とんま天狗は雲の上

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W杯 グループD ナイジェリア対アルゼンチン

 昨日の朝、アルゼンチンが勝利して決勝トーナメント進出を決めたというニュースを聞いて、にわかに信じられなかった。でも考えてみれば、グループDはクロアチアが一つ頭を抜け出して、あとはナイジェリアがアイスランドに勝利しただけ。アルゼンチンがナイジェリアに勝利すれば、確かに決勝トーナメントに進出できる。そのモティベーションの下、アルゼンチンが前半、一生懸命プレーした。だが90分を通してみれば、ギリギリの内容で勝ち切っている。これでは全く安心できない。とりあえず決勝トーナメントへ進出できた、というだけの結果だ。

 勝利すれば決勝トーナメント進出という条件を前に、アルゼンチンはガラッとメンバーを変えてきた。イグアインがワントップで先発して、メッシとディマリアが左右に開く4-3-3。初戦と同じ4バックで中盤はマスケラーノをアンカーに左IHバネガ、右IHエンソ・ペレス。CBはロホが戻ってオタメンディと組む。GKもアルマーニが初先発だ。一方のナイジェリアはミケルをアンカーに置く3-1-4-2。イヘアナチョとムサの2トップだ。

 9分、左IHヌディディのロングスローのこぼれをFWムサがミドルシュート。13分にもFWイヘアナチョがボールお奪ってドリブルでゴール前に迫るが、CHマスケラーノがブロックする。序盤こそ攻めていったナイジェリアだが、次第にアルゼンチンの高いプレスに攻め手を奪われる。すると14分、左IHバネガの縦パスに右WGメッシが腿を使ったうまいトラップから前を向き、そのままシュート。アルゼンチンが先制ゴールを挙げた。

 アルゼンチンは3枚の守備的な中盤がよく効いて、ナイジェリアを自由にさせない。メッシも第2戦までの独りよがりのプレーから、他の選手を使い、連携して攻めていく。27分には右WGメッシのスルーパスにCFイグアインが走り込み、シュートを放つが、GKウゾホがナイスセーブする。32分、左IHバネガのスルーパスに左WGディマリアが走り込むが、CBバログンが倒す。これで得たFKをメッシが蹴るが、ポストに当たって弾かれる。

 44分、FWムサのクロスをクリアしたCBロホが勢い余ってFWイヘアナチョの頭を蹴ってしまうが、主審はPKを取らない。このゲーム、激しい内容だったが、主審の判断はおおむね妥当。いいレフェリングだったと思う。アディショナルタイム48分、FWイヘアナチョのクロスをCBバログンがヘディングシュートするも、力なくGKアルマーニがキャッチする。前半はこのまま終了。ナイジェリアに元気がない。このままアルゼンチンが勝利すれば、アルゼンチン復調かと思ったところだが、後半の内容はそうではなかった。

 後半頭にナイジェリアはFWイヘアナチョに代えてイガロを投入する。そして6分、右IHエテボのCKの際に、弾道とは関係のない場所で、CBバログンをCHマスケラーノが抱えて、倒してしまう。主審がよく見てPKを宣告。これを右WBモーゼスが決めて、ナイジェリアが同点に追い付いた。

 するとこれでナイジェリアに勢いが出る。14分にはFWムサがドリブルでDFを抜いてクロス。だがこれはDFがクリアする。後半になるとナイジェリアが積極的にプレスをかける。逆にアルゼンチンの攻撃は停滞。ミスが目立ち始める。そこで16分、アルゼンチンはエンソ・ペレスに代えて右SHパボンを投入。布陣も4-2-3-1へ変更。メッシをトップ下に移す。しかしこれがあまり効果的でない。メッシが中盤に下がってきて、せっかく中盤から展開しても、ゴール前で人数が足りない。

 26分、ナイジェリアはFWムサのクロスをFWイガロが落とし、CHヌディディがミドルシュート。わずかにバーの上。ここでアルゼンチンは疲れた左SHディマリアに代えてメサを投入する。30分、ナイジェリアはFWムサがドリブル突破。クロスをCBロホがヘディングしたこぼれ球をFWイガロがボレーシュート。シュートは枠を外すが、ロホのハンドをアピール。確かにヘディングした後のボールがロホの手に当たっている。主審がVARで検討した結果、故意によるものではないとの判断でPKを取らなかった。

 30分を過ぎ、アルゼンチンがようやく攻勢をかけてきた。35分、左SHメサから左に流すと、CHバネガのクロスにCFイグアインがシュート。だが大きくふかしてしまう。すると直後、アルゼンチンは左SBタリアフィコを下げてFWアグエロを投入。3バックにして攻める。ナイジェリアも38分、FWムサのクロスからFWイガロがドリブルで仕掛け、CBオタメンディを抜いてGKと一対一。だがシュートはGKアルマーニにセーブされる。40分、右IHエボテのFKはわずかにポストの右。攻めてもなかなか決定機を作れず、逆にナイジェリアが惜しいチャンスを逃す。

 そして41分、右WBパボンの縦パスに右CBメルカドが走り込んで、クロスに左CBロホがダイレクトボレー。これがネットに突き刺さり、ついにアルゼンチンが勝ち越し点を挙げた。その後はナイジェリアがFWイウォビ、FWヌワンコを投入して攻めるが、アルゼンチンが時間を使って逃げ切った。2-1。アルゼンチンが劇的な展開で勝利。決勝トーナメント進出を決めた。

 それにしても、やはりアルゼンチンは守備に問題あり。攻撃はようやくメッシと他の選手との連携が見えてきたように思えたが、それも前半まで。後半はまた第2戦までのサッカーに戻ってしまった。それでも勝ち抜けたのはひとえにクロアチアが強かったおかげ。しかし次の相手はグループCで1位抜けのフランス。ナイジェリアはイマイチ攻撃に迫力がなかったが、フランスは違う。この内容ではまずフランス相手に勝利はおぼつかないと思う。

 そしてこの結果を見て思ったこと。日本もうかうかできない。あとがないコロンビアはきっとセネガルに勝つだろう。日本はポーランド相手に首尾よく引き分けることができるだろうか。日本が決勝トーナメント通過の確率6割、4割はグループリーグ敗退の可能性があると思っている。浮ついた日本のマスコミが冷や水を浴びる結果にならなければいいが。かなり難しいゲームになると覚悟をしておいた方がいい。