とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

AFC U23アジアカップ グループB第3戦 日本vs.韓国

 グループAはオーストラリアが敗退。開催国カタールが首位でグループリーグ突破。インドネシアがヨルダンに勝って2位でグループを通過した。一方、グループBは日本と韓国が勝ち点、得失点差ともに並び、このゲームで勝った方が首位突破となる。首位突破なら決勝トーナメント1回戦はインドネシア、2位通過ならカタール。当然、勝って首位通過を狙いたい。

 ところが、日本の先発メンバーを見て驚いた。布陣は4-3-3。内野航太郎がワントップで、右WGに藤尾、左WGに平川。中盤は川崎をアンカーに、右IH田中聡、左IH荒木。DFは右SB半田、左SB内野貴史。高井と鈴木海音のCBに、GKは野澤。なんと、田中聡、半田、野澤と3人が今大会初選出。UAE戦から7人を交代。中国戦からも8人が代わっている。対する韓国の布陣は3-4-3。チョンサンビンをトップに、右WGホンシフ、左WGホンユンサン。キムドンジンとチェガンミンのダブルボランチに、右WBチャンシヨン、左WBイテソク。CBは右からイチェウォン、イカンヒ、チョヒョンテク。GKはペクチョンボム。レギュラーのCBが二人、出場停止とケガで出場できない。

 ゲームは序盤から日本がパスを回して攻めていく。3分には左WG平河が仕掛けて、クロスに右IH田中聡。だがDFがクリアする。韓国は5バックで守備を固め、長いボールからカウンターを狙う。15分、CH川崎がミドルシュート。19分には左WG平河がミドルシュートを放つが、枠は捉えられない。次第に韓国のプレスも厳しくなり、日本の攻撃が停滞。44分には右WGホンシフがカットインからスルーパス、CFチョンサンビンが走り込み、クロスに左WGホンユンサンが走り込むが、CB鈴木海音がブロックする。前半はほとんど膠着したまま、スコアレスで折り返した。

 後半も日本がパスを回すが、チャンスはほとんど作れない。韓国は12分、中盤でボールを奪うと、CFチョンサンビンがドリブルで持ち上がり、左に流すと、左WGホンユンサンがドリブルからシュート。GK野澤がセーブする。13分、韓国はチェガンミンとキムドンジンを下げて、CHファンジェウォンとCHキムミヌを投入。さらに18分にはチョヒョンテクとチョンサンビンを下げて、CHカンサンユンとCFカンソンジン。イテソクが左CBに下がり、キムミヌが左WBに入る。一方、日本も、田中、川崎、平河を下げて、CH藤田、右IH松木、左WG佐藤を投入した。

 すると19分、右WG藤尾のクロスに右IH松木が競って、左SB内野がヘディングシュート。続くCKはGKペクチョンボムがパンチングでクリアするが、CH藤田がミドルシュート。一方、韓国も22分、右WGホンシフのパスからチャンシヨンがクロス。CFカンソンジンがヘディングシュートを放つ。28分、日本もCKの流れから、左SB内野のヒールパスにCH松木が走り込み、クロスにCB高井がヘディングシュート。しかし枠は捉えられない。

 そして30分、左CBイテソクのCKに左WBキムミヌがヘディングシュート。これが決まる。韓国が先制点を挙げた。31分、左IH荒木のミドルシュートは枠の上。32分、日本は内野航太郎と荒木に代えて、CF細谷と右IH山本理人を投入。松木が左IHに回る。しかし36分、右サイドコーナーで右WGホンシフがキープすると、中へのパスを受けたCFカンソンジンが反転でCB高井をかわしシュート。GK野澤がファインセーブでブロックする。

 その後は攻める日本。右IH山本のパスをCF細谷が反転してシュート。DFブロックのこぼれ球をCH藤田が左に展開。左WG佐藤がシュートするが、枠は外した。40分、左SB内野のサイドチェンジから、右WG藤尾がクロス。左WG佐藤の戻しをCH藤田がシュート。だが右WBチャンシヨンがブロックする。41分、韓国はイチェウォンに代えて、CHペクサンフンを投入。ファンジェウォンが右CBに下がる。直後の右IH山本のCKにCF細谷がヘディングシュート。だが枠を捉えられない。

 アディショナルタイムは9分。45+3分にも右IH山本のCKにCF細谷がヘディングシュート。だがGKペクチョンボムがキャッチする。45+7分にはCH藤田の縦パスを右IH山本が落とし、右SB半田のクロスに左WG佐藤がヘディングシュート。だが左ポストにはね返される。そしてタイムアップ。1-0。韓国が勝利。グループリーグ首位突破を決めた。

 日本は2位通過。これで決勝トーナメントは開催国カタールと当たることになってしまった。松木や藤田、佐藤らが途中交代で入った以降、日本が押していた。大岩監督はどうして彼らを先発から起用しなかったのだろうか。しかも初出場が3人。中2日の連戦はわかるが、五輪出場を考えれば、首位突破は最重要だったはず。多少の無理をしても、首位で突破できれば、インドネシア戦は多少メンバーを落としても戦えるはず。後半勝負を考えていたにしても、前半からもう少し攻めていきたかった。悔いが残る。松木や藤田にしても同じ思いだろう。こうなれば、その思いを次のカタール戦にぶつけていくしかない。次こそ絶対に負けられない、かつ相当に難しく厳しいゲームになる。

問題はロシアより、むしろアメリカだ

 昨年の6月に発行されており、また、収録されているエマニュエル・トッド池上彰が対談してから既に1年以上が経っている。そしてウクライナ戦争はいまだ終わっていない。昨年秋にはイスラエルのガザ侵攻があり、両者の戦闘も、一時ほど詳細には伝えられなくなり、一段落した感がある。だが、ウクライナ戦争はまだ終わっていない。ではいつ終わるのか。

 エマニュエル・トッドは、ロシアにとって、いまこの戦争をやめることは全く利益がないと言っている。一方、アメリカもいまの状況ではやめられない。ではいつまで続くのか。トッドは「5年」と言う。5年後、世界はどう変わっているだろうか。

 事由と民主主義という西洋的価値観を押し付けようとするアメリカに対して、権威主義でありつつも、あらゆる文明や国家の特殊性を尊重するロシア。日本にとってどちらがいいかと言えば、後者の方がいいと思うけども、池上彰は、それは「フィンランド化」であって、「中国と戦争にならない程度に、中国を刺激しないという形で付き合っていくのは個人的には嫌だ」(P165)と言う。どうなんだろう? 小さくとも、中国からも、世界からもリスペクトされる国家であることは可能ではないだろうか? 少なくともアメリカの腰巾着であり続けることは近いうちに不可能になりそうだ。日本の選択。エマニュエル・トッドは少なくとも池上彰よりは世界の国々の動向をよく見ているように感じる。

 

 

○「ジャーナリスト、メディアが反ロシア感情が始まるスタート地点」というふうにとらえている…。そして…ジャーナリズムという思想のなかでは、自由に対してひじょうに抽象的な考え方があったり、ちょっとエリート主義だったり…そしてロシアに対する敵対心もあったり(P42)

○経済のグローバリゼーションが進んでいくなかで、「生産よりも消費する国=貿易赤字の国」と「消費よりも生産する国=貿易黒字の国」との分岐がますます進んでいるんです。ロシアはインドや中国とともにまさに後者の代表で、天然ガスや安くて高性能な兵器、原発や農産物を世界市場に供給する「産業大国」であり続けています。/一方で、前者の貿易赤字の国とはアメリカ、イギリス、フランスなどです。材の輸入大国としてグローバリゼーションのなか国の産業基盤を失ってきている。(P63)

○ロシアと中国は、いまこの戦争をやめることに対して、全く利益がないわけですね。続けることにこそ意義があるといいますか。逆にアメリカは、自分のしかけた罠にハマってしまったような状態にいます。…ロシアと中国はいま、そんなアメリカを「つかんでやった」と思っているはずなんです。そして、このアメリカ的ヘゲモニーを崩壊させるのはいまだ、これが機会だというふうに考えているはずです。(P85)

ウクライナ戦争におけるアメリカのそもそもの目的は、私からすると「ロシアとドイツを引き離すこと」だったわけですね。…ドイツは、ここまでアメリカにひじょうに従順だったわけです。けれども、アメリカの工業面での弱さというのが本当に表れてきたときに、ドイツがどういった行動に出るかというのは注目していくべき点ですね。…このウクライナ戦争から「抜け出す」ドイツというのも、想像することはできると思います。(P138)

○フランス…は、先進諸国のなかでも経済改革…をなかなか進めなかった国なんです。…子どもを作るということに関しては、経済的な合理主義…からいったん脱することで、子ども…はもしかしたら増えるかもしれない…日本は経済合理性から脱するべきなんですけれども、ぜひ、フランスの非合理主義的な経済政策…をモデルにしてほしいと思います。(P167)

 

J1リーグ第9節 名古屋グランパスvs.セレッソ大阪

 前節、前半のうちから一人少ない状況を守り切って勝利を挙げたグランパス。今節の相手はここまで8戦無敗。前節首位に躍り出たセレッソをホームで迎え撃つ。ちなみにホームではセレッソに5連勝中。その相性の良さに期待した。

 グランパスの布陣はいつもの3-4-3。永井をトップに、森島と和泉がシャドーに入り、ダブルボランチは稲垣と米本。内田と山中が両WBに開く。DFは右から三國、ハチャンレ、吉田。GKは3試合ぶりにランゲラックが先発した。対するセレッソは4-3-3、レオセアラをトップに、右WGにルーカス・フェルナンデス、左WGはカピシャーバ。中盤は、田中駿汰をアンカーに、右IH柴山、左IH奥埜。DFは右SB毎熊、左SB登里。鳥海と舩木のCBに、GKはキムジンヒョン。

 開始4分、右SB毎熊のFKにCFレオセアラが飛び込む。触れなかったが、後ろのCH田中駿汰がヘディングシュート。序盤、セレッソが積極的に攻めてくる。グランパスも10分、左WB山中のCKのクリアをCH稲垣がボレーシュート。だが、Dがブロックに入る。序盤、CB吉田のプレーが不安定。クリアミスもあれば、ボールを奪われ、ファールを犯す。セレッソは13分、右SHルーカス・フェルナンデスのCKにCB舩木がヘディングシュート。GKランゲラックが触って、バーにはね返った。ランゲラックのスーパーセーブだ。

 しかし、その後も攻めるセレッソは18分、左SHカプシャーバのクロスを右SHフェルナンデスが落とし、右IH柴山がシュート。バーの上に外したが、柴山もよく走り、積極的に攻撃に絡んでいく。そして23分、右SB毎熊の仕掛けに対し、CB吉田がハンドの反則。PA間近でFKを与える。フェルナンデスのFKは壁に当たったが、やはり吉田の守備が落ち着かない。すると27分、長谷川監督は早くも吉田をCB河面に交代した。

 その後もセレッソの攻勢が続く。29分には右IH柴山がドリブルで持ち上がり、ミドルシュート。GKランゲラックがナイスセーブで弾き出す。39分には、左SHカプシャーバのクロスのクリアを右SB毎熊がミドルシュート。CB三國がブロック。41分、CB舩木のフィードをCFレオセアラが落とし、右IH柴山がミドルシュート。これも枠は捉えられない。シュートの精度に助けられ、前半はこのままスコアレスで折り返した。

 すると後半頭、グランパスは山中に代えて、右WBに中山を投入する。内田が左WB。この日の長谷川監督は選手交代が早い。それでも1分、セレッソはCFレオセアラの落としを右SB毎熊が縦パス。右SHルーカス・フェルナンデスが抜け出し、クロスに左IH奥埜がシュート。だがうまく当たらなかった。後半もセレッソの前からの守備が早く、なかなかグランパスが攻撃に移れない。7分には右SHフェルナンデスのFKから左IH奥埜がシュート。ルーカス・フェルナンデスも後半に入り、積極的な仕掛けが目立つ。

 それでも8分、右FW森島から左に展開。左FW和泉のサイドチェンジをCH稲垣がボレーシュート。GKキムジンヒョンにキャッチされたが、ここからグランパスも次第に攻められるようになってきた。16分にはCF永井の深い位置からのクロスに左WB内田が走り込む。わずかに届かなかったが、惜しいチャンスだった。セレッソもそろそろゴールが欲しいと思ったか、18分、奥埜と柴山を下げて、右IH香川と左IHブエノを投入する。

 そして20分、右FW森島のCKをDFが競り合ってファーに流れると、FW和泉がシュート。GKキムジンヒョンがブロックするが、こぼれ球をCB三國がシュート。グランパスが先制点を挙げた。三國はこれがプロ初ゴール。ところが直後の22分、GKランゲラックから左CB河面へのパスを右SHフェルナンデスが奪い取ると、クロスにCFレオセアラが待ち構える。CB三國がシュートブロックに滑り込むが、そのまま自陣ゴールに押し込んでしまった。自ら挙げたゴールを自らのオウンゴールで同点にしてしまう。

 直後の23分、グランパスは内田と米本に代えて、FWパトリックとCH椎橋を投入。和泉が左に入ったが、かなり高い位置を取り、4-4-2のように見える。しかしその後、攻めるのはセレッソ。しかしグランパスもしっかり守ってゴールを許さない。すると36分、セレッソはカピシャーバを下げて、左SH山田寛人を投入する。しかし直後の37分、グランパスは左サイド深い位置でFWパトリックが競り合ってFKのチャンスを得ると、左SB河面のFKをFWパトリックがヘディングで落とし、FW永井がボレーシュート。これがネットに突き刺さる。グランパスが勝ち越し点を挙げた。

 セレッソも反撃する。40分、右SB毎熊の縦パスを右IH香川が胸トラップから反転してスルーパス。CFレオセアラが抜け出し、シュート。だがわずかにポスト左に外れた。直後、グランパスは永井を下げて、右WB野上を投入。再び布陣を3-4-3に戻して、中山を左WBに回す。パトリックがCFで和泉が左FW。その後もよく守るグランパス。45+6分、セレッソがCKからCB舩木がミドルシュートを放つが、枠は捉えられず。そしてタイムアップ。2-1。グランパスが勝利。

 さすがセレッソはここまで無敗を続けただけあって、寄せが早く、攻められる時間も長かったが、グランパスもしっかり守って、少ないチャンスをモノにした。これで6戦負けなし。セレッソに今季初黒星をつけるとともに、順位を5位まで引き上げ、首位ゼルビアとの勝ち点差もわずか3まで詰め寄った。次節はアウェイでレッズ戦。その後はヴィッセルサンフレッチェ、ガンバとGW中の連戦が続く。だがこの勢いで乗り切ってほしい。がんばれ、グランパス