とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

独立の思想

  カレル・ヴァン・ウォルフレンと孫崎享の対談本で、2013年5月に発行されているので、今年の春あたりの対談か。内容は、日米同盟の幻想を主軸に、尖閣・沖縄問題や北方問題、民主党政権への干渉や小沢氏などに対する人格破壊工作などのアメリカの思惑と、官僚とメディアによる対米追随政策の実態などを披露し、日本の「真の独立」を促す。
 二人のこれまでの主張から取り立てて目新しい内容が加わったわけではないが、安部政権への失望と日本の未来への危惧の念が広がっていく。「真の愛国者」であればこそ、個人が自ら考えることで、真の意味で日本の独立も果たされると行動を促す。間に合うだろうか。いや、愛国の志があればこそ、たとえ亡国の憂き目に会っても復活の日は来る。日本を取り戻すのは、民主党からではなくアメリカからではないか。アメリカに手渡すために安部政権に日本をまかせたわけではあるまい。

独立の思考

独立の思考

●(新安保条約の)中身は、・・・日本が受ける攻撃がアメリカにとって脅威とみなされた場合に限って、アメリカ合衆国憲法に則って行動を起こすというのです。・・・日米安保条約とは、ひとことで言えば米軍基地のリース協定なんです。(P23)
東京地検特捜部は、・・・1947年に米軍の占領下で発足した「隠退蔵事件捜査部」が前身となっている。戦後の混乱で行方がわからなくなっていた旧日本軍の資財を探し出し、GHQに献上することを目的とした組織です。その組織を引き継いだ東京地検特捜部が、現在もせっせとアメリカのために働いている。(P91)
●日本では、官僚組織による実質的な統治が続いてきました。ただし、彼らには「政治的な説明責任」はない。逆にいえば、政治的な決断もできませんから、時代の変化に対応し、政策を大きく変えていくようなことも苦手です。日本がアメリカと奇妙な関係を続けている背景にも、こうして政治が「中枢」として機能していないことが影響していると思います。(P118)
●アメリカという国は、世界中で様々な陰謀を張り巡らし、周到に練られた計画を実施しているように思われがちです、しかし、全く反対のように私の目には映ります。実は、戦略など持っておらず、自分たちの行動について深く考えることなく行動しているように思えてならないのです。・・・ネオコンたちが気まぐれにつくった政策に対し、オバマが従っているだけのことなのです。(P181)
●日本を含め、独立した国の人々に必要なのは「愛国心」です。ナショナリズム愛国心は区別しなければなりません。ナショナリズムは「自分の国が他の国よりも優れている」という主張ですが、愛国心は「自分の国を愛し、国土や国民を愛する」という考えに基づいている。だから「米軍は日本を出ていけ」という発想は、ナショナリズムではなく愛国心だと呼べるのです。(P198)