とんま天狗は雲の上

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「LGBT」支援ってどの程度?

 自民党杉田水脈議員の発言が問題になっている。「新潮45」2018年8月号の寄稿「『LGBT』支援の度が過ぎる」において、「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない。つまり『生産性』がないのです」と書き、多くの批判が寄せられている。批判はもっともだと思う。それらの意見に全面的に賛成する。

 ところで、批判記事が出た当初からわからなかったのは、「LGBT支援の実態がどうなっていて、それの何をどうすべきだと杉田氏は主張しているのか」という点。その後、「新潮45」を読んだ方からの記事もいくつかネットに掲載されているが、例えばニューズウィークの大橋希氏の記事「LGBTへの日本の行政支援は『度が過ぎる』のか」を読んでも、どうやら杉田氏は「新潮45」の中では、日本の行政支援のどの部分が「度が過ぎる」とは明示してはいないようだ。この記事では、「同性パートナー制度をいち早く導入した渋谷区の場合、平成30年度の男女平等・LGBT関連予算が1300万円。予算総額938億円の0.01%でしかない」と書かれているが、男女平等とLGBTの両施策に関する予算であり、しかも先進区においてすらこの程度なのだから、いったい杉田氏は何を見て「度が過ぎる」などと書いたのだろうか。

 まさか、LGBTの人は公共施設を使うな、義務教育を受けるな、高齢者介護を受けるな、と言っているわけではあるまい。ただ単に「LGBT憎し」の感情だけで書いているような気がする。家庭を持ち、子供もいる50歳過ぎた女性が、LBGTの人に対して嫌悪感を持つのはわかる気がするが(たぶん、自分自身に対する優越感も持ちつつ)、ここまで貶める発言をするというのは、いったいそこに何があるのか。

 たぶん、自身の過激な発言と、予想外の支持という循環の中で、抜け出せなくなっているのだとは思うが、櫻井よしこと言い、稲田朋美と言い、男性優位な社会状況の中で、女性が同性やLGBTの人への批判をしているのを見ると、なんか無性に切なくなってくる。そんなに無理しなくても、とも思うが、彼女らはけっして無理をしているなんて思ってはいないのだろう。だから余計に切ない。近寄らないようにしよう。