とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

AFC U-23選手権 グループリーグB シリアvs.日本

 初戦、終了間際に失点して敗戦。負ければグループリーグ敗退、引き分けでも地力突破は消滅するという状況に追い込まれた日本。絶対勝利が必要なゲームだった。日本は3-4-3。中2日という日程に、サウジアラビア戦から6人を入れ替えた。CFは上田綺世。シャドーに森島と食野。WBは右に橋岡、左に相馬。ボランチは2人とも入れ替えて松本と齊藤未月。CBは右から渡辺、岡崎、そして町田。GKは大迫が先発する。対するシリアは4-2-3-1の布陣。バラカットをトップに置いて、トップ下にアディ。右SHハナン、左SHハラーク。ボランチはフメイシャとイブラヒムで組んで、DFは右から右SBハムウィ、CBアルナウート、CBムハンマド、左SBクルダグリ。GKはガナーム。

 序盤から攻め込んでいく日本。だが最初のシュートはシリア。5分、日本の陣地で奪われたボールをCFバラカットがポストで落とし、左SHハラークの縦パスにバラカットが走り込む。ニアを狙ったシュートはGK大迫がナイスセーブ。だが続くCKが密集を抜けたところにCBアルナウートが飛び込み、ヘディングシュート。シュート自体は枠を外したが、その後でピッチに倒れ込むアルナウート。主審がVARを確認した上で、CB町田がヘディングの後にアルナウートの胸を蹴っていたと認め、PKを宣告した。これを9分、CFバラカットが決めて、シリアが先制点を挙げた。

 初戦に続いてまたも早い時間帯から追いかける展開となった日本。当然、シリアは守る。なかなか好機が作れない中、17分、CH齊藤の縦パスにこぼれを右FW食野がミドルシュート。続くCH松本のCKにCB町田がヘディングシュートを放つが、DFにブロックされた。攻める日本だが、長いパスが合わない場面が多い。短いパスもミスが多く、なかなか攻撃のリズムに乗れない。それでも26分、左FW森島の縦パスを右FW食野がスルー。CF上田が反転からミドルシュートを放つが、わずかにポスト左に外れる。28分には左WB相馬のクロスに右WB橋岡がボレーシュート。GKガナームがナイスセーブ。CF上田が詰めるが、届かない。

 ジリジリと時間だけが過ぎていく。だが30分、CB岡崎のフィードを受けた左WB相馬がカットインからミドルシュート。これはDFにブロックされたが、はね返りを再びシュート。これが決まり、ようやく日本が同点に追い付いた。日本はCH齊藤がよく動いてボールを回収。ゲームを作っていく。40分にはCH齊藤がミドルシュート。44分、左WB相馬のクロスをGKガナームが弾くが、走り込んだCF上田に合わない。45分にもCH齊藤がミドルシュート。45+2分、CH齊藤の縦パスから左FW森島がミドルシュート。CH齊藤と左WB相馬だけが戦っているみたいだ。前半はこのまま1-1で折り返した。

 後半も日本が攻め続ける。7分にはCH齊藤がドリブルで前に運び、倒されて得たFKを左WB相馬が蹴ると、CB町田がヘディングシュート。だが枠は捉えられない。10分、左FW森島のCKにCF上田が飛び込むが、届かない。18分、右WB橋岡のクロスに左WB相馬が競って、さらにクロスを入れていくが、届かない。しかし蒸し暑さの中でお互い次第に動きが少なくなっていく。19分、シリアは左SHハラークに代えてアラジを投入。日本も22分、この日、ほとんど有効な攻めを見せることができなかった右FW食野に代えて田川を投入する。シリアはさらに24分、OHアディに代えてダリを投入する。

 25分、シリアの放り込みに対応した際に、CB渡辺がCFバラカットと交錯して足を痛める。しばらくピッチに戻ってプレーした渡辺だったが、32分、立田への交代を余儀なくされる。この時間帯、齊藤や相馬にも疲れが見えて、ミスも多くなってくる。37分、シリアはCHフメイシャに代えてガレルを投入。日本は38分、右WB橋岡のクロスにCF上田がシュート。このゲーム最大の好機だったが、シュートは決めきれない。41分、日本は左FW森島に代えて旗手を投入する。

 その後も攻め続ける日本だったが、43分、シリアPAライン付近で右FW田川がボールを奪われると、CFバラカットがポストで落としたボールをOHダリがドリブルで攻め上がる。必死で追いかけるCB岡崎だが、疲れもあって追い付けない。そのままシュート。シリアが終了間際、勝ち越し点を挙げた。日本は町田をFWに上げて攻める。45+1分、左WB相馬の縦パスから、左FW旗手が切り返してシュート。だがGKガナームがナイスセーブ。45+3分、CB岡崎のフィードを町田がヘディングで落とし、右WB橋岡がボレーシュート。だがこれもGKガナームがファインセーブ。アディショナルタイムになって攻め続けた日本だが、結局、同点弾は挙げられず。2-1。シリアが勝利。日本のグループリーグ敗退が決まった。

 試合後のインタビューで相馬が語っていたが、このゲームに賭けるものが違っていた。きれいに崩そうとする日本に対して、シリアは最後の一歩、最後のキック、最後の一足が違う。経過がどうであれ、最後のプレーが結果を決める。そこが決定的に違っていた。これでグループリーグ敗退。思わず結果になったが、これもサッカー。そして所詮、海外組のいないU-23。二線級ではアジアでも勝てないということ。

 考えてみれば海外組とオーバーエイジだけで十分東京五輪で戦うチームができる。大迫をトップに久保と堂安のシャドー。柴崎と板倉をボランチに並べ、右WBに菅原、左WBは安部。CBは冨安、中山、板倉。GKは山口瑠伊。GKは大迫でいいと思うが、他にも三好や前田、中村敬斗、伊藤達哉など、海外組だけで11人はおろかベンチメンバーまで揃えることができる状況。となれば、今回召集したメンバーはあくまで控えとしてベンチ入りさせておくべき選手の選考ということにすぎない。と思えば、この結果を悲観することはない。それよりも心配なのは、あくまで森保監督が3-4-3の布陣にこだわっていること。その結果、攻撃のバリエーションがなくなり、ゴールが挙げられない要因になっているのではないか。容易に招集できない五輪代表だからこそ、選手の能力に見合った布陣を選択すべきではないか。五輪に向けた準備は何もできていない。そう思って間違いない。