とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

アジア杯 準決勝 日本対イラン

 週末、バタバタしていて、このゲームがあることを夕方まで失念していた。準々決勝のベトナム戦を観て、イランにはとてもかなわない。勝利することはないだろうと思ったのも要因の一つ。韓国もオーストラリアも準々決勝で敗退し、やはり中東開催の大会は中東のチームが強い。大迫の出来次第とも思ったが、3点差の勝利は全く想像もしていなかった。日本の先発は大迫をワントップで起用した以外はベトナム戦と同じ。乾や塩谷らのベテランをベンチに置いて、ここぞという場面で投入するという作戦か。対するイランは4-1-4-1の布陣。アズムンをワントップに左SHアミリと右SHジャハンバフシュが高い位置を取る。中盤はエブラヒミをアンカーにゲームキャプテンのデヤガとハジサフィがIH。DFは右からレザイアン、ブーラリガンジ、カナニ、ケシュマルジ。ちなみに、NHK-BSでは前半のうちに布陣と選手名の紹介が一切なかった。キックオフ前にはあったかもしれないが、できればdボタンを利用してでも、選手名の確認位はしたい。

 序盤からかなり激しく両チームが躍動する。GKベイランバンドがスローイングでハーフラインを越えてボールを投げ入れたのには驚いた。やはり体格がアラブ諸国とは違う。11分、右IHデヤガのスルーパスにCFアズムンが抜け出すが、CB冨安が付いていってクリアする。日本も13分、CF大迫のスルーパスに左SB長友が上がり、クロスにOH南野が走り込む。これはCBカナニがブロックした。日本がパスを回して隙を伺うが、イランの寄せが早い。

 17分、CH柴崎のCKにCB吉田がヘディングシュート。だが枠を捉えられない。19分、CH遠藤の縦パスをCH柴崎がヘディングでつないで、右SB酒井の戻しのパスをCH柴崎がスルー。右SH堂安がミドルシュートを放つ。わずかにポストの右。イランも22分、GK権田のパスをCFアズムンが足を伸ばして触ると、コースが変わったボールをCHエブラヒミが縦へ。CFアズムンの落としから左IHハジサフィがスルーパス。アズムンが抜け出して、DFをかわしてシュート。GK権田がファインセーブするが、攻撃の局面ではうまくパスがつながりゴールまで迫ってくる。さすがイラン。

 その後はややイラン優勢の展開が続く。33分、GKベイランバンドのフィードをCFアズムンがヘディングシュート。パス1本でゴール前まで届く。日本はCF大迫がマークされ、なかなかうまく収められない。南野の速さもつぶされる。堂安が活躍する場面も少なかった。43分、左SHアミリのロングスローのクリアを左IHハジサフィがミドルシュート。前半はややイラン優勢の展開で折り返した。

 後半も序盤はイランに勢いがある。3分、左IHハジサフィが左サイドを仕掛けてミドルシュートを放つ。これが右SB酒井の折り畳んだ手に当たってハンド。しかし右IHデヤガのFKは枠を外した。後半になっても寄せの早いイランに対してなかなか攻撃が形にならない日本。8分には右IHデヤガのFKをGK権田がパンチング。左IHハジサフィのミドルシュートは大きく枠を外した。

 そして11分、CF大迫のスルーパスにOH南野が抜け出す。並走したCBカナニと接触して、PAギリギリのところで南野が倒れる。ファールないとアピールするカナニ。しかしその隙に起き上がったOH南野が左サイド深くに転がったボールを追うと、追い付いてクロスにCF大迫がヘディングシュート。日本が先制点を挙げた。倒れてもファールに固執しない南野のファインプレー。大迫もよくゴール前に走ってベストポジションを確保した。勝利への執念が上回ったゴールだった。

 イランは13分、左SHアミリに代えてアンサリファルド。日本も15分、CH遠藤がファールを受けてそのまま起き上がれず。塩谷に交代する。すると22分、CF大迫の落としを受けてOH南野が仕掛けると、PA内左サイドで切り返して中へパス。南野に付いていったCBブーラリガンジが足を滑らせ、突いた手に当たってハンド。PKが宣告された。これを再びCF大迫が決めて、日本が2点をリードした。

 イランは26分、デガヤとジャハンバフシュに代えて、左SHゴドゥース、右SHトラビに交代。アンサリファルドをFWに上げる4-4-2か。日本も28分、足を攣らせていた右SB酒井に代えて室屋を投入する。28分、右SH堂安が切り返しからミドルシュートを放つが、GKバイランバンドがキャッチした。右SB室屋は積極的に仕掛けて、その後も日本が何度もチャンスをつかむが、シュートまでは行けない。逆にイランも41分、左SHゴドゥースがFK。43分にもCHハジサフィのロングスローのクリアから左SHゴドゥースがミドルシュートを放つが、いずれも大きく枠を外す。そしてアディショナルタイムに入った45+1分。CH柴崎の縦パスをOH南野が落として、左SH原口がドリブルで仕掛けてシュート。ダメ押し点を挙げた。そしてタイムアップ。終わってみれば3-0。意外な大差で日本が決勝進出を決めた。

 まずはCB吉田とCB冨安のDF陣ががんばった。イランの決定力のなさに助けられた面もあったが、イランの早いプレスに対して慌てることなくパスを回し、常に攻めの姿勢を持ち続けた。そして攻撃陣はフィジカル的に強いイランの守備をなかなかこじ開けられずにいたが、一瞬の隙を突いたゴールで先制すると、その後も抜け目なく勝利を手繰り寄せた。まさに勝利への執念が引き寄せた結果だ。中東相手にいかに戦うかがこれまでの日本の課題だったが、恐れず戦うことで、攻略法や守備面での戦い方などもかなり身に付いたように思う。決勝はザッケローニ率いるUAE。ブラジル大会から成長した日本の姿を見せ付けてほしい。ここまで来たら優勝は絶対条件だ。