とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

時空のからくり

 いや、面白かった。空間と時間が一体不可分で、重力は実は「時空のゆがみ」。そしてなぜそうなのかの答えは「わからない」。アインシュタイン一般相対性理論がそのような答えを導くから。後半はアインシュタインの方程式を説明していく。ごく簡単に。計量テンソルについて。そしてエネルギーと運動量と時間の関係について。それが重力の正体を導いていく。ゆがむ時空の中で最短距離を示す測地線の秘密。

 最終章は、重力波について説明をしていくが、さすがにこれは十分理解できなかった。原子重力波と一般重力波の違い。宇宙背景放射。トムソン散乱、Eモード偏光。Bモード偏光。これらは宇宙のインフレーション理論の実証に重要な役割を果たすらしい。しかしそれは「時空の存在」よりさらに先の話だ。とりあえず私には、第6章までで十分楽しめた。

 

 

○宇宙空間そのものは「真空」です。つまり、それぞれの銀河は「真空にべったりとくっついている」のです!・・・各銀河はそれぞれの位置で真空に“釘づけ”にされているわけですから、真空空間そのものが膨張していることになるのです。・・・完全球体をしている風船の表面に“端”がなく、すなわち風船の表面に中心が存在しないのと同じように、宇宙にも端がなく、中心もありません。いや、宇宙のあらゆる場所が中心になり得るのです(P52)

○月面の物体が地上の物体に重力を及ぼすのに1.3秒かかり、同じく地上の物体が月面の物体に重力を及ぼすのに1.3秒かかるということであり、「重力場」という実体を考えると、重力は決して、一つの物体からもう一つの物体に瞬時に伝わることはありません。つまり、重力の伝達に関する限り、重力場が真空空間を移動するのに時間を要するため、「遠隔作用」などという現象は絶対に起こらないのです。重力場は、重力という名の力を、真空空間中を光の速さで運ぶのです。(P161)

○太陽と惑星との間の重力が惑星運動の軌跡を決めるのではありません。/いかなる物体も、「面の曲がり」に沿って動くだけなのです。こうして、重力は結局、面の曲がりに置き換えられたことになります。・・・より一般的には、「時空のゆがみ」こそが重力に取って代わるというのが、一般相対性理論の基本的な“姿勢”です。(P178)

○エネルギーと運動量を切り離して考えることができないがゆえに、質量とエネルギー、そして運動量の三つが時空をゆがませることになるのですが、問題は、なぜこの三つが時空をゆがませるのか、その根本的な理由がわかっていないことです。アインシュタイン一般相対性理論からくる結論である、としかいいようがないのかもしれません。(P194)

○真空空間そのものが伸縮を繰り返すことによって振動するのです。真空は真空で、物体ではありませんが、あたかも”ゴムまり”のように、弾性体のごとくふるまうのです。そこに何もないはずの空間がゴムまりのようにふるまう……なんとも受け入れがたい“事実”ではありますね。どうしてそうなのか?――この疑問に答えはありません。一般相対性理論からの帰結なのです。(P244)