とんま天狗は雲の上

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春とともに放射能前線が日本列島に拡散する

 今年の春は遅い。4月になったというのに、季節外れの冬の嵐が日本列島を襲い、去った後に来るかと思った春の暖かさも一向に来る気配がない。それでも桜は待ちきれず一輪、一輪と花をつけ、寒風にふるえている。
 桜とともに、山菜などの春を感じさせるニュースが流れてきた。ただし、放射能汚染による出荷制限という歓迎されざるタグとともに。北関東の山野で生産される山菜などが軒並み汚染されているようだ。福島原発による放射能汚染がいかに広域に影響を及ぼしているか思い知らされる。先日の嵐がさらに広域に放射性物質を日本全土に撒き散らさなかったかと心配だ。
 だが、自然気候による拡散以上に不安なのが、がれき処分受入による拡散だ。愛知県でも、知事が率先して受入を表明。中部電力の碧南火力発電所内やトヨタ自動車の田原工場内でがれき処理場を建設することがニュースとなっている。
 がれき処分については、基本的に放射能汚染されたがれきは受け入れず、検査もしっかりと行うことになっているが、ではなぜそうしたがれきを被災地県外で処理しなくてはいけないのかという疑問に対しては政府の明確な答えはない。
 阪神淡路大震災時には兵庫県だけで概ね3年でがれき処理を行った。その3年を目安にすると、8割までは処理できるが、残り2割のがれきが処理できずに残るので、他都道府県の受入れ・協力をお願いしたいと説明しているが、5年かければ県内で処理できるものをなぜ3年で終える必要があるのか。これから処分場を作るのであれば、被災地県内で作れば雇用対策にもなるというのに、運搬費用やリスクをかけてまで遠く離れた県外で整備するのはなぜか。
 昨日の中日新聞「愛知県、震災がれき調査で6億円専決処分」という記事中に「最終的には国に全額の補てんを求める」という一文があった。これを読むと、結局、全国自治体の幹部の頭には、被災地支援を理由に、いかに国費を導入して景気対策を進めるかに関心があることがよくわかる。率先してがれきの受入を表明した東京都ではがれき処理の契約を東電子会社に発注したという。全国の自治体が最近競ったようにがれき受入を表明している裏には、利権を巡るこうした思惑があるのだろう。
 春と言えどいつまでも寒いのは、核の冬が日本列島にいつまでも居座っているからか。暖かさの到来とともに、浮かれた人々の頭から放射性物質のことも忘れ去られ、知らぬ間に放射能前線が日本全国を覆うことにならないか、そのことを深く危惧する。