とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

アジア大会グループD 日本対ネパール

 森保監督が代表監督に就任して初めての采配。とは言ってもゲームは兼任する五輪代表監督としてU-21を率いて戦うアジア大会。日本はネパール、パキスタンベトナムと、非常に緩いグループに入った。当然、大量ゴールの連続と思ったが、豈図らんや。グループリーグ初戦はネパール相手に大苦戦。いやこれを苦戦というのも違っているような気がするが、とにかくゴールが遠かった。「ケッ、つまらないものを見てしまったぜ」と五ェ門なら言うんじゃないか。週末にJリーグのゲームがあって、海外移動の末のこのゲームという日程ならこの結果もやむを得ない。勝利しただけよかったと思うべきなのか。

 先発は上田をワントップに三苫と三好のシャドー。初瀬と長沼が両WBに開き、ボランチは渡辺と松本。立田を中央に右CB原輝綺、左CB杉岡。杉岡大暉がCBって、攻撃的な布陣だ。ネパールの布陣は4-1-4-1。しかし両SHもDFラインに吸収され、実質6-3-1。序盤からとにかく守っていく。

 日本は3分、左FW三苫がドリブルからシュートを放つと、こちらはずっと攻めっぱなし。そして7分、CH渡辺の縦パスに走り込んだ右WB長沼がいったんはDFの寄せにボールをロストしかかるが、奪い返してクロスに三苫がシュート。日本が幸先よく先制点を挙げた。その後はいつ追加点を取るかが見どころ。10分、CH渡辺の縦パスからCF上田がシュート。14分、CH松本の縦パスからCH渡辺がスルーパス。CF上田が抜け出してシュートを放つが、ゴールを横切って右に外れた。

 21分には左WB初瀬のCKにCB原がヘディングシュート。25分にはCB立田の長いスルーパスにCF上田が抜け出すが、これもシュートはGKリンブーの正面。日本はパスを回して攻めるも、なかなか決定機がつくれない。ミスも多い。39分、左CB杉岡のパスから左FW三苫がクロス。だがCF上田がわずかに届かない。アディショナルタイム47分、CF上田が相手CBに倒されて得たPA手前のFKを左WB初瀬が蹴るが、壁に当たる。結局、前半は三苫の1点だけ。1-0で前半を終えた。

 前半を守り切ったネパールはさらに守りを固めるとともに、前線は積極的にボールを追いかけて日本のDFを追い詰める。3分には右IHテイ・タマンとCFガルティ・マガルが左CB杉岡、CB立田、さらに右CB原と寄せて、慌てさせる。日本は3人のCBとCHの間でパスを回しているばかりで、なかなか前にパスを打ち込めない。12分、ネパールのGKリンブーのフィードをCB立田がヘディングで折り返し、CF上田が抜け出してシュートを放つが、GKリンブーがナイスセーブ。14分にはCH渡辺から右に流したパスを右CB原がスルーパス。右FW三好が抜け出してループシュートを狙うが、バーを越えた。

 このゲーム、右FW三好はフル出場したJ1のゲームから中2日。動きが少なく、ボールを持って仕掛けても、相手に奪われることが多い。それでもこの時間帯、ベンチからの檄が飛んだか、ようやく裏を狙った縦パスや抜け出しが見られるようになってきた。20分には左WB初瀬を下げて、左CB板倉を投入。杉岡を左WBに挙げる。21分、左FW三苫がCH渡辺とのワンツーからミドルシュートを放つが、DFがブロック。22分、左FW三苫のスルーパスにCF上田が抜け出してシュート。だがGKリンブーがファインセーブ。こぼれ球を右FW三好が走り込んでシュートを放つが、これもGKリンブーがセーブ。続く三好のCKにCF上田がヘディングシュート。だがうまく当たらない。結局、この時間帯もゴールなし。

 29分にはCF上田に代えて前田大然を投入。速さがウリの選手だが、スペースがないのか、なかなか動けず、パスも出てこない。35分にはベンチからの大きな声に反応する形でCB立田がミドルシュートを放つが、これもGKリンブーがキャッチした。37分にはネパール・ゴール前のルーズボールを処理しようとしたCBチャウダリーに対してCF前田が猛然とプレスをかけて、落としたボールを右WB長沼がシュート。しかしこれもGKリンブーがナイスセーブ。どうしてもゴールが遠い。

 経験のあるCB板倉が入って左サイドからの攻撃を期待したが、右利きの板倉はボールを持つと体が内側を向いて左WB杉岡とのパス交換は一切なし。左足でクロスを上げる場面もなく、右足でCB立田にボールを返す。こうしてまるでW杯のポーランド戦を思わせるようなDFラインとCHでのパス交換が延々と続く。アディショナルタイムに左FW三苫の仕掛けで得たFKを右FW三好が狙ったが、バーを越えた。結局このままゲームは終了。1-0で日本が勝利した。

 後半、1点リードした状況で無理はしなかったことはある程度理解できても、解説の早野さんが「これが次からのゲームに影響しなければいいですが」という言葉が気になる。次のパキスタン戦も同じような展開が想定される。攻撃の連携が取れないまま、第3戦のベトナム戦に臨んで痛い目にあったり、決勝トーナメントに進んでもゴールが遠いまま競り負けたりしないか。もっともっとチャレンジがほしかった。次のパキスタン戦に向けてどうチームを作っていくのか、森保監督の手腕が問われる。