とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

「ヘブンスそのはら」で満天の星を満喫

 3連休の最終日、台風一過の秋晴れとなった。前日の日曜日になぜか「満天の星」という言葉を2度聞いて、急遽、「ヘブンスそのはら」に行こうと思い立った。たまたま娘が火曜日に休みを取っていたこともあり、少しくらい帰りが遅くなってもいいだろうということで。

 「ヘブンスそのはら」の星空ナイトツアーは、冬はスキー場となるゲレンデを利用して、全ての照明を消して満天の星を楽しもうという企画で、2012年から実施されている。これまで日中は何度もゴンドラに乗って天上の展望と涼しさを楽しんできたが、なかなか夜に行く機会がなかった。今回、台風一過という言葉に期待して、一念発起。家族で参加することにした。

 午前中はナイツツアーのための準備。標高1400mの夜なので、防寒準備が重要。ネットを見て、これまでの参加者の様子などを探る。妻は「スキーウェアを着込んで」というが、そこまでは必要ないだろうと、長そでシャツの上にトレーナーとジャンパーを持参。レジャーシートも寒さに備えて綿入りの上敷きを持っていった。

 朝食をやや遅めに取って昼食は我慢して、昼過ぎに家を出る。中央高速を走り、園原ICで降りると、まずはいつも行く阿智村の「そば処おにひら」へ向かう。ちょうど「新そば祭 第1弾」を開催中。3人で、おにひら(1700円)、えびと季節の野菜の天ぷら盛り合わせ(900円)、そば団子(260円)3本を注文し、抽選で1割引券をもらって、野菜やそばパックなどをしこたま購入した。

 そして15時半には「ヘブンスそのはら」のゴンドラ乗り場へ到着。17時半からチケット販売ということなので、少し早いかなと思ったけど、その時点で3組位がチケット窓口の横にたむろしている。窓口で聞くと、16時から「列の案内をします」とのことなので、そのまま私たちも窓口の近くで自然と列を作って待っていた。しばらくすると、パーテーション・ポールを持った男性が現れ、並べだす。と同時に、もう一人の男性が現れ、「15時45分から列の案内をします」と言う。時間になり、案内に従って列を作る。「レジャーシートなどを自由に敷いて、ゆっくりと待っていてください」ということなので、1組毎にスペースを取って並んでいく。

 この日は17時半からの第1部と20時45分からの第2部の2部構成。第1部は定員1500人のところ、事前予約等を除いて600人が入場可能とのこと。「17時前には完売かな」と言っていたけど、17時時点で「残り100人」と言っていた。チケット購入まで1時間半以上もあるので、他の人の持ち物などを見ては持参する荷物を改めて検討。でも結局ほぼそのまま持ち込んだ。

 17時半になってチケットを購入しゴンドラに乗り込む。後ろ正面には雲の上に南アルプスの山々の稜線がよく見える。聖岳荒川岳赤石岳塩見岳。ゴンドラ下の乗り場では、予想満点率40%となっていたが、会場に着くと、かなり雲に覆われている。山頂駅から案内に従ってイベント会場まで歩く。会場は大きなスクリーンの前にステージが設えてあり、その前に順番にレジャーシートを敷いていく。ショーの開始は20時。それまでは特にやることもないので、いったん山頂駅近くのロッジまで戻って、イスに座って豚汁や豚まん、おやきなどを頬張る。山頂駅付近でもショーの時間帯は照明を落とすので、ただ星を見たい人、写真撮影を目的とする人たちは、山頂駅周辺のスペースにシートを敷いて陣取っている。

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 トイレに行ったりしていたらそれなりに時間は過ぎて、19時半にはイベント会場に戻った。見上げると、さっきとは打って変わって快晴。目の周りを手で覆い、ステージや周囲の照明の光を遮って空を見上げると、星がよく見える。夏の大三角(ベガ、デネブ、アルタイル)を探して娘に教えたりしていたら、ショーの時間がやってきた。

 最初に、一斉に照明を落とす。すると、目の前に満天の星のシャワーが広がる。思わず、おおっ!という声が上がる。しかし、星の案内の前に、映像ライブパフォーマンス「enra」の公演が始まる。スクリーン上に映し出される映像とステージ上でのダンスパフォーマンスが融合して、ファンタスティックできれいなパフォーマンスだが、内心では「どうかこの間にまた曇ったりしませんように」と祈っている。レジャーシートの上で身体を起こしているのも疲れるので、時々は仰向けになって、夜空を見上げていた。

 そして20分の公演時間が終わり、いよいよ再びすべての照明が落とされる。ガイドの女性がポインターで夜空に指して、星々の解説をしていく。夏の大三角はもちろん、天の川、土星、秋の四辺形、天の川の脇に小さく踊るイルカ座、川の中に隠れる矢座。白鳥座は十字形で覚えていたけれど、さらに大きく羽を広げており、長い首の形がナットクできた。まだまだ見ていたいと思ったけれど、10分間という時間はあっという間に過ぎる。それでも満天の星の感激は目に焼き付いている。

 ショーが終わると、レジャーシートなどを片付け、下りのゴンドラに向かう。私たちはステージ近くに席を取ったため、ゴンドラ駅からは最も遠い。それで端からあきらめ、のんびり帰りの列に並ぶことにした。前にいた老夫婦と話をすると、二人は昼神温泉に宿を取ったとのこと。ホテルではレジャーシートや寝袋などを貸してもらい、送迎もしてくれるそうだ。駐車場に並んだ車を見ても、中部地方だけでなく、全国広い地域から来ていることがわかる。わずか10分とは言え、それだけの価値のある時間だ。20分間のショーはなくてもいい、とも思うが、星が全く見えない日もあるわけで、その時にはショー位見せないと何をしに来たかわからない。ちなみに前日は台風が通過する中、霧の中でenraのショーを開催したと聞く。

 列に並びながら見上げると、まだ夏の大三角カシオペア座などが輝いている。天の川もまだ見える。そうこうするうちに第2部の参加者がゴンドラから降りてきた。完全入替制とは言っていたが、山頂駅周辺にシートを敷いて紛れてしまえばわからない。とは思ったが、さすがに第2部の終了が22時45分と聞くと、そんな不正はせずに帰ることにした。

 山麓駅のショップで少し土産物を見て、それから車に荷物を積んで出発したのが22時15分。途中、恵那峡SAのフードコートに寄ったら、ジャンパーなどを着込んだ厚着の家族連れが数組、食事をとっている。みんな同じような行動をしている。そこで遅い夕食をして家に帰りついたのは0時過ぎ。疲れたけど、楽しい。これまでに見たことのない最高の経験をさせてもらった。満天の星空はすばらしかった。そしてあれだけの快晴に恵まれた幸運に感謝した。