とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

シービリーブス杯 イングランド対日本

 シービリーブス杯2戦を終えて1勝1分けで並んだ日本とイングランド。勝った方が優勝というゲームだが、高倉監督はあくまで若手の育成と試験の場としてこのゲームを利用した。先発はFWが遠藤と池尻という代表初招集コンビ。阪口萌乃を右SHで起用し、ボランチは初戦と同じ杉田と松原。CBは大賀と南とブラジル戦と同じコンビで臨んだ。経験者は左SB鮫島。左SH長谷川と右SB清水は経験はあるというものの若干22歳だ。対するイングランドは要所に経験者を揃える。FWはミードとテイラー。MFは右SHスタニフォース、左SHカーニーで、ボランチにはウォルシュとクリスティアンセンが並ぶ。DFは右から右SBブロンズ、CBホウトン、CBウィリアムソン、左SBグリーンウッド。GKはテルフォードが入った。

 序盤からイングランドが積極的に前から攻めていく。6分、CBホウトンがミドルシュートを放つと、11分にはCBホウトンの縦パスを右SHスタニフォースが受けて、内に落とすとCHクリスティアンセンが走り込み、クロスにFWテイラーがシュート。ポスト左に外したが、ダイナミックにパスが廻る。そして12分、中盤でルーズな争いから、左SBグリーンウッドがヘディングで前に送ると、FWテイラーが落として右SHスタニフォースがミドルシュート。これが決まる。イングランドが先制点。それにしても日本の守備が軽い。23分には右SBブロンズのスローインを受けたFWテイラーが前に持ち込み、クロスに左SHカーニーがヘディングシュート。イングランドが追加点を挙げた。一瞬の隙を突いたとも言えるが、FWテイラーへの守備がいかにも緩慢だ。

 日本もようやく29分、左SH長谷川から右に展開し、右SH阪口がミドルシュートを放つが、GKテルフォードがキャッチする。そして30分、CHウォルシュのフィードにFWミードが走り込んで、左SB鮫島を切り返してかわし、ミドルシュートイングランドが怒涛の3点目を挙げた。勢いに乗るイングランドは36分にも右SBブロンズの縦パスを右SHスタニフォースが中に落とし、右SBブロンズが駆け上がってクロス。FWテイラーがDFを引き付けてスルーをすると、ファイ―サイドにCHクリスティアンセンが走り込む。右SB清水が戻ってブロックしたが、徹底的に日本の左サイドを狙ってチャンスを作っていく。ちなみにこのプレーで負傷したクリスティアンセンは39分、スタンウェイに交代した。日本も43分、CH松原がミドルシュートを放つが、これが前半2本目のシュート。FWはほとんどボールに触ることなく、チャンスも作れないまま前半を終えた。

 さすがに高倉監督も後半頭から4人交代。FWには小林と横山を投入。右SH阪口を下げて椛木。そして再三左サイドを破られた左CB大賀に代えてCH三浦を投入し、松原をCBに下げる。すると見違えるようにパスが回り出す。3分、CH杉田の縦パスをFW横山が落として、FW小林がミドルシュート。5分、右SH籾木のパスから左SH長谷川がミドルシュート。8分には左SH長谷川の縦パスに左SB鮫島が走り込み、切り返しからミドルシュートを放つ。

 前半、守備一辺倒だった日本だが、どうしてこれほどまでに変わったのか。FWが下がって相手DFの間でボールを受けるようになり、前半はほとんどボールに触れなかったFW陣からゲームが展開するようになる。これは前半のFW遠藤と池尻の特性という問題もあるかもしれない。12分にはカウンターからFW横山がミドルシュート。14分、左SB鮫島の縦パスを受けたFW横山がスルーパス。右SH籾木が抜け出してGKの頭を越すスルーパス。だが枠を捉えられない。19分にはFKの流れからCBに下がった松原が強烈なロングシュートを放つが、GKテルフォードにキャッチされる。

 イングランドは6分、FWテイラーに代えてホワイト、14分、CHウォルシュに代えてボナー、さらに20分にはFWミードと左SHカーニーに代えて、ウボガグとダガンを投入する。布陣も4-2-3-1に変更し、ワントップにホワイト、トップ下にスタンウェイ、右SHダガン、左SHウボガグ、ボナーが右SBに下がって、ブロンズがCHに上がり、スタニフォースと組む。

 攻める日本は24分、FW横山のポストから左SH長谷川がミドルシュート。DFのブロックをFW小林が競って、こぼれたところをFW横山がミドルシュートを放つ。イングランドも25分、OHスタンウェイの縦パスにCFホワイトが走り込み、クロスに左SHウボガグがヘディングシュート。これも右SB清水が身体を張って自由にさせなかったが、ウボガグは速さもあり、怖い選手だ。30分にはOHスタンウェイがミドルシュートを放つが、枠を外した。

 その後もパスをつないで攻め込む日本。33分には右SH籾木の縦パスに走り込んだFW横山がクロス。DFのヘディングクリアがこぼれたところをCH杉田がヘディングシュートするが、右に外れた。34分にはFW小林がDFのクリアミスを拾って、ワントラップから反転してミドルシュート。しかしGKテルフォードのファインセーブに防がれた。42分にも右SH籾木のCKからFW小林がミドルシュートを放つが、GKテルフォードがナイスセーブ。決定的なシュートも放つが、ゴールが遠い。43分、左SH長谷川の縦パスに走り込んだ左SB鮫島のクロスをFW横山がミドルシュート。だがDFがブロック。44分、CH三浦がミドルシュートを放つが、これもDFがブロックした。結局、最後までゴールならず。3-0。イングランドが勝利してシービリーブス杯はイングランドが優勝。日本は3位に終わった。

 後半に入ると、前半とは打って変わって日本が一方的に攻め込んだ。決定力の問題もあるが、終盤はイングランドも守りを固めて、難しい仕事だった。それでも経験者が出場すればこれだけのゲームをすることができるということをイングランドに見せ付けることができた。今回、熊谷と市瀬らがインフルエンザで欠場したが、W杯でも何が起きるかわからない。全体的な底上げは重要な仕事だ。そして若手の中でも使える選手が幾人か見つかったのはW杯に向けて大きな収穫だ。

 この後、日本は4月上旬に、FIFAランキング2位のドイツ、3位のフランスと戦ってW杯本番に臨むことになる。今回のアメリカ、イングランドを含めて、昨年のアルガルベ杯から数えれば、日本より上位の7チーム全てと対戦することになる。今大会、そして4月のゲームでさらによい経験を積み上げて、いいムードで本番に臨みたい。いい経験ができた、いいアメリカ遠征だった。