とんま天狗は雲の上

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高校サッカー 決勝 青森山田vs.静岡学園

 昨年に続き、連覇を狙う青森山田。対する静岡学園は24年振りの決勝進出。前回は引分けの末の両校優勝だったが、今回は単独優勝して、静岡復権につなげたい。準決勝を終了間際のPKで勝ち上がった静岡学園だが、準決勝を見る限り、両者の実力は拮抗している。青森山田の布陣は4-2-3-1。田中翔太をワントップに、トップ下に武田英寿。後藤と浦川が左右のSHに開き、ボランチは古宿と松木。DFは右から右SB内田、CB箱崎、CB藤原、左SB神田。GKは佐藤。準決勝と全く同じだ。一方の静岡学園は4-3-3。こちらはCFを岩本から加納に交代。後は準決勝と同じ。両WGに松村と小山。中盤は藤田をアンカーに、右IH浅倉、左IH井堀。DFは右から右SB田邉、CB阿部、CB中谷、左SB西谷。GKは野知が守る。

 序盤、青森山田が積極的に前からプレスをかけていく。しかし静岡学園も落ち着いている。しっかりと対応し、すぐに互角の展開に持ち込む。しかし11分、青森山田がOH武田のドリブルから中盤左サイド深い位置でFKを得ると、CH古宿のフィードにCB藤原がヘディングシュート。これが決まり、青森山田が先制点を挙げた。

 すぐに反撃する静岡学園。15分には右WG松村、17分には右IH浅倉がドリブルで突破を図るが、最後は止められる。18分には左IH井堀の縦パスを右IH浅倉が落とし、井堀から右に展開して、CF加納がシュート。22分にもCB中谷がドリブルで持ち上がり、スルーパスを受けたCF加納が切り返しからシュート。静岡学園がドリブルで駆使して攻めていく。

 しかし青森山田の堅い中央の守備を崩せずにいると、その後、青森山田が4本続けてCKのチャンスを得る。26分にはDFのこぼれから左SH浦川がシュート。そして33分、CB阿部からCF田中がボールを奪い取ると、スルーパスにOH武田が走り込む。GK野知が飛び出すが、武田がうまくボールを突いてファールを誘い、倒れた。このPKを武田が決めて、青森山田が追加点を挙げた。

 その後も必死に反撃する静岡学年。40分には右IH浅倉が密集をドリブルで抜け出し、ミドルシュートを放つが、バーの上。このまま前半も終わるかと思ったが、45+2分、右サイドからのIH井堀のFKのクリアを左WG小山がシュート。はね返りをCB中谷がミドルシュート。これが決まり、前半のうちに静岡学園が1点を返した。これでゲームが面白くなった。

 静岡学園は後半開始からCH藤田を下げて、左SH草柳を投入。小山をトップ下に移す4-2-3-1の布陣に変更した。2分、井堀のCKのこぼれからCB中谷がミドルシュート。さらにはね返りをCF加納がシュート。7分にもOH小山がミドルシュートと、後半も静岡学園が攻めていく。11分、右SB田邉の縦パスに走り込んだ右SH村松の戻しから、CH浅倉がシュート。しかしGK佐藤の正面。青森山田も13分、右SB内田のロングスローからCH松木ボレーシュートを放つが、DFがブロックする。

 青森山田の守備が堅く、このまま同点に追い付けないのではないかと思ったが、16分、左SH草柳が仕掛けると、中へのパスを受けたCF加納が持ち出してシュート。ついに同点に追い付いた。さらに静岡学園が攻め込む。しかし青森山田はさすが試合巧者。静岡学園の攻撃を受け止めると、しっかり時間を作ってゲームを落ち着かせる。再び互角の状況になってきた。青森山田は26分、左SH浦川に代えて得能。32分には右SH後藤を下げて、CH安斎を投入する。34分にはOH武田がドリブルで進んで、クロスにCH安斎が飛び込む。しかしシュートはDFがブロックした。

 静岡学園は同点に追い付いて、いよいよドリブルで仕掛けていく。右SH松村。CH浅倉。OH小山。だが強引な中央突破は最後のところでDFにストップされる。このまま続けても難しいのではないか。それでもしつこく繰り返す静岡学園。すると40分、左サイドからのOH小山の仕掛けがDFに止められ、FKを得る。CH井堀のFKはフワッとファーサイドに落ちていき、そこにCB中谷が走り込んだ。ヘディングシュート。何と、静岡学園が3点目。勝ち越した。

 あきらめない青森山田は42分、右SB内田に代えて、さらにロングスローが得意という鈴木を投入。すると43分、鈴木のロングスローにヘディングシュート。45分にも鈴木のロングスローからシュートを放つが、GK野知がファインセーブ。アディショナルタイム静岡学園がドリブルで仕掛けて攻め込み、そしてタイムアップ。静岡学園が逆転で3-2。24年ぶりの優勝を飾った。

 静岡学園といえば、初めて全国の舞台に登場した時も、あくまで個人技にこだわるサッカーで注目を集めたが、今になっても変わらない。たとえ劣勢になっても、あくまでドリブル・ドリブル・ドリブルで仕掛けていく。そしてついに2点差をひっくり返した。その精神や、凄し。まさに鉄の一念という感じ。だから高校サッカーは面白い。こんな個性的なチームが全国一になるとは。そしてこれが静岡復権のきっかけになるといい。やはりサッカーは面白い。