とんま天狗は雲の上

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J1リーグ第19節 FC東京 対 川崎フロンターレ

 首位を走るFC東京は久保の移籍決定の後、連敗して心配されたが、すぐに立て直して2連勝。2位マリノスとは依然勝ち点6の差を保っている。一方、4位フロンターレは13試合負けなし。ゲーム消化が1試合少ないながら首位との勝ち点差は7。勝てば実質勝ち点差1と首位に肉薄できる。今後のリーグ優勝の行方も左右する多摩川クラシコだ。

 FC東京はCBチャンヒョンスがアルヒラルへ移籍して、代わりに渡辺剛が入る。他はいつものメンバー。対するフロンターレは久しぶりに中村憲剛が先発に復帰した他、先発メンバーを大きく変えてきた。ワントップ小林は変わらないが、右SH阿部、左SH齋藤学。中村はトップ下に入り、ボランチは下田と田中碧の若いコンビ。SBは右SB登里、左SB車屋が入り、CBは谷口とジェジエウ。GKはチョンソンリョン。

 序盤、フロンターレが攻め込むが、すぐにFC東京も押し返す。9分、FWディエゴ・オリベイラのクロスを左SB車屋がブロックするが、FW永井がシュート。GKチョンソンリョンがナイスセーブする。10分にもCH高萩のスルーパスにFWディエゴ・オリベイラが走り込み、切り返しからミドルシュートを放つ。フロンターレも12分、CH下田がミドルシュート。15分にはOH中村憲剛のCKにCBジェジエウがヘディングシュート。バーを叩く。

 パスを回して攻めるフロンターレに対して、FC東京はカウンターでゴールを狙う。17分、左SB小川のフィードをFW永井が落とし、FWディエゴ・オリベイラミドルシュート。CBジェジエウが触ってゴールからは逸れる。そして20分、CH下田のCKにCF小林が右SH東のマークを振り切ってヘディングシュート。フロンターレが先制点を挙げた。25分には左SH齋藤学の縦パスを右SH阿部が戻し、左SB車屋ミドルシュート。一方、FC東京も28分、左SHナサンホのCKからFWディエゴ・オリベイラがシュートを放つ。

 その後はフロンターレがパスを回してゲームを支配。それでも45+1分、右SB室屋のパスからFWディエゴ・オリベイラミドルシュート。続く左SB小川のCKをFWディエゴ・オリベイラが落とし、こぼれ球をFW永井がシュート。はね返りを右SH東がミドルシュートを放つが、DFがブロックした。前半はフロンターレの1点リードで折り返す。

 後半もフロンターレ・ペースでゲームが進む。2分、CH下田がドリブルで上がり、左に流して、左SB車屋のパスからOH中村憲剛ミドルシュート。GK林がナイスセーブ。はね返りを左SH齋藤がシュートするが、これもGK林がセーブした。なかなか攻撃の形を作れないFC東京は8分、CH高萩を下げて左SH大森を投入。東をボランチに下げて、ナサンホを右SHに回す。しかし9分、CH下田の縦パスをCF小林が落とし、OH中村が縦パス。CF小林が中に折り返すと、左SH齋藤学が抜け出してシュート。フロンターレが追加点を挙げた。

 FC東京は14分、左SH大森がミドルシュート。だがうまくFWにパスが入らず、なかなかシュートまで行けない。そして24分、左SH齋藤学がドリブルで仕掛けてシュート。いったんはGKチョンソンリョンがセーブし、DFがクリアするが、これを右SH阿部が奪い、縦パスをCF小林がつなぐ。左SH齋藤の落としをCH下田が横に流して、右SH阿部がミドルシュート。きれいなパス回しから3点目を挙げた。その後は33分、左SH齋藤に代えて長谷川。40分にはCF小林に代えて知念を投入すると、41分、OH中村のパスからCF知念がミドルシュート。GK林がファインセーブで弾いて、ポストに逃れたが、その後もフロンターレがゲームの主導権を握り、そのまま押し切った。3-0。フロンターレの完勝だった。

 これで首位FC東京との勝ち点差は4。消化試合を考えれば、ほぼ並んだと言っていい。今年もまたフロンターレがじわじわと首位に迫ってきた。FC東京がここからどこまで粘れるか。今後の優勝争いが面白くなってきた。

 ところで、フロンターレの3点目。きっとグランパスもこんな攻撃を目指しているのだろうと思うが、それができるチームとできないチームの差は、たぶんパス回しの正確さではなく、その前の選手の位置取りにあるのだろう。相手DFを振り回してのゴールだが、パスをつなげばつなぐほど、DFの選手間の距離が開いていくフロンターレと縮んでいくグランパス。風間監督も気付いてはいるだろうが、攻撃に移る前のポジショニングで、いかに相手選手間の距離を開いておくかは重要なことだろう。そういう意味でもフロンターレの布陣を見ていると、中盤や後方でパスを回している時にワイドの選手がピッチ幅ギリギリまで広がり、選手間の距離を広く取っていることに気がつく。当然、パスの距離も長くなるが、グランパスが相手だと最後はゴール前に短いパスをつないでいくことがわかっているから、遠い距離でのパスは捨てて、ゴール前を固めている。しかしフロンターレの場合は遠い距離でもクロスやミドルシュートの危険性があり、それに対応するためにどうしてもゴール前が薄くなる。というか、それがまさにグランパスの失点パターンじゃないか。鬼木監督になって以降、優勝を重ねているフロンターレ。風間監督の限界を感じざるを得ない。