J1に昇格して3年。ついに初タイトルに王手をかけたコンサドーレ。決勝の相手はこれまでルヴァン杯は4回決勝に進出するもすべて敗れているフロンターレ。昨季Jリーグ2連覇を飾ったフロンターレにとっては悲願のタイトルだ。コンサドーレはいつも通り3-4-3の布陣。ジェイをトップに、鈴木武蔵とチャナティップがシャドーに入る。中盤は宮澤がケガで、荒野と深井がボランチを組む。WBは右に白井、左に菅。CBはいつものメンバー、右から進藤、キムミンテ、福森。GKはクソンユンが守る。対するフロンターレは4-2-3-1。中村憲剛と小林悠をベンチに置いて、CFはレアンドロ・ダミアン。トップ下に脇坂が入り、右SH家長、左SH阿部。ボランチは大島と田中碧。DFは右から右SB登里、CB山村、CB谷口、左SB車屋。GKにはチョンソンリョンをベンチに置いて、新井章太が先発した。
序盤、コンサドーレが攻め込む。3分には左CB福森がFKのチャンス。だが壁にはね返された。フロンターレは5分、CH大島のパスからOH脇坂がシュートを放つ。その後はフロンターレが攻勢。7分、右SH家長の縦パスに走り込んだOH脇坂のパスに右SB登里がミドルシュート。GKクソンユンが弾いたボールをDFがクリアする。9分には左SH阿部の縦パスにCH大島が走り込み、落としを阿部がミドルシュート。わずかにポスト右に外れた。しかし10分、CH深井が大きく右へサイドチェンジすると、右WB白井が左SB車屋をかわして走り込み、クロス。CB谷口のヘディングクリアに左WB菅がボレーシュート。これが決まり、コンサドーレが先制点を挙げた。
フロンターレもすぐに反撃。15分にはCFレアンドロ・ダミアンがドリブルで持ち上がり、最後はOH脇坂がシュート。だがこれもポスト右に外す。するとその直後には中盤でCFジェイがボールを奪い、左FWチャナティップがミドルシュート。18分にはCH荒野がボールを奪い、左FWチャナティップが前にボールを運び、右へ流して右FW鈴木武蔵がシュート。これはサイドネットに外れる。フロンターレも20分、CH大島の縦パスに走り込んだ左SH阿部がクロス。CFレアンドロ・ダミアンがシュートを放つも、ポストにはね返される。24分、CH大島のミドルシュートもGKクソンユンがナイスセーブした。
惜しいところまではいくが、ゴールが決まらないフロンターレ。その後もフロンターレが細かくパスをつないで攻めていくが、コンサドーレはしっかりと守備のブロックを作って、パスを引っかけてはカウンターを繰り出す。このまま前半を終えるかと思ったが、残り5分近くになってフロンターレが攻勢をかける。39分、右SH家長のクロスにCFレアンドロ・ダミアンがヘディングシュート。44分、左SB車屋の縦パスに右SH家長が長躯左サイドまで走り込み、クロスにOH脇坂がヘディングシュート。しかしこれもポストにはね返される。さらにCFレアンドロ・ダミアンとCH深井が競って、こぼれたボールに左SH阿部がシュート。だが枠を捉えられない。さらに45＋2分にはCH田中碧がミドルシュート。そして45＋3分、OH脇坂のCKがファーに流れたところに左SH阿部がシュート。何と前半アディショナルタイムぎりぎりフロンターレが同点に追い付いた。
これで勢いが出たフロンターレ。後半はフロンターレが攻めていく。3分、右SH家長のクロスにCFレアンドロ・ダミアンがヘディングシュート。後半に入るとコンサドーレのプレーにミスが出始める。13分、右SH家長のクロスを左SH阿部が折り返して、OH脇坂がシュート。しかし枠を捉えられない。すると14分、コンサドーレが先に動く。ジェイに代えて右FWアンデルソン・ロペスを投入。鈴木武蔵をCFに上げる。直後には右SH家長のクロスにOH脇坂がシュート。しかしこれも枠を外してしまう。
すると18分、コンサドーレはカウンターで攻める。左FWチャナティップからのサイドチェンジを右WB白井が折り返すと、こぼれ球を左WB菅がループシュート。しかしGK新井がセーブ。19分にはフロンターレがいよいよOH脇坂を下げて中村憲剛を投入する。コンサドーレも27分、右WB白井に代えて、ルーカス・フェルナンデスを投入。するとその直後、フロンターレは満を持してCFレアンドロ・ダミアンに代えて小林悠。いよいよフロンターレが勝負をかけてきた。しかしコンサドーレも負けずに気迫のこもったプレーで対応。38分、CH大島の縦パスを左SH阿部が折り返し、CB谷口がヘディングシュート。しかしこれもGKクソンユンがビッグセーブ。逆に42分には左FWチャナティップのパスをCF鈴木武蔵が落とし、CH荒野が縦パス。右FWアンデルソン・ロペスのスルーパスにCF鈴木武蔵が抜け出すと、GKと一対一。だがワンタッチ目のトラップが長い。GK新井にセーブされた。
するとその直後の43分、CH田中碧の縦パスからCH大島がスルーパス。これにCF小林悠が走り込み、落ち着いてシュート。ついにフロンターレが勝ち越した。鈴木武蔵との経験の差を感じる。そしてアディショナルタイムも予定の4分が経過。ラストプレーのCKを福森が蹴ると、何とCH深井のヘディングシュートがネットを揺すった。土壇場でコンサドーレが同点に追い付いた。すごいゲームになってきた。
延長戦に入り、フロンターレは左SH阿部に代えて長谷川を投入する。そして4分、左FWチャナティップがDFのクリアを拾ってドリブルで走る。PAに入る直前、CB谷口が後ろから身体を入れて倒すと主審は谷口にイエローカードを提示。福森がFKの準備を進める。しかしそこでVARと協議。確認の上、谷口へのカードはレッドカードに変更された。一発退場。そのショックの中、9分、福森がFKを直接ねじ込んだ。今度はコンサドーレが勝ち越した。10分、フロンターレは大島に代えて右SBマギーニョを投入。車屋をCBに下げて、登里を左SBに回す。中村憲剛をCHに下げて、4-4-1。必死に反撃するが、延長前半はこのまま終わった。
延長後半最初にコンサドーレは左CB福森に代えて石川直樹を投入する。福森は足を攣っていた。攻めるフロンターレは2分、CH中村憲剛のFKに右SH家長がヘディングシュート。3分には右CB進藤から左SH長谷川がボールを奪い、クロスにCF小林悠がシュート。だがCBキムミンテが身体を張る。守るコンサドーレも必死。だが直後の4分、CH中村憲剛のCKがファーに流れたところをCB山村が折り返すと、CF小林悠がシュート。何とフロンターレが同点に追い付いた。その後はコンサドーレが左WBに中野を入れて攻める。12分には右WBルーカス・フェルナンデスがミドルシュート。だがGK新井がナイスセーブする。そしてタイムアップ。ついに勝負はPK戦にもつれ込んだ。
PK戦も120分と同様、二転三転の展開。3人目まではお互い順調にゴールを決めたが、先行フロンターレの4人目、車屋のシュートがバーを叩く。しかし5人目、家長はきちんと決めて、コンサドーレの5人目は延長後半から入った石川。しかし止められる。そして6人目、フロンターレは長谷川がしっかり決めたのに対して、コンサドーレの6人目、進藤のシュートはGK新井がセーブ。5-4。フロンターレがPK戦に勝利して、ルヴァン杯決勝5回目にして初めての優勝を飾った。
それにしてもすごいゲームだった。お互いアディショナルタイムでの同点弾。そして延長戦でも1点ずつ取り合って、PK戦も規程の5人では決まらなかった。何より両チームの選手の気迫がすごかった。先制され、またかという思いもよぎったと思うが、そこから逆転したフロンターレの執念に対して、コンサドーレも初めての決勝ながら実によく戦った。リーグ戦はもう優勝もACLも難しい状況だが、このゲームも経験は来季につながる。実にいいゲームだった。すごいゲームを堪能した。
