とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

W杯 ベスト16 ベルギー対日本

 日本対ポーランド戦を観た後で、「次はベルギーに0-5の敗戦と予想しておこう(本音は2-3の激闘を期待している)」と書いたが、後者の予想が的中した。日本が競るなら、ベルギー相手に無失点は無理だろうから、点の取り合いを期待したが、その期待に応えるすばらしい戦いをした。まずは称賛を送ろう。ベルギーをここまで追い詰めることができた。4年後こそベスト8を期待したい。日本の先発は初戦・第2戦と同じ。思い切ってGKを変えるというのもあるかなと思ったが、そこは最後まで西野監督はブレなかった。ベルギーもコンパニーがCBで先発した他はベストメンバーの布陣。綺羅星のごとくスター選手が並ぶ。

 開始1分、CB昌子のフィードからOH香川がミドルシュート。日本が序盤から積極的にプレスをかけていく。守ってはルカクアザールに対するマークは厳しく、序盤はベルギーに仕事をさせない。だが16分、左WGアザールの横パスからCHヴィッツェルがミドルシュートを放つと、次第にベルギーが攻撃のペースをつかんでいく。

 17分には左WBカラスコのサイドチェンジを右WBムニエが落とし、CFルカクがシュート。だがCH長谷部とCB吉田が挟んで自由にさせない。21分、右WGメルテンスのパスを受けてのCFルカク反転のシュートは左SB長友がブロックする。25分、右WGメルテンスのクロスにCFルカクが抜け出すが、トラップが足下に詰まって、GK川島がセーブした。27分には左WGアザールのドリブルから右に展開。右WGメルテンスの落としをCHデブルイネがシュート。CH柴崎ブロックのこぼれをCFルカクが狙うが、CB吉田がクリアした。27分、左WGアザールの強烈なミドルシュートはGK川島がナイスパンチング。このゲームの川島はよく集中して、ゲームに入っていた。

 日本もようやく31分、CB吉田のフィードをOH香川がうまく反転して右WBムニエをかわし、ヒールで落として、左SB長友のクロスに左SH乾がヘディングシュート。だがこれはGKクルトワが正面でキャッチした。ベルギーも36分、中盤でCHヴィッツェルがボールを奪い、右WGメルテンスのクロスに左WGアザールミドルシュート。CB吉田のブロックのこぼれをCHヴィッツェルがミドルシュートを放つが、枠に飛ばない。逆に日本も44分、SH乾が右サイドから左へ大きく展開。左SB長友のカットインからミドルシュート。GKクルトワがこぼし、CF大迫が詰めるが、何とかクルトワが抑え込んだ。前半はこのままスコアレス。緊張する戦いの結果は後半に委ねられた。

 何とかベルギーの攻撃を凌いできた感じの日本。だがいつまで持つだろうかと不安な思いを抱きつつ後半がキックオフ。だが3分、攻め込まれた展開からCH柴崎のスルーパスが左SBフェルトンゲンの裏に出ると、右SH原口が走り込み、そのままシュート。フェルトンゲンの対応のまずさに助けられたが、日本が先制点を挙げた。

 ベルギーも直後の4分、右WBムニエのスルーパスに右WGメルテンスが走り込み、クロスに左WGアザールミドルシュート。ポストに当たってはね返る。日本、ツイているかも。そして7分、左SH乾が仕掛けて、クロスがDFに当たる。OH香川が収めて、落としたところを乾がミドルシュート。鋭くベルギーゴールを揺らした。日本が追加点を挙げる。これで断然面白くなった。

 12分、ベルギーは左WGアザールのキープから左WBカラスコミドルシュート。だが枠を捉えられない。ベルギーに焦りがみられる。17分、右WGメルテンスから右に展開。右WBムニエのクロスにCFルカクがヘディングシュート。だがポスト左に外す。日本が集中した守りで対応する。20分にはOH香川のスルーパスに走り込んだ右SB酒井宏樹のクロスにCF大迫が走り込むが、GKクルトワがセーブ。弾いたボールが右SH原口に当たって外に出ていった。

 直後、ベルギーは右WGメルテンスと左WBカラスコに代えて、CHフェライニとシャドリを投入する。デブルイネを右WGに上げる。するとこれでスイッチが入った感じ。24分、右WGデブルイネの縦パスをCHフェライニが右に流して、右WBムニエのクロスにCFルカクがシュート。CB吉田がブロック。だが続くCKのクリアがルーズになって左サイドへ飛んでいくと、CBフェルトンゲンの中へ折り返したヘディングがふわふわとGK川島の上を越えてゴールに吸い込まれた。ベルギーが1点を返す。

 こうなるとベルギーに勢いが出る。28分、ベルギーはカウンターから左WGアザールの落としを右WGデブルイネがミドルシュート。左SB長友がスライディングでブロック。しかし続くCKからアザールのクロスにCHフェライニがヘディングシュート。ついに同点に追い付かれた。

 日本も36分、CH柴崎と右SH原口に代えて、山口と本田を投入。守備を補強し、再度の勝ち越しを狙う。39分、OH香川のスルーパスに本田が走り込んでシュート。ベルギーは41分、右WBムニエのクロスを左WBシャドリがヘディングシュート。GK川島がナイスセーブ。はね返りを拾ったシャドリが今度はクロスを入れると、CFルカクがヘディングシュート。だがこれもGK川島がファインセーブする。42分、左CBフェルトンゲンミドルシュートもGK川島がナイスセーブ。このままアディショナルタイムに突入。49分には本田がFKでゴールを狙うが、GKクルトワがナイスセーブ。続くCKをGKクルトワがキャッチすると、アンダースローを右WGデブルイネが受けてドリブル・カウンター。右に流して、右WBムニエのクロスに左WBシャドリがシュート。ベルギーが逆転! そしてタイムアップ。2-3。日本のロシアW杯はベスト16で終わった。

 しかしよくがんばった。前半、ベルギーが攻勢の中で日本の集中した守りが続いたときには、0-5ということはないと確信。後半2ゴールを挙げて、アザールのシュートがポストに嫌われるなど、なかなかベルギーにゴールが生まれない展開が続いたときには、このまま行けるのかと淡い期待を持ったが、フェライニらの投入で雰囲気が変わった。そしてフェルトンゲンの偶然のゴールでベルギーに勢いが出て、最後は抗しきれなかった。だがよくやった。ハリルホジッチ前監督の突然の解任で、グループリーグ3連敗が確定と思ったが、やはり持っている男は違う。

 だが、強化育成を外国人監督に任せ、本番は日本人監督が結果を横取りするという奇策は次期の監督招致には大きな障害になるのではないか。西野監督はこれでたぶん監督を退任するだろう。次は手倉森か、森保か。ベンゲル監督と契約できれば面白いだろうが、他に日本代表を引き受けてくれる外国人監督はいるだろうか。今回の結果が次期監督招致に向けていい材料になるといいのだけれど。今後の方針は代表選手らが帰国するタイミングで聞けるだろうか。それよりは次はブラジル対ベルギー。事実上の決勝戦かも。見逃せないゲームになる。