とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

「上中のしだれ桃」は桃源郷の風景

 先週の水曜日、朝に私用があったため仕事を休み、用が済んだ後に、豊田市旭地区「上中のしだれ桃」を見に行った。その日は最初、薄墨桜を見に行く予定だったが、あいにくの雨。後日のニュースによれば、雪も降っていたようなので、行かなくて正解だったが、代わりに近場で桜と考え、東谷山フルールパークや定光寺を回り、車中から桜を鑑賞。でも降りて見るには雨も降っていて、誰もいない。五条川沿いにクルマを走らせて桜見物も考えたが、ここまで観てきた桜と代わり映えがしないだろう。そこで、前日のTVで見出しだけ見て、当日の朝には新聞にも載っていた「上中のしだれ桃」に行ってみることにする。カーナビをセットすると、所要時間は50分程度。意外に近い。

 途中、笠原のモザイクタイルミュージアムを眺め、県道19号から豊田市小原地区に入る。案内に従って、狭い道を抜けていくとようやく「上中のしだれ桃」臨時駐車場に着いた。まだ小雨が降っていて、止めているクルマも少ない。協力金1000円を払い、傘を差し、案内の地図をもらって歩いていく。駐車場から道路へ上がる坂道。さらに「しだれ桃」の集落に向かう道も登り坂。足の弱い妻はそこで既に退散しそうな感じだったが、道沿いの黄色いレンギョウの花に励まされつつ、何とかがんばる。

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 小さな尾根を一つ越えると、谷筋に田畑が広がり、奥に数軒の民家が見える。両側の斜面に桃らしき植物が植えてあるが、まだ若く、パラパラという感じ。見所はもう一つ先。「見どころ①250m」という案内板を見付けて、もう一つ尾根を回ると、今度は左手の谷筋に集落と畑、右手に畑が広がる。斜面にはピンクと白の桃の木と黄色いレンギョウ、足下には水仙や大根の花も咲いている。

 突き出た尾根上の民家で五平餅などを売っていたが、後回しにして次の「見どころ②150m」へ向かう。するとそこが素晴らしい。右肩下がりの斜面に奥の民家へつながる道路が走り、その左右にピンクと白の桃が咲き誇る。さらにレンギョウ水仙。真っ赤なツバキの下には花びらの絨毯。白いしだれ桃の向こうには山なみがきれい。あれは段戸山あたりかな。民家としだれ桃の構図も美しい。まるで桃源郷だ。ちょうど写真を趣味とするグループが思い思いにレンズを向けていた。

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 ひとしきり楽しむと、あとは帰り道。さっきあった民家の車庫で開かれた店に寄って五平餅とコーヒーを買って、ベンチで一休み。ちなみに駐車場でもらった領収書に付いていた100円割引券を利用。雨も小降りになって明るくなってきた。この民家は庭も公開しており、チューリップやパンジーなどが咲き乱れていた。手作りのこんにゃくと地元でとれた野菜もあって、妻が喜んで買ってしまう。でも、その日に湯がいて食べたこんにゃくはすごくおいしかったし、一緒に買った菜っ葉もおひたしにして食べた。

 帰りはいつも行きよりも楽。名残惜しみつつ歩くとあっという間に駐車場に着いてしまう。帰りは自宅をナビでセットすると、行きとは違って広い道を案内する。国道419号を走って瑞浪に抜け、国道363号を土岐から県道13号で多治見に入る。ようやく行きと同じ道に出た。多治見のオリベストリートにある「そば処井ざわ」で遅い昼食を食べて家に帰った。たった半日の日帰り旅行だけど、短いだけにいっそう鮮やかに一瞬の思い出として残っている。桃源郷とはまさにこんな記憶と風景の世界なのかもしれない。