とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

W杯ロシア大会を振り返って。ゲームベスト5を選ぶ。

 W杯が終わった。フランスが20年ぶりの優勝を遂げ、エムバペを始めとする若い力の台頭があった一方で、クロアチアの活躍など、ベテランの力、そしてパスをつないで攻める美しいサッカーも堪能することができた。ドイツやスペインなど、強豪国が早期に敗退したことも話題になったが、それらもサッカーの変化から取り残された結果として語ることも可能だ。既に語りつくされたように、一人のタレントの存在で勝ち上がれる時代ではなく、しかしタレントとチームの融合が結果をもたらしてくれる。フランスやクロアチアはまさにそれを如実に示していた。

 そして日本がベスト16まで勝ち上がったこともうれしい結果だ。正直、突然の監督交代に3連敗必至と思ったが、ハリルホジッチの積み上げた成果にうまく西野監督が接穂して、最高の結果をもたらした。しかしそれもハリルホジッチの作った土台があってこそ。かねてから根強い日本人監督待望論があり、この結果を受けて森保監督就任が噂されているが、しっかりした外国人指導者のサポートをつけないと、4年後は惨憺たる結果になるかもしれない。事実、今大会で24歳以下の選手はまったく出場機会を与えられなかったし、21歳以下の若手は年代別W杯などで結果を出せていないし、世界的なレベルのクラブで活躍している選手もいない。

 土台は全くひ弱なので、4年後を見据えた強化をするのか、それとも8年後をみるのか。そのあたりからまずは日本の強化方針を考える必要があるのではないか。4年後を目指し、今大会のクロアチアのように、大迫や柴崎、W酒井らを中心に、30代の選手を中心とした成熟したチーム作りを進めるというところが現実的で妥当な方針のような気がする。森保さんには五輪を目標に選手の育成やチーム作りを担ってもらい、代表クラスは当初報道があったクリンスマンなどの外国人指導者にその強化を任せるというのがいいのではないか。そして4年後にはちゃっかり手倉森くらいが監督に就任する。それでも文句を言わない監督を探してきてほしい。

 前書きが長くなったが、本題は今大会のゲームの中からベスト5を選ぼうというもの。実は今大会で録画したゲームの中から、ブルーレイ等のサイズに合うゲームを選んで保存しておこうという魂胆で考えているのだが、私が観たゲームは64試合中31試合。その中でベスト1は「ベスト16 フランス対アルゼンチン」かな? 以下、ベスト5を紹介しておこう。

 

○第1位 ベスト16 フランス対アルゼンチン

 何と言っても今大会最大のヤングスター、エムバペが大活躍をしたゲーム。前半9分のエムバペのドリブルからグリーズマンのバーに当てるFKでフランスの強さと速さを実感。13分のエムバペのドリブルには、その速さにただただ驚いた。そしてグリーズマンのPKで先制。しかし、アルゼンチンもメッシを中心に反撃して、逆転してしまう。そこからパバールの同点ボレー。そして後半19分、エムバペの異次元な抜け出しによる勝ち越し点とダメ押しミドル。メッシとエムバペ。時代の変化、主役の交代を印象付けたゲームでもあった。

 

○第2位 ベスト16 ベルギー対日本

 日本のゲームを第2位に挙げるのは憚られたけど、2点のビハインドからアディショナルタイムにいかにも今大会のベルギーを象徴するような高速カウンターで逆転勝利を挙げたこのゲームは、やはり今大会の中でもベストゲームの一つに挙げねばなるまい。柴崎のスルーパスや乾の打ち抜きミドルシュートもよかったし。でも日本も2点リードから逆転されるようではまだまだ。特にベルギー2点目の同点ゴールは阻止してほしかった。あの2点目が敗因だと思っている。フェライニ、嫌いだし。

 

○第3位 ベスト16 ウルグアイ対ポルトガル

 ゲーム全体としては大して見所があったわけではないけれど、何と言ってもスアレスカバーニのピッチ幅いっぱいを使ったロングワンツーによるゴールは圧巻。あれだけでベストゲームの第3位に選考した。ケガでピッチを退出するカバーニに肩を貸したクリスティアーノ・ロナウドという絵になる場面もあったし。あとはカバーニの勝ち越しゴールも見事だった。

 

○第4位 準々決勝 ブラジル対ベルギー

 W杯は準決勝が一番面白いというけれど、期待したウルグアイ対フランスはカバーニの負傷でウルグアイが大幅な戦力ダウン。グリーズマンの見事なブレ球ミドルシュートはあったけど、ベスト5には選考しなかった。代わりに、ブラジル対ベルギーの一戦。ネイマールアザールルカク・デブルイネということで、ジェズスがイマイチのブラジルではやはりベルギーの方が強かった。ベルギー2点目の高速カウンターはブラジルよ、おまえもか、という感じ。そして守りでは4-3-3の布陣をしいてきたベルギーのスカウティングの勝利でもある。

 

○第5位 グループB ポルトガル対スペイン

 そして最後の第5位にはグループリーグから「グループB ポルトガル対スペイン」を選考。ベスト16以上には他にも、準決勝のフランス対ベルギー、準々決勝のロシア対クロアチア、そして決勝のフランス対クロアチアなども好ゲームだったが、敢えてこのゲームを選択。やはりグループリーグでポルトガルとスペインという隣国同士が対戦し、しかも3-3という結果はW杯開幕直後のゲームでもあり、大いに印象に残った。ディエゴ・コスタの泥臭い2ゴールにナチョが豪快ミドルシュートを決めたスペインに対して、ポルトガルクリスティアーノ・ロナウドハットトリックでドロー。特にロナウド3点目のFKはすごかった。スペインはやはり試合3日前の監督交代が響いたのかな。スペインの国情が知れて面白かった。

 

○惜しくも選外

グループF ドイツ対メキシコ

 ドイツのグループリーグ敗退は今大会最大の驚きだった。そのドイツの初戦がこのメキシコ戦。メキシコの魂のこもったプレーに感動した。ドイツは大会を通じて、FWの起用が定まらなかったのが敗因。ドイツも第2戦のスウェーデン戦では後半にヴェルナーを左SHに置き、マリオ・ゴメスをトップに置く布陣で光明が見えたかと思ったが、第3戦の韓国戦でも結局ヴェルナーをCFに戻して機能せず、歴史的敗戦。ドイツは今後もレーヴ監督に任せて本当に大丈夫だろうか。

 

決勝 フランス対クロアチア

 決勝戦をベスト5に入れるべきかどうか。迷ったが、結局選外。フランスの2点目、VARによるPKの判定など、今大会を象徴するゲームだった。が、ゲームの面白さという点ではあのPKが興醒め。クロアチアはいいチームだったし、アルゼンチン戦でのモドリッチミドルシュート、フランス戦でのペリシッチの同点ゴールなど、印象的なゴールも多かったが、延長戦を3試合というのは、逆に失点も多かったということ。そう考えれば決勝戦もまたクロアチアらしいゲームだったのかも。あのPKがなければどういう結果になっていたのか。そのアナザーゲームを観てみたい。

 

 ということで、選外も含めて7試合を選考。大会全体としてはいいゲームも多かったし、いい大会だったと思うが、PKが多すぎたのがやや興醒め。VAR導入に伴うルール改定も真剣に検討してみてもいいのではないか。次の4年後、カタール大会はどんな大会になるのだろう。て言うか、そもそも本当にカタールでW杯が開催できるの? 開催能力という点だけでなく、政治的環境の意味でも、4年後のカタールは大丈夫だろうか。