前回大会準優勝のアルゼンチンの今大会での下馬評は必ずしも高くない。前回、チリを率いて魅力的なサッカーを展開したサンパリオ監督を南米予選の終盤に起用して何とか出場枠に滑り込んだ。クリスティアーノ・ロナウドがポルトガルを率いて好発進をしたあと、メッシはアルゼンチンをどこまで押し上げることができるだろうか。初戦の結果はまさに雲泥の結果となった。一方のアイスランドは一昨年ユーロでのベスト8が記憶に新しい。気持ちの籠った守備と戦いはこのゲームにおいても健在だった。
アルゼンチンはアグエロをワントップに左SHディマリア、右SHには若いメサを起用した。もちろんメッシはトップ下。というか、ピッチ上を自由に位置している。CHにはビリアとマスケラーノ。ロホとオタメンディのCBコンビはどこか不安だ。一方のアイスランドはシグルズソン以外、知った名前がいない。CBのラグナル・シグルズソンは特に兄弟ではない。きれいな4-4-2で守備ブロックを作る。ギルフィ・シグルズソンはフィンボガソンと共にFWに入った。
開始1分、そのギルフィ・シグルズソンがFWフィンボガソンとのワンツーからミドルシュートを放つ。アルゼンチンは序盤からパスをつないで攻めていく。対してアイスランドは厳しくプレス。序盤からファールが多い。8分、メッシのFKに左SBタリアフィコがヘディングシュート。しかしアイスランドも自陣に閉じこもっているばかりではなく、ロングパスからゴールを狙う。9分には右SBサイバルソンのフィードにFWフィンボガソンが走り込みシュート。さらにその直後にはDFのバックパスにFWシグルズソンがプレスをかけて、GKカバジェロのキックを右SHグドムンドソンがカット。ミドルシュートのはね返りを左SHビャルナソンがシュート。アイスランドもけっして守っているばかりではない。
そして19分、CBロホがドリブルで持ち上がり、縦パスを受けたCFアグエロが反転してシュート。これが決まり、アルゼンチンが先制点を挙げた。これでアイスランドは意気消沈してしまうかと思いきや、逆に積極的に攻めていく。そして23分、FWシグルズソンのクロスをFWフィンボガソンがヘディング。GKカバジェロが弾いたボールを左SBマグヌソンが拾い、大きなサイドチェンジから(シュートミスかもしれないけど)FWシグルズソンのクロスに左SHビャルナソンが詰める。GKカバジェロが弾いたボールをFWフィンボガソンが押し込んだ。ゴール。すぐにアイスランドが同点に追い付いた。
その後も圧倒的にパスを回して攻めるアルゼンチン。33分にはCHビリアがミドルシュート。わずかにバーの上。だがロングボールに対するアルゼンチンの守備は不安定。45分、CBアルナソンのフィードをFWフィンボガソンが落として、FWシグルズソンがシュート。GKカバジェロがナイスセーブ。アディショナルタイムにも左SBマグヌソンのFKを右SHグドムンドソンがDFを競り合って落とし、こぼれ球をFWシグルズソンがシュート。これは枠を外したが、十分アイスランドにもチャンスがある。前半は1-1で折り返した。
後半4分、左SHディマリアのCKにCBオタメンディがヘディングシュート。オタメンディは高さがない割にはアイスランドに対してヘディングで勝てる。しかしその後は守るアイスランドに対してなかなか決定機が作れないアルゼンチン。9分にはCHビリアを下げてバネガを投入。攻撃的選手を投入する。アイスランドも18分、右SHグズムンドソンに代えてギスラソン。そして19分、中盤まで下がってきたOHメッシのフィードに右SHメサが入り込むと、左SBマグヌソンが足を絡ませ倒してしまう。PKを蹴るのはメッシ。だがこれをGKハルドルソンがファインセーブ。弾き返した。
21分、OHメッシのFKはバーの上。26分、CHバネガのミドルシュートはGKハルドルソンがキャッチした。その後は膠着状態が続く。パスを回すが、守りが堅いアイスランド。31分には右SHグズムンドソンに代えてスクラソンを投入した。アルゼンチンも左SHディマリアに代えてパポンを投入。時間的に追い込まれ、アルゼンチンに強引な攻撃が増えてくる。36分、OHメッシのミドルシュートはポストの左。39分、OHメッシのシュートは味方に当たる。42分、左SHポパンのクロスにCFアグエロが飛び込むが届かず。GKハルドルソンがファインセーブ。
その後も43分、CHマスケラーノのミドルシュート。アディショナルタイム47分、OHメッシがミドルシュート。そして終了間際、OHメッシのドリブルをCHハルフレドソンが倒してFKを献上すると、メッシのFKは壁に阻まれた。結局このまま1-1。アイスランドにとってはW杯初めての勝ち点1を手に入れた。
よく守ったアイスランド。しかしそれを崩せないアルゼンチンも不甲斐ない。メッシ頼みでそれ以外の攻め手がない。メッシがドリブル突破を図っても、3人目・3人目と囲まれて止められる。極めつけはPK失敗。だがFKにもキレがなかった。グループDにはほかにクロアチアとナイジェリアがあるけど、このままの出来ではグループリーグ突破も苦しい。クロアチアはまずはナイジェリアを破って勝ち点3を手に入れた。次のクロアチア戦がアルゼンチンにとっての大きな山場になりそうだ。