とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

ラ・リーガ第33節 マジョルカvs.セルタ

 7月に入って予定どおり、DAZNに再加入した。もちろんJリーグを観るためだが、週末までの間、時間があったので、ミッドウィークに行われた久保のゲームを観戦した。ラ・リーガは下3チームが自動降格。18位のマジョルカは17位との勝ち点差が8と非常に厳しい状況だが、今節はその17位セルタとの対戦。勝てば残り5試合で勝ち点差5に縮めることができる。

 マジョルカの布陣は4-4-2。ブディミルとクチョ・エルナンデスの2トップに、左SHダニ・ロドリゲス。久保は右SHに入る。ボランチはババとセビージャ。DFは右SBポソ、左SBルーマー・アグベニュー。CBはヴァリエントとライージョ。GKはリバプールで活躍したレイナが守る。対するセルタは4-3-3。アスパスを中央に、右FWにサンティ・ミナ、左FWはデニス・スアレス。中盤はブラファリッチをアンカーに、右IHラフィーニャ、左IHオカイ・ヨクシュル。ただしこの3人はポジションが流動的。DFは右SBにケビン・バスケス、左SBオラサ。CBはムリージョとアラウホ。GKにはブランコが入る。

 ここ5試合、久保の頑張りはあるものの、レアルやバルセロナなどの強豪チームとの対戦が多く、1分4敗と勝ち星に恵まれないマジョルカに対して、セルタは2勝1敗2分。前節はバルセロナ相手に引き分けた。その勢いのまま、序盤はセルタが攻めていく。6分にはCHブラダリッチがミドルシュートを放つ。しかし7分、マジョルカは左SBルーマーの上りから左SHダニ・ロドリゲスが仕掛けると、右FWサンティ・ミナと交錯して倒れる。VARとなったが微妙な判定。しっかりと時間を取った末、13分、FWブディミルがPKを決めた。マジョルカが先制。

 セルタも負けてはいない。19分、CHブラダリッチが右FWミナとのワンツーで中央突破。シュートはGKレイナがナイスセーブするが、マジョルカの中央の守備は緩い。続く右FWミナのCKにCBムリージョがヘディングシュート。GKレイナがこぼしてあわやゴールを割るかと思ったが、何とか掻き出した。しかしマジョルカも久保を中心に攻めていく。24分、FWクチョ・エルナンデスから右に展開。右SH久保が仕掛けて、DFの股下を抜くミドルシュートを放つ。そして27分、右SH久保の縦パスを受けたFWクチョが仕掛け、DFに当たってこぼれたボールをもう一度拾うと、ミドルシュート。これが決まり、マジョルカが追加点を挙げた。

 セルタは28分、左FWデニス・スアレスがケガで、ノリートに交代する。そして40分、CHババから右に流すと、右SH久保がDFを二人引き付けて、中へパス。右SBポソが駆け上がり、ミドルシュートを決めた。マジョルカが3点目を挙げた。しかしマジョルカも42分、左SBルーマーがケガでフラン・ゴメスに交代する。すると終盤はCBムリージョのボレーシュート、右FWミナ、さらに左FWノリートのFKとセルタが攻めていくが、ゴールはならず。前半はマジョルカの3点リードで折り返した。

 後半最初、セルタはオカイ・ヨクシュルを下げてFWスモロフを投入する。布陣は4-4-2。一方、マジョルカも後半はクチョ・エルナンデスを左SHに回し、ダニ・ロドリゲスをトップ下。4-2-3-1の布陣に変更する。セルタは3分、CHブラダリッチがミドルシュートを放つが、GKレイナがファインセーブ。そして5分、FWスモロフの落としからFWアスパスの縦パスに左SHミナが走り込むと、右SBポソが倒してしまう。PK。これをFWアスパスが決めて、セルタが1点を返した。

 しかし7分、右SH久保のパスからCHセビージャがスルーパス。FWブディミルが抜け出してシュート。マジョルカがすぐに4点目を追加した。さらに15分、右SH久保のパスからCHセビージャがミドルシュート。これが決まり、マジョルカが5点目を挙げた。その後はセルタが17分、ミナを下げて、CHメンデスを投入。ラフィーニャを右SHに出す。24分にはCKのクリアからCHブラダリッチがミドルシュート。だがGKレイナがファインセーブで弾き出す。25分、FWスモロフのミドルシュートも枠を捉えられない。

 26分、セルタは右SBケビン・バスケスに代えてエイドゥー、右SHラフィーニャに代えてFWフェルナンデスを投入。スモロフとの2トップにする。一方、マジョルカも30分、OHダニ・ロドリゲスに代えてフェバス、CFブディミルに代えてチャバリーアを投入する。36分には右SH久保が直接FKを狙うが、バーの上。そして38分、久保とセビージャに代えて、右SHラゴ・ジュニオールとFWトライコフスキを投入。フェバスをボランチに下げる。その後はお互い攻めきれないまま時間が過ぎ、そしてタイムアップ。5-1。マジョルカが6試合ぶりに勝利。17位セルタとの勝ち点を5に縮めた。

 久保は中断明け以降、チームの信頼感を得て、先発出場を続けている。このセルタ戦ではシュートシーンは少なかったが、相手チームのDFも久保には厳しく寄せてきて、それを逆手に他の選手にパスを出してゴールを演出する。味方の信頼感もしっかり得て、チームの中心になっている。チームの残留は依然厳しい状況が続くが、たとえ降格しても久保には次のチームが待っているだろう。今はまず、マジョルカで得た地位をさらに確かなものとすることが期待される。見逃せない選手になりつつある。

ブンデスリーガ第34節 ブレーメンvs.ケルン

 ブンデスリーガも最終節。ブレーメンはいよいよ降格の絶壁に立たされた。16位デュッセルドルフとの勝ち点差は2。ブレーメンにとっては勝利が最低条件。ウニオン・ベルリンと戦うデュッセルドルフが負けてブレーメンが勝利すれば順位が入れ替わるが、デュッセルドルフが引き分けた場合にはブレーメンは5点差以上の勝利が必要となる。

 最終戦相手のケルンは既に残留を決めていることもあってか、ヘクトールなどのレギュラー級が多く欠場し、若手が多く先発した。布陣は3-4-3。モデストをトップに、右FWウート、左FWドレクスラー。中盤はレジベツァイとスヒリのダブルボランチに、右WBエイシブエ、左WBヤコブス。DFは右からライストナー、ボルナウ、チヒョスの3バック。GKはホルンが守る。対するブレーメンはケガから復帰したフォクトをアンカーに上げて、4-3-3の布陣。フュルクルクとラシツァの下に大迫が座り、クラーセンとマキシミリアン・エッゲシュタインがIHに入るが、ラシツァが自由に動き回り、クラーセンも前に上がってくる。DFは右SBゲブレセラシィ、左SBフリードル。CBはベリコビッチとモイサンデル。GKはパブレンカが守る。

 序盤からブレーメンが積極的に攻めていく。6分にはCBモイサンデルの縦パスをCHクラーセンが落とし、OH大迫がミドルシュートを放っていく。GKホルンがナイスセーブ。7分にはFWラシツァがミドルシュート。これもGKホルンがナイスセーブ。ケルンは9分、左サイドからのクロスをCFモデストがトラップして反転シュート。これはGKパブレンカがファインセーブで弾き出した。

 しかしこの日のブレーメンは積極的。15分にはOH大迫がミドルシュートを放つ。すると22分、左SBフリードルからのパスを受けたCHエッゲシュタインがミドルシュート。コースが外れたシュートをOH大迫がトラップすると、ピタッと足元に止まってミドルシュートを放つ。ゴール。ブレーメンが先制点を挙げた。さらに27分、今度はOH大迫のポストプレーから左に流すと、FWラシツァがドリブル。ケルンの右CBライストナーをかわしてシュートを放つと、GKホルンの股下を抜いてゴールに飛び込んだ。ブレーメンが追加点を挙げた。さらに29分、左SBフリードルの正確なクロスにFWフュルクルクがオフサイドラインぎりぎりからきれいに合わせる。シュート。あっという間に3-0と突き放した。

 ケルンは早くも34分、右CBライストナーを下げて、CHヘーザーを投入。ウートをFWに上げて、ドレクスラーを右SH、レジベツァイを左SHに上げる4-4-2に変更した。その後はやや膠着。終了間際にCHエッゲシュタインの縦パスからFWラシツァがミドルシュートを放つが、これはGKホルンがセーブ。前半はブレーメン3点のリードで折り返した。残留争いの相手デュッセルドルフは前半を終えて0-1。だが同点に追い付けば、3-0ではまだ足りない。後半はFWフュルクルクをサージェントに代えて、さらにゴールを狙っていく。一方、ケルンはウートとレジベツァイを下げて、左SBにカッターバッハ、トップ下にティールマンを投入する。ヤコブスが左SHに上がった。

 後半もブレーメンが攻めていく。6分、CHクラーセンの縦パスを受けたFWラシツァから右に展開。OH大迫がミドルシュートを放つが。DFがブロックする。さらに攻め続けるブレーメンは10分、FWラシツァが高速ドリブルからミドルシュート。DFに当たったシュートは

ポストにはね返されるが、それを詰めてきたCHクラーセンがシュート。ブレーメンが4点目を挙げる。そして13分、CHフォクトの縦パスからFWラシツァが右に展開。駆け上がってきた右SBゲブレセラシィがダイレクトでクロス。これをOH大迫が同じくダイレクトでシュート。ネットに突き刺した。ブレーメンがついに5点目を挙げた。

 しかしこれでブレーメンがやや守りに入ったか、ケルンが攻撃する場面が増えてくる。そして17分、ブレーメンのCKをケルンのDFがクリア。いったんはこれを収めたFWラシツァだったが、GKへのバックパスが弱い。これを右SHドレクスラーに奪われて、GKと一対一からシュート。ケルンが1点を返す。するとこれで勢いが出たか、しばらくはケルンの攻撃が続く。しかしそこを何とか凌ぐと、23分、CBモイサンデルのフィードをFWサージェントがフリック。これを受けたFWラシツァがDFに囲まれながらも何とか粘り、そして蹴り出したパスをFWサージェントがシュート。ブレーメンが再び5点のリードを取り戻した。

 30分、ブレーメンはCHクラーセンに代えてバルテルスを投入。ケルンもCFモデストに代えてレンペルレ。ヤコブスに代えて右SHクレメンスを投入する。ドレクスラーが再び左SHに入る。交代直後には右SHクレメンスのCKからCFレンペルレがシュートを放つが、ポスト右に外れる。ブレーメンも35分、CHフォクトのクロスにFWサージェントがシュート。36分にはFWラシツァのシュートが右ポストを叩く。そして42分には大迫とラシツァを下げて、ピサロとビッテンコートを投入。運動量を確保してそのまま逃げ切った。6-1。5点差で勝利。

 一方、デュッセルドルフは結局ウニオン・ベルリンに0-3で敗戦。ブレーメンが勝ち点でも上回って、J2の3位ハイデンハイムとのプレーオフに出場することとなった。日程はドイツ時間で2日と6日。残念ながら中継はスカパーだけでNHKでの放送はなさそうだが、ここまで来たからには絶対勝利して、40年間守り続けてきた1部残留を続けてほしい。あと2試合。がんばれ、大迫。

星に仄めかされて☆

 前作「地球にちりばめられて」は多くの登場人物が欧州を追いつ追われつしつつ、母国や母語の意味を考えさせられる作品だった。前作の最後では「それなら、みんなで行こう」と新たな旅立ちが宣言されたと私のブログには書かれているが、いったいどこへ向かうのだったか。どうやら、Susanooに言葉を取り戻させるため、コペンハーゲン失語症の専門家のもとへ向かうということだったらしい。本作品は「地球にちりばめられて」の続編である。どうやら3部作らしい。

 多和田葉子の作品の中で最も好きなのは「雪の練習帳」だ。この作品を読んでいてようやく気が付いた。クヌートって、「雪の練習帳」に出てくるシロクマの名前じゃなかったっけ。そして本作品のクヌートも熊のぬいぐるみみたい。前作でSusanooって、スサノオノミコトから採られた名前と思ったが、Hirukoもそうだった。日本神話に登場するイザナギイザナミの間に生まれた4人の子供の一人。ヒルコ、アマテラス、ツクヨミ、そしてスサノオ。本作品でツクヨミが登場する。フランス語でT’es couillon me。「あなたは私」。でも、ツクヨミと呼ばれたムンンは新しい旅、Hirukoの消えた国を探す旅には参加しない。

 そしてまだ、アマテラスが現れない。Hirukoが実はアマテラスと両有しているのかも。いずれにせよ、第3部はみんなで行く最後の旅だ。最後に「星に仄めかされて」に合わせるかのように、登場人物一人ひとりが星に擬せられる。ナヌークはレグサス星。ノラはアークトゥルス星。アカッシュは赤いベテルギウス。クヌートはシリウス。Hirukoはカペラ。Susanooはアルタイル(彦星)。では、織姫は? すべては次へつづく。第3部が待ち遠しくなってきた。

 

星に仄めかされて

星に仄めかされて

 

 

○自分がみんなに嫌われているなど考えてみたこともなかった。「自分」という名前の楽しい闇の中で生きていた。どこか壁か分からないので、狭いと感じることがない。自分というものの輪郭が見えない。自分のいる空間全部が自分だから無理もない。ところがその空間が少しずつ明るくなってきた。…そこにいるのは、疲れた偏屈な男である。偏屈だと分かったと同時に、そんな自分を愛してくれる恋人が見つかったのだから不思議だ。(P56)

○言葉を口にすれば、必ず誰かを傷つける。絶対に傷つけないように細心の注意を払って遠回しな言い方をすれば、誰を傷つけないために何を口にしないようにしているのかが逆にはっきり輪郭をあらわす。…Susanooが子供の頃に暮らしていた国はすごく文房具が発達していて、空気に字を書くことができるペンがあった…空気への書き込みを読まないふりをしながら素早く読み取って行動することが子供の頃から要求された。(P168)

○今思いついたんだけど、みんなでキャンピングカーを借りて旅してみたら?…いや、船の方がいいな。…船に乗ってHirukoの故郷を訪ねてみないか? 地中海をまわりこんで、スエズ運河を抜けて、アカッシュの故郷経由で東南アジアを辿っていけば、その先がどうなっているのか、自分の目で確かめられるだろう。(P306)

○「答えは、踊りの中にある。さあ、もう少し踊ろうよ。」…ノラの樫の木みたいな身体、アカッシュの柳みたいな身体、クヌートのぬいぐるみみたいな身体、それぞれ身体がこんなに違っているのに、今同じ曲に合わせて一匹の大蛇になって踊っている。…「踊りはここまで。さあ、みんな旅の支度にかかりなさい。(P325)