とんま天狗は雲の上

サッカー観戦と読書記録と日々感じたこと等を綴っています。

令和改元・山陰旅行(その3)

 「令和改元・山陰旅行(その2)」から続く。

 山陰旅行3日目は「石見銀山の宿 ゆずりは」で気持ちよく目を覚ました。朝食も夕食と同じく、向かい側の武家屋敷渡辺家住宅の奥の離れで食べる。そして9時過ぎ位から大森の町並みをブラブラと散策。昨夕から降り始めた雨はもう上がり、傘もいらない。ベージュの土壁に赤瓦の町並みが続く。建物の向きは平入り、妻入り、両方あるようだ。ところどころ赤いポストが懐かしい。家先に植物が飾られ、豊かな緑の山並みが背景を飾る。まだ少し早いようで、知人からぜひ訪ねるように言われた群言堂もまだ開店準備中だった。

 宗岡家はきれいに再整備された武家屋敷だが、外観は質素な印象。欄間の瀟洒な飾りが美しい。古民家を整備したインキュベーション施設もあった。有馬光栄堂では固い歯ごたえの「げたのは」を試食。旧河島家も銀山附役人が暮らした武家屋敷。表には武者人形が飾られていた。向かいには旧大森ク裁判所の白い建物。

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大森の町並み

 さらに進むと、観世音寺の小高い山があり、階段を上がればこれまで歩いてきた町並みが一望できる。郵便局や山陰合同銀行の庁舎も民家風に造られている。またドイツパンの店もある。理容館アラタは昔懐かしい設備が残る理容店だが、今は営業しておらず、全国理容連合会による「理容遺産認定第1号」の石碑が建っている。そして熊谷家住宅は石見銀山の有力商人の館。重要文化財に指定されている。座敷や地下蔵などもあり、丁寧に案内をしてもらった。最後は大森代官所跡に建てられた石見銀山資料館まで歩く。なかなか楽しかった。

 宿までクルマを取りに戻って、10時半くらいに石見銀山を出発。あとはひたすら山口市を目指す。石見銀山ICから山陰道をひたすら西へ。温泉津、江津、浜田。当初は浜田で昼食のつもりだったが、快調にクルマは進むので行けるところまで行こうとさらに山陰道を進む。石見三隅ICで一般道に合流。しばらく走ると右手に海が見えてきた。日本海。地元の回転ずしチェーン「すし蔵」で昼食にした。昨日の記憶もあったのでノドグロを注文したが、昨夜の方が旨かった。でも他にも地場の活きのいい鮮魚が多く、おいしかった。

 ナビを津和野町役場にセットして出発。快調に国道9号を走っていくが、なぜか突然、ナビが左折を指示。いったん行き過ぎてしまうが、道路案内との違いに混乱しつつも空き地でUターンしてナビに従うと、着いたのは確かに津和野町役場本庁舎。でも場所は津和野町日原。2005年に津和野町と日原町が合併していた。しかしなぜ本庁舎は旧日原町内にしたのか。人口も旧津和野町の方が多かったのに。

 それはさておき、今度こそ津和野町津和野庁舎で再セット。予定どおり、15時頃には津和野に着いた。津和野駅の前を通ってSLを確認。津和野大橋の手前の駐車場に停めて歩く。まずは多胡家老門。立派な門をくぐるとそこは観光地・津和野。石畳の両側には白壁の土塀が伸びている。右手が藩校養老館。溝にはたくさんの鯉が泳いでいる。左手は津和野町役場津和野庁舎。じゅうぶん立派だけど、狭かったのかな。立派な門には「大岡家老門」の案内柱が立っていた。さらに進むと、「乙女峠まつり」の幕が目立つ津和野カトリック教会が建っている。昭和4年建築の登録有形文化財

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津和野の町並み

 その後も立派な土蔵造りの商家や瀟洒な町家が並ぶ。白壁が美しいが、瓦は必ずしも赤瓦ではなく、色とりどりの瓦が使われている。それもまた美しい。2階に虫籠窓が並ぶ商家や袖うだつ、なまこ壁の蔵など、いろいろなタイプの商家が並ぶ。そうしてしばらく歩いていくと、津和野町日本遺産センターという建物に辿り着いた。中に入ると盛んに日本遺産「津和野百景図」のアピールをしていた。幕末期の絵図と現在との対比は面白いが、残念ながら殿町通りの風景は少ない。それよりも津和野が重伝建に選定されていたことに驚いた。そのことを案内の女性に話したが、あまり興味はなかったかな。伝統的な建物を紹介するパンフもほとんど見当たらなかったのは残念。

 駐車場へ戻ろうとしたらポツポツと小雨が降ってきた。急いでクルマに乗り込み、それでもせっかくだからと森鴎外旧宅へ行く。無人だけどちゃんと見学料100円は払った。でも記念館は時間もないのでパス。そして次は山口市へ急ぐ。国道9号を快調に飛ばして、17時前には市内に入る。市街地に入ってすぐ右折。国宝瑠璃光寺五重塔は香山公園の一角にあり、無料駐車場から少し歩けば池越しに全貌が見える。檜皮葺の屋根が美しい。さすがに国宝に指定されているだけの美しさと品格を漂わせている。

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瑠璃光寺五重塔

 さらに国道に戻って山口県庁前の山口県政資料館へ向かう。手前には旧山口藩庁門がある。県政資料館は旧山口県庁舎。武田五一らが設計した品格のあるデザインだ。また隣には県会議事堂も残っている。いずれも大正5年に完成している。さらにサビエル記念聖堂へ急ぐ。だがあれ?昔見たものと違う。全然新しい。調べると、前の建物は平成3年に焼失していた。きれいな建物だったのに。思えば前に訪ねたのは80年代前半。それでも今の建物もなかなか美しくみんなに愛されているのが伝わってくる。

 ということで、今夜の宿は湯田温泉翠山荘へ。公共の宿で和室だったが、久しぶりの布団で腰は楽だった。それでも左腕はまだ痛い。左肩甲骨から左肩、そして腕へと移ってきた。温泉にじっくり浸って、翌朝には良くなることを期待した。

 以下、「令和改元・山陰旅行(その4)」に続く。