とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

シービリーブス杯 アメリカ対日本

 いよいよ今年は女子サッカーW杯を迎える。3ヶ月後の本戦に向けて強化を進めるなでしこジャパンアメリカ遠征。初戦は世界最強アメリカの胸を借りる。しかし高倉監督はこの段階においてもなお若手選手を積極的に招集。かつ、先発や途中交代で出場機会を作り、経験を積ませた。FWには横山と21歳初招集の小林里歌子が先発。中盤の底ボランチには杉田妃和とノジマステラの松原有紗。松原は初召集、杉田も代表2試合目だ。さすがにDFは右から清水、熊谷、鮫島、有吉と経験のある選手を並べたが、GKには久しぶりに山根を起用した。山根って今はスペインのベティスでプレーをしているんだ。対するアメリカは4-3-3の布陣。FWはモーガンを中に右WGヒース、左WGラピノー。中盤はアーツをアンカーに右IHピューと左IHラヴェル。DFは右からオハラ、ダールケンバー、デイビッドソン、ダン。GKにはネイアーが入った。

 序盤、アメリカが積極的に前に圧力をかけてくる。5分、右WGヒースのクロスに右IHピューがシュート。6分にはCKからIHラヴェルのクロスはバーに当たった。日本も何とか立て直そうとするが、8分、FW小林のバックパスが両ボランチの間を抜けてCFモーガンに奪われ、スルーパス。左WGラピノーがドリブルで日本ゴールに迫るが、右SB清水が追い付いてクリアする。代表経験の差が出た感じ。

 それでも11分、CH杉田の縦パスからFW横山がミドルシュート。惜しくもバーにはね返された。ナイスシュート。アメリカはやはり経験豊富な前の3人が恐い。17分、CFモーガンのスルーパスに左WFラピノーが走り込み、クロスに右WGヒースがミドルシュート。そして24分、CHアーツからの縦パスを右IHピューが右に展開。右WGヒースがドリブルで駆け上がり、左SB有吉を抜いてクロスを入れると、左WGラピノーがシュート。アメリカが先制点を挙げた。

 日本はその後、両SHのポジションを入れ替えて攻めるが、なかなかシュートまで行けない。逆に30分、CB鮫島からCH松原へのパスをCFモーガンにカットされ、左WGラピノーがミドルシュート。39分には左WGラピノーのFKにGK山根がナイスセーブ。ポストに逃れる。続くCKからCBダールケンバーにミドルシュートを打たれるが、これは枠を外れた。前半は1-0、アメリカのリードで折り返した。

 前半はなかなかチャンスの作れなかった日本だが、杉田・松原の若いボランチ・コンビも次第に連携がよくなり、機能している。特に松原はアメリカ選手に見劣りしない体格が魅力。またFWに入った小林里歌子もよく走っていた。アメリカは後半頭に右SBオハラを下げてソネットを投入。後半も序盤のうちは互角に攻め合う。日本は14分、FW小林に代えて池尻、左SB有吉に代えて大賀を投入。ともに22歳で代表初召集・初出場。池尻は韓国のスウォン所属と紹介されたが、昨年まではチャレンジリーグ吉備国大に所属。9月からなでしこ2部の湯郷ベルでプレーしたが、韓国WKリーグはまだ始まっていない。大賀も今季、日体大からノジマステラへ入団予定の選手だ。

 しかし選手交代をしたせいか、逆にアメリカの攻勢が強まる。18分には左IHラヴェルのCKからCFモーガンがヘディングシュート。なかなかパスがつながらない日本だったが、22分、左SH長谷川からのサイドチェンジを受けた右SH中島がクロス。いったんはDFにはね返されたが、これをDFと競り合って奪い、中に持ち込んでのミドルシュート。見事にネットに突き刺して、日本が同点に追い付いた。

 これでようやくパスが回り出した日本。28分には右SB清水のパスカットから右に展開。右SH中島が絶妙なクロスを入れるが、FW池尻がわずかに届かない。さらに30分、CH杉田の縦パスを左SH長谷川がヒールで落とすと、FW池尻がミドルシュート。わずかにポスト右に外れた。直後、アメリカは右WGヒースに代えてプレスを投入する。すると31分、右WGプレスの仕掛けからクロスを入れられ、CFモーガンがヘディングシュート。アメリカがすぐに勝ち越し点を挙げた。34分にはCBデイビッドソンのフィードに走り込んだCFモーガンミドルシュート。勢いを持つとアメリカは怖い。

 日本は35分、FW横山に代えて右SH籾木。さらに37分、右SH中島に代えて左SH遠藤純を投入。長谷川をトップ下に移す。遠藤はJFAアカデミー福島に所属の若干18歳。現役高校生だ。アメリカも40分、CFモーガンに代えてベテラン36歳のロイドを投入する。その後、副審が足を痛めてしばらくゲームが止まるアクシデントがあったが、逆にそれで整理ができたか、45+1分、左SB大賀からのクロスをFW池尻が落とし、左SH遠藤のパスにOH長谷川が走り込んで、引き付けて横へパス。右SH籾木が難なく決めて、日本が同点に追い付いた。最後の仕上げは経験値のある二人が決めたが、その前は初出場の3人で作ったチャンス。

 その後はアメリカも猛攻を仕掛けるが、日本が何とか守り切った。2-2。アメリカ遠征初戦はドローでのスタートとなった。

 やはり実力差ということではアメリカが上。攻撃にさらされる時間も長かったが、粘り強く守り切り、逆にきれいなパス回しから2点を奪って引き分けで終えた。小林、松原、杉田、池尻、大賀、遠藤と代表経験の浅い若い選手も物怖じすることなくしっかりと戦い経験を積むことができた。ちなみに、長谷川、籾木、清水にしてもまだ若干22歳。この若い選手たちに熊谷や鮫島らのベテランが溶けあって、日本はいい雰囲気になっている。アメリカ遠征はあと2試合。いい経験を積んで、3ヶ月後のW杯につなげたい。今後につながるゲームだった。