とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

キリンチャレンジ杯 日本対ウルグアイ

 久々にこんなに躍動する日本代表のゲームを観た。W杯ベスト16ベルギー戦も躍動する会心のゲームではあったが、アディショナルタイムに逆転ゴールを与え、敗退した。昨日のウルグアイ戦は1点差に詰め寄られたものの最後まで踏ん張り切って、勝利を手にした。もっとも所詮ホームで戦う親善試合だ。スアレスもいない。だが、カバーニやゴディンの必死な顔は、彼らに「日本もやるな」という思いを起こさせたに違いない。スアレスがいない。再戦したら大敗するかもしれない。しかしウルグアイを真剣にさせ、そしてこれほど面白いゲームを見せてもらったのはうれしかった。これはひとつの完成系ではないか。もっとも今完成しても何の意味もないのだが。これの結果をどう次につなげるかが、次の課題となる。

 日本の先発は大迫をワントップに右から堂安、南野、中島。この20代前半の3人の攻撃陣がよかった。ボランチは柴崎と遠藤。そしてDFは右から酒井宏樹、三浦、吉田、長友。GKには東口が入った。対するウルグアイカバーニをワントップに、トップ下にデ・アラスカエタ。トレイラとベンタンクールがボランチを組んで、右SHペレイロ、左SHサラッチ。DFは右からカセレスコアテス、ゴディン、ラクサール。GKはムスレラ。ところどころ20歳前半の若手を挟みながらも、全体的にはW杯出場選手が先発した。

 序盤、日本が飛ばす。だがウルグアイも押し返す。序盤は互角の展開で進んだ。そして10分、左SH中島からPA手前に位置どったOH南野に縦パスが入ると、DFを背負いながら前を向き、右SH堂安の走り込む動きを利用しつつ、右に持ち出してシュート。日本が先制点を挙げた。南野はヨーロッパに行って本当に強くなった。日本の攻撃陣の速い動きに、その後しばらくはウルグアイ守備陣も混乱していたように見えた。そこを日本が前からの早いプレスから攻撃を仕掛ける。

 しかし17分、ウルグアイはOHデ・アラスカエタのCKにCBゴディンがヘディングシュート。GK東口がファインセーブで弾き出した。そして19分、右SB酒井宏樹スローインにCH遠藤が走り込んで、スルーパスからCF大迫がシュート。これはポスト左に外す。遠藤が見違えるような動き。彼もヨーロッパへ渡って成長している。しかし、先制されたウルグアイもすぐに立て直して攻め返す。25分にはCFカバーニが中盤まで下がってボールを奪い、OHデ・アラスカエタとのワンツーから右へ大きくサイドチェンジ。右SHペレイロボレーシュートを狙うが、これはミス。しかし28分、中盤右サイドで与えたFKをOHデ・アラスカエタが蹴ると、CBコアテスが高い打点で折り返す。これを右SHペレイロが押し込んで、ウルグアイが同点に追い付いた。やはりウルグアイは強い。

 だが日本もこれで気落ちするようなことはなかった。33分、右SB酒井宏樹アーリークロスを右SH堂安がスルー。CF大迫がミドルシュートを放つ。34分にはCH遠藤の縦パスをCF大迫が左に展開。左SH中島の落としに左SB長友が駆け上がり、クロスにCF大迫がヘディングシュート。最後はDFに身体を寄せられ、十分に叩けなかったが、日本が流れるようなパス回しでウルグアイ・ゴールに迫る。そして36分、右SH堂安がDFを背負い、シャツを引っ張られながら倒れずに中へドリブル。左に展開すると、左SH中島がミドルシュート。GKムスレラが横っ飛び弾き出すも、CF大迫が詰めてシュート。日本が勝ち越し点を挙げた。42分にはCF大迫の見事なポストプレーから左SH中島がミドルシュート。中島はボールを持ったら必ず仕掛け、ゴールを狙う。しかも速く細かい動きでDFの逆・逆を取っていく。まるでメッシのようだ。前半は2-1。日本のリードで折り返した。

 後半頭にウルグアイはCHベンタンクールに代えて20歳のレアル・マドリード所属フェデリコ・バルベルデ、OHデ・アラスカエタに代えてロドリゲスを投入する。すると開始直後、左SBラクサールから左SHサラッチへと左サイドを崩し、クロスに右SHペレイロがヘディングシュート。しかしGK東口がファインセーブ。続くペレイロのCKにCBゴディンがヘディング。落としたところをCBコアテスが足を伸ばしてシュート。だが枠を捉えられない。3分には右SHペレイロの落としからCHバルベルデミドルシュートを放つ。

 しかし日本も負けていない。6分、右SH堂安がまた右サイドからゴリゴリとDFを背負いながら中へドリブル。左に流して左SH中島がミドルシュートを放つ。直後には左SHサラッチのクロスを右SBカセレスがヘディングで折り返して、CFカバーニがヘディングシュート。だがCB吉田がよく寄せて自由にさせない。シュートは枠を外した。逆に8分、CF大迫の落としから左SH中島がミドルシュート。GKムスレラがファインセーブ。9分、右SBカセレスミドルシュートにも左SH中島がよく寄せて、自由に打たせない。

 そして12分、CH遠藤の縦パスをDFがカット。これをCB三浦がバックパスすると、何とCFカバーニが残っていた。奪われてシュート。ウルグアイが同点に追い付いた。CB三浦のミスだが、その直後の三浦の顔がよかった。けっして落ち込んだり、悔やんだりすることなく、しっかりと現実を理解し、学び取ろうとする表情に見えた。三浦も吉田に倣い、そしてゲームを通して成長している。

 そして前を向いていたのはCB三浦だけではなかった。14分、左SH中島のCKのクリアをCH柴崎が拾うと、縦パス。これもDFにブロックされたが、今度は右SH堂安がカット。そして内側にいた右SB酒井のスルーパスに堂安が走り込み、中へ切り返してCBゴディンを外してシュート。何とわずかの間にまた日本がリードした。そして21分には、CH柴崎のパスカットから縦パスがOH南野に入る。DFと競ってこぼれたボールを右SH堂安が拾ってミドルシュート。GKムスレラがナイスセーブで弾いたところにOH南野が詰めてシュート。日本が4点目を挙げた。24分にはCH遠藤のカットからスルーパスに走り込んだ右SB酒井宏樹のクロスにCF大迫がシュート。しかしこれは枠を捉えられない。

 29分、日本はようやく選手交代。CH柴崎に代えて青山を投入。ウルグアイもCHトレイラに代えてこれをW杯で活躍したナンデスを投入する。直後の30分、右SHペレイロを起点に右サイドに下がったCFカバーニが大きくサイドチェンジ。OHロドリゲスがDFの裏を取ってシュートを流し込み、ウルグアイが1点を返す。4-3。しかし日本は42分、左SH中島に代えて原口を投入。長い距離を走って守る。43分には右SH堂安の落としからCH青山がスルーパス。右SB酒井宏樹のクロスにOH南野がミドルシュート。CBコアテスが必死のスライディングでブロックした。そしてタイムアップ。最後まで攻撃の手を緩めず、勝ち切った。4-3。日本が強豪ウルグアイを相手に今後につながる勝利を挙げた。

 久し振りに感動した。W杯ブラジル大会前年のコンフェデレーション杯でイタリア相手に大熱戦をしたゲームを思い出した。香川や本田、岡崎らが大活躍し、2点のリードから追い付かれ、逆転されて、しかしいったんは同点に追い付いたものの、最後は失点して敗戦したゲーム。だが今回は勝利した。イタリア戦の時は、翌年のブラジル大海は散々な結果だったが、今回はまだ時間がある。いや、まだまだ多くの挫折と紆余曲折があるだろう。だが、このゲームは自信になる。そしてこのゲームを観て、原口も伊藤も、今回選好されなかった久保や武藤も、奮い起こされたことだろう。これがスタート。これからさらに成長する日本代表を楽しみにしたい。それにしても楽しくかつうれしいゲームだった。