とんま天狗は雲の上

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UEFAヨーロッパリーグ準決勝第2レグ チェルシー対フランクフルト

 CLはリバプールトッテナムイングランド勢同士の決勝が決まった。ELもアーセナルチェルシーが準決勝に残り、アーセナルは第1レグでバレンシアに3-1と先勝。プレミアリーグのチームによるCL・EL決勝戦独占を止めるのはフランクフルトしかいない。とは言っても第1レグはフランクフルトのホームで1-1の引分け。チェルシーのホーム、スタンフォードビレッジでフランクフルトが勝利するのは至難の業。長谷部の奮闘を期待した。

 チェルシーはいつもの4-3-3。ダビド・ルイスとクリステンセンのCBに右SBアスピリクエタ、左SBエメルソン。中盤はジョルジーニョをアンカーに右IHコバチッチ、左IHロフタス・チーク。FWはジルーをワントップに右WGウィリアン、左WGアザール。GKはケパが先発した。対するフランクフルトは3-5-2の布陣。CBは右からアブラハム、ヒンターエッガー、ファレット。長谷部はアンカーに座り、右IHローデ、左IHガチノビッチ。両ワイドは右WBダコスタと左WBコスティッチ。そしてFWはヨヴィッチとレビッチ。GKはドイツ代表のトラップだ。

 序盤、フランクフルトがしっかりと組織だった守備を布いて、チェルシーを一方的には攻めさせない。4分には右IHローデのCKからFWヨヴィッチがヘディングシュート。セットプレーはフランクフルトにもチャンスがある。チェルシーも11分、右IHコバチッチのドリブルから縦パスに右WGウィリアンがクロス。だがCFジルーにはCBアブラハム、左IHロフタス・チークにはダコスタ。飛び込む選手にしっかりとマークがついて、シュートを打たせない。14分、CHジョルジーニョのハンドで得たPA手前のFKを左WBコスティッチが壁の下を狙うが、はね返された。さらにCBヒンターエッガーのフィードからFWヨヴィッチのクロスに右WBダコスタがボレーシュート。しかしGKケパのファインセーブで弾き返された。

 23分には右WGウィリアンのドリブルから縦パスをCFジルーが落とし、左WGアザールから左に展開して、左SBエメルソンのクロスにCFジルーがヒールシュート。しかしGKトラップがナイスセーブ。24分、左サイドからWGウィリアンのFKをCBダビド・ルイスがフリック。だがゴールライン上でCH長谷部がクリアした。攻め込むチェルシー。そして28分、左WGアザールの仕掛けに右CBアブラハムが振り切られそうになり、CH長谷部が寄せたところをスルーパス。左IHロフタス・チークが走り込み、シュート。チェルシーが先制点を挙げた。ロフタス・チークは右IHローデがマークしていたが、アザールの仕掛けに意識が前に行ったところを裏に走り込まれてしまった。

 40分にはCHジョルジーニョのルーレットから縦パスを左IHロフタス・チークが左に展開。左WGアザールのクロスのこぼれを左SBエメルソンがクロス。左IHロフタス・チークがシュートするが、何とかDFがブロックした。前半はこれで終了。やはりチェルシーの方が1枚上か。

 だがゲームは後半早い時間帯に動いた。4分、フランクフルトが攻め込むと、PA内で右IHコバチッチがハンド。だが主審はPKを取らない。フランクフルトの選手がアピールをしている間、CH長谷部から縦パスを入れると、FWヨヴィッチが落として、左IHガチノビッチがスルーパス。ヨヴィッチが抜け出してシュート。フランクフルトが同点に追い付いた。PKのアピールでチェルシーDFもやや集中力が落ちたか。これで2試合合計2-2。勝負は完全に振出しに戻った。

 6分、CHジョルジーニョの縦パスをCFジルーが落とし、左WGアザールが仕掛けてヒールパス。これをCFジルーがシュートするが、ポストの左。12分にはCBダビド・ルイスの大きなサイドチェンジが一発で右WGウィリアンに渡り、ミドルシュート。だがGKトラップがナイスセーブする。フランクフルトも15分、左WBコスティッチのCKから左IHガチノビッチがミドルシュート。GKケパのパンチングから再び左WBコスティッチに渡り、ミドルシュートを放つが。これはポストの右に外れる。17分にはCH長谷部の縦パスからFWレビッチがミドルシュート。お互い攻め合う展開が続く。

 チェルシーは17分、右WGウィリアンに代えてペドロ。29分にはCBクリステンセンが足を痛め、右SBザッパコスタと交代。アスピリクエタがCBに下がる。フランクフルトも25分、右IHローデをデグズマンに交代する。その後はチェルシーが攻める展開が続く。26分、CBダビド・ルイスミドルシュート。30分、左WGアザールのFKからCFジルーがヘディングシュート。35分、右SBザッパコスタがミドルシュート。43分にもCFジルーがミドルシュートを放つが、GKトラップがナイスセーブした。チェルシーは41分、左IHロフタス・チークに代えてバークリーを投入。フランクフルトも45+3分、FWレビッチに代えてアレを投入するが、お互いゴールなし。勝負は延長戦に持ち越した。

 延長前半3分、左IHバークリーがミドルシュート。投入されたばかりのバークリーが元気に動き回る。5分には左WGアザールのCKにCBアスピリクエタボレーシュートを放つが、枠は捉えられない。7分にはフランクフルトのCKからクリアボールをCH長谷部が左に展開しようとするが、これをアザールがカット。ドリブルで運ばれ右に流して、WGペドロがクロス。何とかCH長谷部がクリアした。危ないところだった。逆に10分には左WGアザールを長谷部と右IHデグズマンで止めて、長谷部の縦パスをFWヨヴィッチが落とし、左WBコスティッチのクロスにFWアレがシュート。だがCBダビド・ルイスがライン上でクリアした。15+2分にはCH長谷部の縦パスから得たCKをデグズマンが蹴ると、FWアリがヘディングシュート。だが右SBザッパコスタがクリア。チェルシーもギリギリのところでゴールを許さない。

 チェルシーは延長前半6分、CFジルーに代えてイグアインを投入。後半6分、右WGペドロのドリブルから左SBエメルソンが走り込んでシュート。だがGKトラップがナイスセーブ。こぼれ球もCBヒンターエッガーがクリアした。10分、CHジョルジーニョの縦パスから右SBザッパコスタがミドルシュート。しかしこれもGKトラップがファインセーブ。11分、左WGアザールのクロスをGKトラップがキャッチ。しかしこれにCBアスピリクエタが身体を当てて、ボールはゴール内にこぼれた。喜ぶアスピリクエタ。だが主審はしっかりファールを宣告した。遠藤後半13分にはフランクフルトが左IHガチノビッチに代えてパシエンシアを投入。だがゲームはこのままタイムアップ。勝負はPK戦にもつれ込んだ。

 PK戦はフランクフルトが先番。FWアレ、FWヨヴィッチと決めたフランクフルトに対して、チェルシーは2番手のCBアスピリクエタが失敗する。しかしフランクフルトも4番手CBヒンターエッガーが真ん中に蹴り込んでGKケパに止められると、チェルシーはCBダビド・ルイスが決めて逆にフランクフルトにプレッシャーをかける。ここで長谷部が出てこないかと期待したが、フランクフルトの5人目は投入されたばかりのパシエンシア。しかし彼が失敗してしまう。そしてチェルシーの最後はアザール。落ちついて決めて、チェルシーがEL決勝進出を決めた。フランクフルトは疲れの少ない選手が優先してPKを蹴る約束だったか。しかし残念。あと一歩まで追い詰めたのに、最後はチェルシーの経験と勝負強さに屈した。

 しかし楽しいゲームだった。フランクフルトもけっしてプレミアリーグでも遜色ない実力を持っていることを実証した。そしてその中でチームをコントロールする長谷部。けっして派手ではないが、粘り強く堅実なフランクフルトのサッカーは長谷部に支えられている部分も大きいのではないか。それにしても最後のPKは長谷部に蹴ってほしかった。そうすればどんな結果になってもきっとナットクできたに違いない。それは私だけでなくチームのメンバーにとっても。それだけの存在だったと思う。決勝はバクー・スタジアムで5月29日。アゼルバイジャンチェルシーアーセナルの決勝戦が見られるなんて、なんとうらやましい。