート。だがわずかにポストの右に外れた。42分にも右FWダビド・シルバの縦パスに走り込んだ左FWイスコが切り返してシュート。GKルイ・パトリシオがセーブする。

 押し込まれるポルトガルだったが、何と44分、CBペペのフィードをFWゲデスが落とし、FWクリスティアーノ・ロナウドミドルシュート。これをGKデヘアが痛恨のキャッチミス。手を弾いたボールはゴールに吸い込まれ、ポルトガルが再び勝ち越しゴールを挙げた。前半は2-1、ポルトガルのリードで折り返した。

 後半序盤はポルトガルがやや押し込む。4分には左IHイニエスタからボールを奪った左SHブルーノ・フェルナンデスがミドルシュート。しかししばらくするとまたスペインが自在にパスをつないで攻めてくる。後半は左FWイスコがDFラインまで下がるなど、比較的左サイドに限定されていた前半の動きから、ピッチ全体を動き回るようになる。そして10分、PAやや手前で得たFKを右FWダビド・シルバが蹴ると、CHブスケツがヘディング折り返して、CFディエゴ・コスタが押し込む。スペインが同点に追い付いた。さらに13分、左SBジョルジ・アルバ、左FWイスコとパスをつないで、右FWダビド・シルバが走り込むと、中へのパスにイスコが詰める。が、DFに当たって右サイドに大きく流れた。とそこに右SBナチョが抑えのきいたボレーシュートを豪快に蹴り込んだ。ポストに当たって、逆サイドのネットを揺する。スペインがあっという間に逆転した。

 追い付きたいポルトガルは23分・24分と両SHを下げて、FWジョアン・マリオ、右SHクアレスマを投入。ゴンサロ・ゲデスを左SHに回す。スペインも25分、左IHイニエスタに代えてチアゴ・アルカンタラ。直後の26分、左IHチアゴ・アルカンタラから右FWダビド・シルバにつなぎ、左に展開。左SBジョルジ・アルバのクロスにCFディエゴ・コスタがシュート。ポスト右に外す。31分には右SHクアレスマが得意のアウトサイドシュート。だがバーを越えた。32分にはスペインはCFディエゴ・コスタに代えてアスパスを投入。ポルトガルも35分、左SHゲデスに代えてFWアンドレ・シウバを投入し、ジョアン・マリオは左SHに下げる。

 37分、CHブスケツの縦パスから右FWダビド・シルバも縦へ。CFアスペ菅シュート。だが、GKルイ・パトリシオがセーブ。41分には右FWダビド・シルバに代えてルーカス・バスケスを投入する。そして43分、CHウィリアムのフィードを受けたFWクリスティアーノ・ロナウドが前を向いたところをCBピケが倒してしまう。PA前絶好の位置でのFK。蹴るのはクリスティアーノ・ロナウド。高いはずの壁の右側、CHブスケツのさらに右側を抜いて、それから落とす。見事なFKを決めて、またもポルトガルが追い付いた。クリスティアーノ・ロナウドハットトリック! その後も攻め込んだポルトガルだったが、アディショナルタイムクリスティアーノ・ロナウドが右足首の痛みを訴える。そしてタイムアップ。ポルトガルとスペインの戦いは3-3、引き分けに終わった。

 それにしてもW杯が開幕して2日目からこれほどの好ゲームが観られるなんてすごい。グループリーグの他のチームを考えると、両チームが決勝トーナメントへ進むことはほぼ確実。このゲームの勝者が1位通過となるゲーム。だからこそこれほどのゲームを観ることができた。これでグループ1位・2位は他国との得失点差で決まる。たぶんスペイン・ポルトガル共にメンバーを休ませながら、得失点差を考えながらのゲームとなるだろう。足首の痛みを訴えたクリスティアーノ・ロナウドにとってはいい結果になった。そして他のメンバーにとっても。意外にこの両チーム、決勝トーナメントも勝ち上がり、いいところまで行くかもしれない。ロナウド悲願の優勝をかなえることができるか。イニエスタは優勝を土産に日本に来てくれるのか。両チームにとっていい結果だった。そして観戦した僕らにとっても。