とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

変化への対応

 山口真由の講演会に行ってきた。演題は「コンプライアンス元年」というのだが、テーマに興味があったわけではなく、ナマ山口真由を見たかったというだけのこと。遅く行ったら前から2列目の席しか空いてなく、けっこう間近で見られた。ラッキー。ま、テレビで見る姿と特に変わりはないけどね。

 「今日、話す内容は部外秘」ということなので、詳細に書くことはしないが、部外秘にしたいところはたぶん政治向きな内容の部分だろうから、それ以外の大きな流れは大丈夫だろうと勝手に思って、少し書いてみる。最初に掲げたのは「今は日本が大きな岐路に立っている」という認識。その理由は人口減少。って、誰でも言いそうなことだけど。それゆえ、「外国人の流入を受け入れざるを得なくなる」というのは、ひょっとして後段のポリティカル・コレクトネスへの導入だったのかな。

 次に取り上げたのが「感情の法廷」。コンプライアンスは今や、法令順守では済まず、道義的責任や社会的義務違反が問われるようになっている。そしてその風潮を後押ししているのが「映像の力」。あおり運転のドライブレコーダー映像の公開などSNS動画のインパクトが強く、テレビとの親和性が高いことから、ワイドショーなどで取り上げられては拡散していく。法令よりもテレビに扇動された世論が個人や会社を裁いていく。

 こうした変化が急速に進む中で、従来の企業における家族型組織=イエ制度の崩壊が進んできている。家族型組織ではイエとしての企業の存続が重視され、社員には強い帰属意識を求め、ケア+コントロールで組織が束ねられ、管理される。しかし、今や企業はそんな組織のままではいられない。

 ということで、次はポリティカル・コレクトネス。LGBTが今やLGBTQQIAAPPO2Sと言われる。黒板ではなくチョークボード。メリークリスマスではなくハッピーホリデイといった話題は面白いが、世界は(というかアメリカだとは思うが)そこまで進化してきており、こうした状況の中で、家族型組織のまま安穏としていると、法令違反ではないけれど、道義的責任を問われ、社会的義務違反としてSNSなどで世界に拡散し糾弾される時代になっている。

 こうした変化の前で、あなたはどう振る舞いますか。というのが、講演の大体の流れだったかなと思う。内容的にはそれほど新奇なものでもないし、すぐに怯える類の話でもないが、時代は着実に変化してきている。山口真由が何度も「私から上の世代(自分も含めて)と、下の世代では価値観がまるで違う」ということを言っていたが、必ずしもそんな世代論で語られる話ではないだろう。これまでも一定の年齢になると必ず「今の若い者は」と言ってきた。しかし着実に変化してきていることは間違いない。大きくはなくとも不可逆的な変化。

 今年は天皇が即位して元号が変わり、消費増税があった。来年は東京五輪があり、その前後で経済状況などが大きく変化するのではと言われている。変化を恐れず、その本質を見抜き、いかにうまく対応していくかが来年は問われるような気がする。一方で、変化に対して先手を打ってチャレンジしていくにはリスクが高過ぎる。よほどの余裕がない限り、「変化に挑戦」は無謀。「変化への対応」こそが来年のテーマにふさわしい。