とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

高校サッカー準々決勝、作陽対桐光学園はきれいなナイスゲーム。アディショナルタイムに決勝ゴールが決まる。

 今年の高校サッカーは地元の東邦高校、静岡の常葉学園橘が1回戦で早々に敗退。2日に観たTVのサッカー中継も沼津では常葉橘を破った長崎総合科学大学付属対香川西のゲームをやっていた。ところが2日は全国的に強風が吹き荒れ、この2回戦のゲームも風が大きく結果に影響して、両チームのやりたいサッカーが十分発揮できなかった。
 それでもFWの連係プレーで先制した長崎総科大付属が前半のうちにCKが直接ゴールに飛び込むなど風上の有利を生かして3点を入れゲームを支配。後半、風上に立った香川西が序盤に1点を返したが、直後にまた失点。その後は長崎の粘り強い守備を破れず、香川西が敗退した。香川西は選手の技術力では長崎を上回り、風はなければパスをつなぐいいサッカーが見られただろうに残念な結果に終わった。
 そんなゲームを観た後だけに、作陽対桐光学園の準々決勝もあまり期待を持たずに観始めた。ところがこれが面白い。立ち上がりは作陽が高い守備ラインから速いプレスをかけ、細かいパスをつなぎ人数をかけて攻めていく。4分、左SH佐々木がミドルシュート。GK長津がナイスセーブ。5分、トップ下横川のCKにCF松本がヘディングシュート。松本が前線でパスをさばき、アンカー山本を残してMF陣が駆け上がる。特に右SH平岡のドリブルは魅力。またCB米原の守備もいい。
 立ち上がり10分、作陽にペースを握られた桐光学園だったが、OH松井を中心に押し返していく。12分、FW市森のポストプレーからFW野路がシュート。13分、松井のスペースへワンタッチで蹴り込む長いパスに市森が走り込みミドルシュート。さらに15分、松井のスルーパスに野路が抜け出しシュート。桐光学園は守備時には4-4-2のきれいなフラットラインを形成。攻撃になるとCHの松井がゲームをコントロール。広い視野からスペースにワンタッチパスが出され、市森と野路の二人のFWが走り込む。二人とも長身で足も速い典型的なFWタイプ。彼らに加え、右SH橋本の足の速さも魅力。さらにアンカー多田の的確な守備。16分には右SB太田のロングスローから市森がヘッドで流し、野路がボレーシュート。GK太田がクリアした。
 作陽は30分、右SH平岡が左から右へ斜めにドリブルで駆け上がり、佐々木とのワンツーからシュート。DFがクリア。ところが34分、中盤深い位置からのFKを松井が蹴ると、ファーサイドでCB諸石がDFと競り合い、こぼれ球をCB小松が中に入れると、右SB太田がスライディングシュート。これが決まり、桐光学園が先制した。
 それにしても高校生らしい面白いゲーム。両チームとも技術的にしっかりしており、チーム戦術もわかりやすい。後半も両チーム、特徴を出し合うゲームが続く。作陽は密集から抜け出しを狙う。桐光学園は松井が必殺のスルーパス。学校の偉大な先輩、中村俊輔にも似た風格がある。
 17分、作陽は松本に代わり長身FWの三野、22分にはOH永松を投入。作陽が長いパスを三野めがけて放り込むサッカーに変えてくる。25分、CB河面のフィードに平岡が抜け出し、ドリブルからシュート。DFがブロック。29分、左サイド深い位置からのアバウトなクロスのこぼれを三野がシュート。だがCH多田がスライディングブロック。そして36分、CB米原のフィードに平岡が抜け出し、切れ込んでクロス。永松が受けるもDFの壁。少し右へ持ち出してシュートを放つと、グラウンダーがゴール左隅に転がり込む。ついに作陽が追い付く。同点。
 桐光学園は38分、多田に代わり佐藤。さらに40分、市森に代えて田中を投入。アディショナルタイムに入って残り1分、作陽がPK戦に備えてGKを末藤に交代。そして追加4分、太田のロングスローをCB小松がヘッドでつなぎ、DFのクリアを拾った野路がシュート。これがゴールニアに決まり劇的な決勝点を入れた。桐光学園、勝利!
 末藤には気の毒だが、GKの交代が結果的に裏目に出た。だが一旦は気持ちで同点に追い付いた作陽のサッカーは見事だった。一方、勝ち上がった桐光学園の端正なサッカーがもう一度見られるのは楽しみだ。俊輔二世と呼んでもおかしくない松井の活躍を期待したい。