とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

サッカー批評57

 特集は「育成大国ニッポンのつくり方」。しかし、その前に、バロテッリを取り上げた「Through the Gate」や新連載「風間八宏の新常識」が興味深い。また、宮間あやへのスペシャル・インタビュー、権田修一へのインタビューなど間近に迫った五輪向けのインタビュー記事もあり、これらも興味深い内容になっている。
 特集は全部で9つの記事が掲載され、エスパルス強化部長・原靖へのインタビューや柏レイソルの育成戦略など、真面目で堅い記事が多いが、素人的に興味を惹くのは、「香川真司の源泉」や「長友佑都ができるまで」といった選手個人に着目した記事だ。その中で「子供がサッカーを嫌いになる日」は、編集部に寄せられた投稿を元に、少年指導の現場の問題点を告発するもので、真に迫って訴えるものがある。
 日本サッカー戦記では「女子サッカー草創期の挑戦」を取り上げる。これもまた興味深い。W杯優勝以降、女子サッカーが取り上げられることも多いが、改めてその歴史を振り返ることには意味がある。特に1981年の女子サッカー初めての国際試合のことなど、ほとんど取り上げられることはなかった。
 また、「僕らはへなちょこフーリガン」はユーロ2012とユーロ経済問題をかけてお笑いにしている。ドイツ対ギリシャ戦でのメルケル首相のはしゃぎようを辛辣に評するなど、さすが山崎浩一だ。面白い。

●オリンピックでの目標は?「僕の理想は金メダルを獲って帰ってきて、成田空港でパニックになる(笑)」―まるで去年のなでしこジャパンですね。「そう、あれです。・・・メダルを獲って、空港でもみくちゃにされて、みんなは凄い人数だって驚くけれど、僕は全然驚かない。なぜなら、想定していたから(笑)。そこまで想定内で行きたいと思います」(P023)
香川真司香川真司たるゆえん。それはいつまでたっても変わらない、永遠のサッカー小僧であること。そのパーソナリティが周囲に必要な人間を近づけ、彼らが香川に対して、育つべき良質の環境を与えてくれる。その連続が今の香川真司を生み出している。(P045)
●子供は遊びの中の、楽しい、悔しい、から色んなことを覚えていくもの。だから、指導者が教えるというよりも、子供が自分で見つけることが大事なんです。(P073)
●そもそもヨーロッパってのは日本どころじゃない建前と本音のパラレルワールドなんだよ。しかも年季の入った一筋縄じゃいかない筋金入りだ。高福祉社会だの人権大国だの環境先進国だのと光の部分しか見ていないと、フランスやイギリスで暴動が起きたり北欧で右翼テロが起きたりしても「えっ、なんで? なんで?」としか反応できない。(P119)