とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

元号も日本が唯一

 先に「そろそろ改元の時期?」を投稿したが、隣で妻が「いっそ、元号なんてやめてしまえばいい」とつぶやいている。ちなみに彼女は天皇制も廃止論者だが、けっしてサヨクではない。「西暦と元号と二つあってめんどくさい。混乱する」という意見であり、「天皇や皇族は自由がなくてかわいそう。それに税金の無駄遣いじゃないの」という素朴な庶民意識を述べているに過ぎない。いつものように「はいはい」と妻の言葉を右から左に流しながら、「そう言えば元号のある国って日本以外にあるのかな?」と考えた。

 結論を言えば、日本以外にはない。日本が唯一、元号を使用し、かつ改正を重ねている国だ。「日本以外の元号がある国や地域:元ダメ院生の旅と生涯教育ブログ」によれば、台湾と北朝鮮でも元号が使われていることになっているが、これらの国では改元について明確な規定はなく、北朝鮮金日成の誕生年(1912年)を元年として継続して使用しているし、台湾も中華民国の建国年(1912年)を元年として、その後は改元していない。改元について規定しているのは日本だけであり、元号法で「皇位の継承により元号を改め、一世の間、改めない」ことが規定されている。ちなみに1912年は大正元年に当たり、今年は大正107年、主体107年、民国紀元107年に当たる。みな同じところが面白い。

 私のブログ記事の中でも、5年近く前に書いた「縦書きは今や世界でも日本が唯一の表記法」が今でもけっこうなアクセス数があるので、「一世一元の元号は今や世界でも日本が唯一」という記事でも書けば、これもそれなりにアクセス数が稼げるかと思ったら、先月、東洋経済オンラインでさらに明確でしっかりとした記事が掲載された。「世界で日本だけが『元号』に固執し続ける理由:東洋経済オンライン」。この記事によれば、日本が元号を使い続けているのは、「他国からの強い批判もなく、廃止する動機もないから」だと言う。確かに、いま「元号を廃止する」と言えば国民から、特に保守派からの批判は強く、国を挙げての大問題になるだろう。でも、皇位の継承とともに改元を行っていく仕組みは、元号天皇制と一体的であることを示しており、しかも元号天皇ではなく内国総理大臣が決めるという元号法の規定は、天皇の政治的利用等につながりやすいのも事実。

 公文書については「公文書の年表記に関する規則」で「原則として元号を用いる」旨が規定されているが、一方で各省庁においては、「コンピューターシステム間でやりとりするデータについては、西暦に一本化する」方針を明らかにした。民間の契約書などは西暦でも和暦でも(平成32年といった表記も)どちらも有効だが、改元が確実になって以来、西暦を使用することが多いような気がする。国民の意識的には、西暦使用へ傾きつつあるが、元号廃止までは至らない、ということか。

 結局、元号天皇制とその生涯を共にするということだろうか。やはり日本は世界で唯一の文化を持った国。もっとも、どの国でもその国が唯一なものというのは存在するわけで、日本だけが優れているとか、貴重だということではない。そのことには自覚的でなければならない。